帝をだまして出家させようとする父親の謀略に組み込まれたうえ、
着々と姉に結婚包囲網を敷かれた道長が、気持ちを昂ぶらせて
「一緒に都を出よう!」と駆け落ちを持ちかけてきたのに、
冷静すぎるぜ、まひろちゃん……。
まあ、身分の高い家のぼんぼんに母親を殺されても
生活のために一家揃ってそれを呑み込むしかなく、
どうしようもない身分差のために道長の妻にもなれず、
直前に直秀を理不尽に殺されて「世を正したい」という気持ちを抱いた……
という背景はばっちり描かれていたわけだけれども。
世を正すという志を実行できるのは、
生まれながらの身分が高い道長しかいない、というまひろちゃんの判断、
理性的すぎる。
でも、ここであまりにも理性的な判断を下してしまうのが
いかにも恋愛体質でない紫式部って感じもするよね……。
そして、もはや悪の一族としか見えない兼家ファミリー。
謀略が成功したら手柄は道隆のものだが、
失敗したら、道長を無関係なものとして逃がす、と
失敗したときのこともきちんと考えているパパ。
汚れ役にしていい息子(道兼・道綱)と
汚さない息子(道隆・道長)に、しっかり区別してるのが怖いよ。
【その他いろいろ】
・晴明、めっちゃノリノリで兼家を焚きつけてる。
政争の耐えない宮中ライフを楽しくサーフィンしてるの、
兼家と晴明だけだよ。
・糸は為時の召人であることを隠さないし、まひろも驚かないのね。
身よりもなく病身で、生活と出世の役に立たない女を
見捨てられない為時。
・明子登場!!
でも詮子姉さん、高明の娘を保護しても、後ろ盾にはならないんじゃない??
明子の兄弟は生きてるけど、この時点では後ろ盾になるような力は
なかったんじゃないのかな。
・晴明の屋敷の前を花山天皇の牛車が通って行った、って
大鏡エピソードだよね。
しかし、道兼は大鏡のような言い訳すらせず、
豹変して花山天皇のもとを去っていくのであった。