篠綾子『藤原定家謎合秘帖 幻の神器 (角川文庫)』(角川文庫)
★★★☆☆3.5
【Amazonの内容紹介】
鎌倉前期の高名な歌人・藤原定家はある日、
父・俊成から三種の御題を解けば「古今伝授」を授けると言われるが、
数ヶ月後、俊成は何者かに誘拐される。
その目的は一体どこに?
鍵を握るのは御題の暗号解読。
美貌で毒舌の僧侶・長覚と、紀貫之と同じ紀氏の血を引く少年・潮丸と
協力して、父・俊成の救出に奔走する定家。
伝統的な和歌の修辞法と謎合わせをモチーフに
公家社会の権力の闇に迫る、平安鎌倉ミステリシリーズ開幕!
*********************************************
「藤原定家謎合秘帖」なんてタイトルがついてたら期待するでしょ!
定家が和歌の天才らしい知識と機転を駆使して
謎を解決するストーリーを!!
ところがどっこい!
定家、役立たず。
彼のアイデンティティの根幹を担っているはずの
和歌に関してすら、たいした活躍もしない。
序盤なんか、政争に関してやたらカッカとしていて、
「この人、そんなにそっちに思い入れあるの……?」
と違和感ばかりが募る。
同じ著者の「更紗屋おりん」ではそこまで雑な印象がなかったんだけど、
なんだか人物の描き方が表面的で、
途中で「読むのやめようかな」と思ったほど。
100ページを過ぎ、長覚と潮丸が登場してから
ようやくおもしろくなってきて、あとは一気読み。
ただ、話が壮大なわりに、
その中心となる「古今伝授」に関する設定がふわふわしてて、
終盤の展開もまったくすっきりしなかったのが残念。
序盤で「古今伝授」が和歌に関することだけでなく
何やら政治に関する重大な教えを含んだものであるらしい、と
示され、政敵や九条家がそれを知りたがるんだけど、
おかしくない??
そんな政治生命を左右するようなものが、
どうして摂関家でなく、官位に恵まれなかった
紀貫之や俊成に伝わってるのよ……。
おかしいとは思わないのか、みんな!
読み進めていくうちに、紀氏に伝承されているのは
それなりの理由があったとわかるんだけど、
「和歌を得意とした」という共通点があるだけで
どうして紀氏から俊成に伝承されたの?
その理由は「わからない」となっていたけど、
わざわざ伝える必要性を感じないんだよな~。
あやしいやつは序盤から「こいつあやしいな」だったし、
古今伝授の三つのお題についても
全然「そうだったのか!」感がなく、
話の展開上、こじつけたように思える。
(そもそも、伝授を受ける人間が
自分で考えなくていいって、おかしくない??)
文句ばっかり書いたけど、長覚と潮丸のキャラはよかったし
彼らの掛け合いもおもしろかった。
おもしろいところと納得いかないところの落差が激しすぎて、
評価に困るよ。
とりあえず、続編は読みます。
★★★☆☆3.5
【Amazonの内容紹介】
鎌倉前期の高名な歌人・藤原定家はある日、
父・俊成から三種の御題を解けば「古今伝授」を授けると言われるが、
数ヶ月後、俊成は何者かに誘拐される。
その目的は一体どこに?
鍵を握るのは御題の暗号解読。
美貌で毒舌の僧侶・長覚と、紀貫之と同じ紀氏の血を引く少年・潮丸と
協力して、父・俊成の救出に奔走する定家。
伝統的な和歌の修辞法と謎合わせをモチーフに
公家社会の権力の闇に迫る、平安鎌倉ミステリシリーズ開幕!
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「藤原定家謎合秘帖」なんてタイトルがついてたら期待するでしょ!
定家が和歌の天才らしい知識と機転を駆使して
謎を解決するストーリーを!!
ところがどっこい!
定家、役立たず。
彼のアイデンティティの根幹を担っているはずの
和歌に関してすら、たいした活躍もしない。
序盤なんか、政争に関してやたらカッカとしていて、
「この人、そんなにそっちに思い入れあるの……?」
と違和感ばかりが募る。
同じ著者の「更紗屋おりん」ではそこまで雑な印象がなかったんだけど、
なんだか人物の描き方が表面的で、
途中で「読むのやめようかな」と思ったほど。
100ページを過ぎ、長覚と潮丸が登場してから
ようやくおもしろくなってきて、あとは一気読み。
ただ、話が壮大なわりに、
その中心となる「古今伝授」に関する設定がふわふわしてて、
終盤の展開もまったくすっきりしなかったのが残念。
序盤で「古今伝授」が和歌に関することだけでなく
何やら政治に関する重大な教えを含んだものであるらしい、と
示され、政敵や九条家がそれを知りたがるんだけど、
おかしくない??
そんな政治生命を左右するようなものが、
どうして摂関家でなく、官位に恵まれなかった
紀貫之や俊成に伝わってるのよ……。
おかしいとは思わないのか、みんな!
読み進めていくうちに、紀氏に伝承されているのは
それなりの理由があったとわかるんだけど、
「和歌を得意とした」という共通点があるだけで
どうして紀氏から俊成に伝承されたの?
その理由は「わからない」となっていたけど、
わざわざ伝える必要性を感じないんだよな~。
あやしいやつは序盤から「こいつあやしいな」だったし、
古今伝授の三つのお題についても
全然「そうだったのか!」感がなく、
話の展開上、こじつけたように思える。
(そもそも、伝授を受ける人間が
自分で考えなくていいって、おかしくない??)
文句ばっかり書いたけど、長覚と潮丸のキャラはよかったし
彼らの掛け合いもおもしろかった。
おもしろいところと納得いかないところの落差が激しすぎて、
評価に困るよ。
とりあえず、続編は読みます。