RLF, a cytochrome b5-like heme/steroid binding domain protein, controls lateral root formation independently of ARF7/19-mediated auxin signaling in Arabidopsis thaliana
Ikeyama et al. The Plant Journal (2010) 62:865-875.
DOI: 10.1111/j.1365-313X.2010.04199.x
シロイヌナズナを用いた研究から、側根形成には、オーキシン応答因子のARF7とARF19およびこれらの因子と相互作用を示すSLR/IAA14といったAux/IAAタンパク質が関与していることが知られている。しかし、これらのオーキシンシグナル伝達に関与する因子以外にも側根形成を制御する因子が存在している。神戸大学の深城らは、側根形成の少ないシロイヌナズナ変異体rlf (reduced lateral root formation )を単離し、RLF 遺伝子はチトクロムb5様ヘム/ステロイド結合ドメインを有したタンパク質(At5g09680)をコードしていることを見出した。RLF は植物体のほぼ全体で恒常的に発現しており、RLFタンパク質は細胞質に局在していた。rlf 変異体芽生えの一次根は野生型よりもやや短く、側根原器の形成数が減少していることから側根数が少なくなっていた。また、地上部の各器官も野生型よりも小さくなっていた。これらの形態変化は、細胞の大きさの変化によるものではなく、細胞分裂の変化による細胞数の減少によって引き起こされていることが示唆された。rlf 変異体芽生えは、オーキシンによる根の伸長抑制、根端部でのオーキシン極大の形成が野生型と同等であり、オーキシンの生合成、輸送、応答に異常が生じた変異ではないと考えられる。rlf 変異体芽生えをオーキシン処理しても常に野生型よりも側根形成数が少ないが、添加するオーキシンの濃度に呼応して側根数が増加した。rlf 変異体の根でのARF7 、ARF19 の発現量、LBD16/ASL18 、LBD29/ASL16 のオーキシンによる誘導は野生型と同等であった。また、rlf arf7 およびrlf arf19 二重変異体は、arf7 、arf19 単独変異体よりも側根形成数が減少した。よって、RLFはこれらの側根形成に関与するオーキシン応答因子とは別の機構によって側根形成を制御しているものと思われる。
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