Differentiating Arabidopsis Shoots from Leaves by Combined YABBY Activities
Sarojam et al. Plant Cell (2010) 22:2113-2130
doi:10.1105/tpc.110.075853
YABBY 遺伝子は種子植物に特異的であり、シロイヌナズナには、FILAMENTOUS FLOWER (FIL )、CRABS CLAW (CRC )、INNER NO OUTER (INO )、YABBY2 (YAB2 )、YAB3 、YAB5 の6種類のYABBY 遺伝子が存在する。このうち、CRC とINO は花において発現し、他のYABBY 遺伝子はvegetative YABBY 遺伝子と呼ばれ、側生器官の背腹性(裏表)の決定に関与していると考えられている。vegetative YABBY 遺伝子は葉の背軸側で発現しているという発現パターンの類似性が見られることから互いに機能重複していると考えられているが、これまでに詳細な機能解析がなされているのは、FIL とYAB3 の2遺伝子のみであった。そこで、オーストラリア モナッシュ大学のBowman らは、vegetative YABBY 遺伝子がすべて機能喪失した変異体を作出して解析を行なった。yab2-1 変異体、yab5-1 変異体およびyab2-1 yab5-1 二重変異体の形態は野生型と同等であるが、fil-8 yab3-2 yab5-1 (yab135 )三重変異体およびfil-8 yab2-1 yab3-2 yab5-1 (yab1235 )四重変異体は、fil-8 yab3-2 二重変異体よりも小柄で頂芽優勢が失われて茂ったようになり、すべての側生器官で葉身の拡張と極性が失われていた。三重変異体、四重変異体の葉は、最初の数枚は葉身があるが、齢が進み茎生葉になるにつれて葉身が失われて放射状になった。また、花の各器官は糸状になった。四重変異体の最初の数枚の葉には向軸側にトライコームが見られ、背腹性が見られる。しかし、葉の表と裏で表皮細胞の大きさに明確な違いが見られず、葉肉・柵状組織の分化も不明瞭となり、三重変異体では向軸側(PHB 、REV 、AS2 )・背軸側(ARF4 )の指標となる遺伝子の発現やCINCINNATA-クラスのTCP 遺伝子の発現の低下が観察された。四重変異体の葉の周縁部は鋸歯や排水構造が形成されず、葉の葉脈パターンが非常に単純になっていた。四重変異体は胚の成長段階からオーキシン排出キャリアPIN1の分布に異常が見られた。また、三重変異体、四重変異体の胚発生過程において、分割されて形成されたような余分な子葉が見られることがあった。以上の結果から、vegetative YABBY 遺伝子は側生器官が葉へと分化する過程全般に関与していると考えられる。
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