園田樹乃『名前のない喫茶店』
★★★☆☆
【Amazonの内容紹介】
野良猫に誘われた路地で里香が出会ったのは“名前のない喫茶店”。
職人のような佇まいのマスターが淹れるコーヒーと
チーズスフレの味にすっかり魅了された里香は、
毎週末を喫茶店で過ごすようになる。
だんだんマスターのことが気になっていく里香だったが、
ある日課長にお見合いを勧められて…。
忙しない日常の中の、スローなラブストーリー。
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kindle unlimitedの読み上げ機能で流していた本。
なんだか不思議な本だったな……
恋愛小説のわりに、紆余曲折なくわりとあっさりくっついて
(双方が大人なのだから、この「話の早さ」はよいと思う)、
付き合ってからも関係に大きな起伏はなく。
ストーリーに必要だから出てきた設定やキャラクターなのだろうと思ったら、
展開上の意味が持たされないまま、終わったりして。
後から『小説家になろう』掲載の作品だとわかって納得。
商業作品として書かれたものではないからなのね。
ヒロインの会社の後輩や、客の女子高生の言動が本当に嫌な感じだったし、
「今どきこんな会社あるんか!?」
と思わず奥付を確認してしまった。
2019年刊。
私が知らないだけで、今もこういう会社や、
人前でこんなこと言う人間は存在するのだろうか……。
後半の男性視点から書かれたパートは、
えらくページ数多いな……と思ったら、
ヒロイン視点で進んでいた本編をもう一回男性視点で描いているだけだった。
こういうのも、たぶん、普通は短編で処理するところ。
男性サイドから描いても新事実が出てくるわけでもなく、
ひたすら「長いな……」と思っていた。
いろいろ気になるところはあったけれど、
不思議とトータルでの印象は悪くない。
主人公とその相手役が常識的な人間だったからかな。
(読み放題で読むと腹が立ちにくい、というのもあるかもしれないが)
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