金木犀、薔薇、白木蓮

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映画:『チャイルド44 森に消えた子供たち』

2015-07-23 23:13:33 | 映画の感想
映画:『チャイルド44』(ダニエル・エスピノーサ 監督)
★★★★☆

【映画.comの内容紹介】

スターリン政権下にある1953年のソ連。
9歳から14歳までの子供たちが変死体となって発見される事件が発生する。
現場は山間の線路沿いに限定され、全ての被害者は裸で胃が摘出されており、
直接の死因は溺死であった。
秘密警察の捜査官レオ(トム・ハーディ)は、
親友の息子が犠牲となったことから捜査に乗り出すことに。
だが、それを契機に元同僚に追われ、
妻ライーサ(ノオミ・ラパス)にいわれのない犯罪の容疑が掛けられてしまう。
窮地に立たされる状況で、真相をつかもうとする彼だが……。

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映画館にて。
子どもを被害者とする連続殺人の謎を追うミステリーあるいはサスペンス、
と思って見に行ったのだが、思っていたものとずいぶん違った。
確かに犯人を追ってはいるんだけど、連続殺人よりも、
主人公を取り巻くスターリン政権下のソ連の社会の陰惨さ、
救いのなさの方が印象に残った。

「楽園に殺人はない」というフレーズが繰り返し出てくる。
スターリン政権下の社会は楽園であり、殺人事件など起こるはずがない、
というのが建前だから、殺人は事故として処理され、
殺人だと騒ぎたてれば「消される」し、スパイ容疑をかけられれば
その時点でもう有罪は確定。
あまりの酷さ、容赦のなさに心臓をにぎりつぶされるような気分になる。
そんな社会で秘密警察に所属していた主人公は、
愛する妻がスパイ容疑をかけられ、
妻を見殺しにしなかったことによって左遷される。
その主人公に対して、妻が
「愛してなどいなかった。プロポーズされたときは一週間泣いた。
 MGB相手に断れるわけがない」
と激白するところなんか、もういたたまれないよね……。
ばんばん人は殺されるし、暴力シーンは激しいし、
本当に心臓に悪い映画だったけれど、
常に緊迫感があったせいか退屈はしなかった。
余計なことをするな! と主人公に反発していた左遷先の将軍が、
味方になるところなんか、なかなか熱い展開だったし。

話自体は悪くないけど、主人公と妻のビジュアルが好みじゃなかったな。
主人公に異常な執着をして陥れようとする同僚がイケメンでつらい。
コメント
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