PLANT U-BOX PROTEIN10 Regulates MYC2 Stability in Arabidopsis
Jung et al. Plant Cell (2015) 27:2016-2031.
DOI: 10.1105/tpc.15.00385
PLANT U-BOX(PUB)タンパク質はU-boxドメインを有したE3ユビキチンリガーゼで、シロイヌナズナでは64個見出されている。しかしながら、生物学的機能が知られているものはごくわずかである。米国 ロックフェラー大学のChua らは、シロイヌナズナPUB10と相互作用をする転写因子タンパク質を酵母two-hybrid法によって探索し、MYC2が相互作用をすることを見出した。この相互作用はPUB10のarmadillo(ARM)リピートとMYC2のC末端ドメインとの間で起こっていた。PUBタンパク質のE3リガーゼ活性に関与しているC249をAに置換したPUB10(C249A)もMYC2と相互作用を示した。PUB10およびPUB10(C249A)はホモ二量体およびヘテロ二量体を形成した。PUB10はMYC2およびMYV2のホモログであるMYC3、MYC4をポリユビキチン化し、PUB10(C249A)ではユビキチン化されないこと、PUB10とMYC2の相互作用は核で起こっていることが確認された。PUB10 は、発芽した種子、主根、側根、維管束組織、葉肉細胞、トライコーム、花弁、雄ずい、柱頭、胚で強い発現が見られ、MYC2 の発現部位と比較すると根や葉の維管束で発現が重なっていた。PUB10は26Sプロテアソームによる制御を受けており、自身のユビキチンE3リガーゼ活性が半減期を決定する主要因となっていた。野生型植物でのMYC2の半減期は1時間以下だが、PUB10活性のないpub10 変異体では半減期が2時間程度に伸びていた。また、PUB10 過剰発現させるとMYC2の減衰速度が早まり、PUB10(C249A)を過剰発現させると内生のPUB10活性が抑制されてMYC2の減衰が遅くなった。よって、MYC2はPUB10によって不安定化されると考えられる。ジャスモン酸によるシロイヌナズナ芽生えの主根の伸長阻害はMYC2を介してなされるが、PUB10 過剰発現個体やMYC2の欠損したjin1 変異体はJAに対する感受性が低く、MYC2 過剰発現個体やpub10 変異体は感受性が高くなっていた。したがって、PUB10はMYC2を介したJA応答を負に制御している。JAによって発現誘導される遺伝子のうち、TAT とJR2 はMYC2による正の制御を受け、PDF1.2 は負の制御を受けている。TAT とJR2 のJAに対する応答性はpub10 変異体とMYC2 過剰発現個体で高く、jin1 変異体とPUB10 過剰発現個体で低くなっていた。PDF1.2 の応答性については逆の挙動を示した。PUBタンパク質ファミリーのうち、PUB10と最も類似性の高いPUB11はARMリピートを介してMYC2と相互作用を示した。PUB11はE3リガーゼとしてPUB11自身とMYC2、MYC3、MYC4をポリユビキチン化する活性を有していた。pub11 変異体は、pub10 変異体と異なり、JA処理による根の成長阻害や遺伝子発現の変化は野生型と同等であった。また、pub10 pub11 二重変異体の表現型はpub10 変異体と同等であった。よって、PUB11のJA応答に対する重要性は低いと考えられる。
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