The role of miR156/SPLs modules in Arabidopsis lateral root development
Yu et al. The Plant Journal (2015) 83:673-685.
DOI:10.1111/tpj.12919
miR156は多くの植物で見られる進化的に保存されたmiRNAであり、シロイヌナズナゲノムにはMIR156A ~MIR156H の8つの遺伝子が存在している。米国 ロックフェラー大学のChua らは、シロイヌナズナMIR156 遺伝子プロモーターでGUSを発現させてMIR156 遺伝子発現の組織特異性を比較したり、定量PCRでMIR156 の発現を評価した結果、一部のMIR156 遺伝子が根で発現していることを見出した。miR156のターゲットとなっているSOUAMOSA PROMOTER BINDING PROTEIN-LIKE (SPL )遺伝子の根での発現を見たところ、シロイヌナズナの3つのグループのSPL 遺伝子とも根での発現が見られ、特にSLP10 の発現が高いことがわかった。そこで、5コピーのMIR156A を発現させるコンストラクト(P35S:5MIR156A )およびmiR156活性を相殺するために5コピーのMIM156 を発現させるコンストラクト(P35S:5MIM156 )を導入した形質転換体の形態を観察したところ、P35S:5MIM156 系統の芽生えは側根が形成されず主根が短い表現型を示し、P35S:5MIR156A 系統は側根数が増加し主根が長くなることがわかった。よって、miR156は側生器官の成長を正に制御しているものと思われる。さらに、miR156非感受性型のSPL(rSPL )を発現させた形質転換体は、3つのグループのSPL(SPL3、SPL9、SPL10)とも側根の発達が抑制され、rSPL10 を発現させた個体では側根が殆ど形成されなかった。また、spl 変異体(spl3 、spl10 、spl9 spl15 )は側根数が増加した。miR156はターゲットのSPL9やSPL10により安定性が維持されることで正の制御を受けていることが知られている。P35S:5MIR156 、P35S:5MIM156 、PSPL10:rSPL10 を導入した芽生えの根端部でのPMIR156D-GUS活性を見たところ、P35S:5MIR156 系統ではGUS活性が低下し、P35S:5MIM156 系統、PSPL10:rSPL10 系統ではGUS活性が高くなっていた。PSPL9:rSPL9 系統、PSPL10:rSPL10 系統ではMIR156D の発現量が増加していたが、PSPL3:rSPL3 系統ではMIR156D の発現量は野生型と同等であった。P35S:5MIR156 系統の芽生えでは側根原基数が減少しており、P35S:rSPL3 系統、PSPL9:rSPL9 系統、PSPL10:rSPL10 系統では増加していた。しかしながら、出現した側根数はP35S:5MIR156 系統は野生型よりも多く、rSPL 系統は少なかった。また、出現した側根と側根原基を合わせた合計数、側根分裂組織の大きさは遺伝子型による差は見られなかった。よって、miR156/SPLsは側根原基の発達に対して影響していると考えられる。主根の伸長阻害や側根の伸長促進に関与しているオーキシンは、MIR156B 、MIR156D の発現を誘導し、さらにSPL9 、SPL10 の発現も誘導した。オーキシン処理によって、野生型、P35S:5MIR156 系統、rSPL 系統の側根数は増加したが、rSPL 系統の側根数は野生型植物よりも少なく、オーキシンだけではrSPL 系統の側根伸長を回復させるには不十分であると考えられる。オーキシン輸送阻害剤のNPAを処理すると側根数は減少するが、P35S:5MIR156 系統の側根数は野生型よりも多く、rSPL 系統では殆ど側根が形成されなかった。miR156とそのターゲット遺伝子であるSPL に関していは、これまでは地上部の器官の発達における重要性が示されてきたが、今回の結果から側根伸長等の根系の発達にも関与していることが明らかとなった。
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