金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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207:繁田信一『呪いの都 平安京』

2020-09-25 22:03:28 | 20 本の感想
繁田信一 『呪いの都 平安京―呪詛・呪術・陰陽師
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

貴族たちの陰湿な望みをかなえるために、
都に暗躍する法師陰陽師。
呪詛と呪術に生きた彼らは、どのような人々だったのか。
歴史の闇に隠された呪いあう貴族の生々しい怨念を読み解き、
平安京の裏の姿を明らかにする。

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どうしても現代人としての視点で考えてしまうんだけど、
当時の呪術は、どうやって信憑性を維持していたんだろうか。
呪いをかける場合は、病気とか怪我とか失敗とかを
全部「呪い」の効果ということにして
「成功」とすることができるからいいんだけども、
そういうごまかしがきかない場面もあるよね。
怨霊を調伏するときなんかは、あらかじめ依坐童と
シナリオを決めておいて演技したりしたんだろうか。

実際の陰陽師はサイキックなどではなく、
計算による暦の作成や、それと関連した吉凶の告知が
仕事だったのだろうけれど、

呪物らしきものを発見→陰陽師に占わせる→やっぱり呪物だった

という流れが面白い。
呪詛かどうかは、素人には判断できず、陰陽師が決めるんだな。

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206:永井路子『執念の家譜』

2020-09-25 22:01:35 | 20 本の感想
永井路子 『執念の家譜』 (講談社文庫)

【Amazonの内容紹介】

三浦光村は元服して初めて、三浦一族と北条氏との
40年にわたる暗い宿縁を知る。
同じ関東の豪族でありながら三浦氏は、
鎌倉将軍家補佐の任を北条氏に奪われ続けたうえに、
北条氏は、鎌倉幕府存続のために、
地元の豪族・三浦氏を巧妙に利用してきたのだ。
だが、三浦氏の北条に対する反撥は、
何度かの争いを経て増幅されてゆく……。
という表題作のほか、曽我兄弟仇討ちを扱った「裾野」など、
精緻な歴史小説の短編6作を収める。

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表題作と「裾野」のみ読了。

「執念の家譜」

宝治合戦を描いた物語。
「目障りなやつは全部滅ぼす!」とばかりに
有力御家人を片っ端から攻めてきた北条氏と、
ぶつかりそうでぶつからないまま長い時間を過ごしてきた
三浦一族が、ついに衝突。
戦国期まで話を引っぱるのは興ざめなようにも思ったのだけど、
「誰かが裏切ることで全滅せずに生きのびてきた三浦一族が、
 裏切り者を出さなかったことによってついに滅びる」
というのは面白い。
そしてこれはタイトルがとてもいい。

永井先生の平安末期~鎌倉時代の話は本当に面白い。
別のものも読み返したくなってきた。

「裾野」

曽我兄弟の仇討については表面的にしか知らないので、
この物語のおもしろさはあまり理解できなかった気がする。
というのも、一般的な「曽我兄弟の仇討」のエピソードを踏まえたうえで、
「実は本当はね」という新解釈がされている物語だったから。
知識のベースがしっかり固まっている人ほど楽しい話なのではないかな。


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