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更科功『爆発的進化論』第9章「性」男は何の役に立つのか:「性」についての「すばやい適応仮説」(遺伝子を混ぜ合わせる)!「赤の女王仮説」(遺伝子を変え、寄生者に対し防御する)!

2022-02-02 15:35:19 | 日記
※更科功(サラシナイサオ)(1961生)『爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った』新潮新書、2016年 

第9章「性」男は何の役に立つのか
(23)男がいる分、産まれる子孫の数が減るのに、なぜ男がいるのか?つまりなぜ生物に「性」があるのか?
男はいらない!男がいると子孫の数が減る!この世に女しかいなければ、「全員が子供を産む」ので子孫はどんどん増える。男がいる分、産まれる子孫の数が減る。(Ex. ヒトの場合、ほぼ半分が男なので産まれる子供の数が半分になる。)男がいない方が進化の上で絶対に有利だ。それなのに「男がいる」、つまり「生物にオスとメスがいる」、つまり「性がある」のはなぜか?(157頁)

(23)-2 「すばやい適応仮説」:「性」があることによって、「有利な形質を併せ持つ子供」が、「突然変異が起きるのを待つ」よりすばやく作れ、その生物が自然選択によって増えて行く可能性が高くなる!生物は「性があって、子供を作るたびに遺伝子を混ぜ合わせる」方が、すばやく「適応」できる!
例えば「数学の得意な男性」と「英語が得意な女性」が夫婦になって子供ができると4人に1人は「数学も英語も得意な子供」ができる。さらに「数学も英語も得意な子供」同士が結婚すれば、その子孫は全員、「数学も英語も得意な子供」となる。つまり「性」があると子供の数が少なくなるが、「有利な形質を持つ子供」を作る可能性が、細胞分裂で「突然変異」を待つより、はるかに高い。しかも「有利な形質を持つ子供」は自然選択によって増えて行く。生物は「性があって、子供を作るたびに遺伝子を混ぜ合わせる」方が、すばやく「適応」できる。(157-160頁)

(23)-3 「赤の女王仮説」:「性」があることによって宿主(多細胞生物)が遺伝子を変え、寄生者(細菌やウイルス)に対し、防御する!「今までと同じように生き続ける」ため、「性」がある!
(a)多細胞生物(宿主)は細菌やウイルスのような寄生者に感染する。宿主は防御システムを進化させ対抗し、すると寄生者がそれにさらに対抗し進化する。宿主がさらに防御システムを進化させるが、再び寄生者が進化する・・・・この勝負は結局、寄生者(細菌やウイルス)が勝つ。突然変異は世代交代の際に起きるが、宿主(多細胞生物)より寄生者(細菌やウイルス)のほうが、一世代の時間が短いなど、進化速度が速いからだ。かくて宿主(多細胞生物)は寄生者(細菌やウイルス)に負けやがて全滅する。(Ex. 大腸菌は20分で分裂する。)(162-163頁)
(b)たしかに進化速度では宿主(多細胞生物)は寄生者(細菌やウイルス)にかなわない。だが宿主が遺伝子を変えることで寄生者に対抗することができる。かくて寄生者を困らせるために、宿主(多細胞生物)は二人の間で遺伝子を半分ずつ交換する。つまり「性」の役割は「さらによく環境に適応する」というより、宿主(多細胞生物)が寄生者(細菌やウイルス)に負けずに、「今までと同じように生き続ける」ためだ。この仮説を「性」の存在理由についての「赤の女王仮説」という。(164-165頁)
Cf. 『鏡の国のアリス』に、「赤の女王とアリスは全力で走り続けることでのみ、同じ場所にいることができる」という話がある。(165頁)

(23)-4 単細胞生物の寿命は無限!多細胞生物は、使い捨てで死ぬ「体細胞」と、いつまでも死なずに分裂していく(寿命が無限の)「生殖細胞」からなる!
単細胞生物(Ex. ゾウリムシ)は分裂しながらいつまでも生きていける。単細胞生物の寿命は無限だ。だが多細胞生物(Ex. ヒトは約260種類の細胞で、数10兆の細胞からなる)も「体細胞」は使い捨てで「死ぬ」が、「生殖細胞」はいつまでも死なずに分裂していく。単細胞生物はそれ自身がいわば生殖細胞だ。単細胞生物が「使い捨ての細胞(体細胞)」を発明した時、それが多細胞生物の始まりだった。(168-170頁)

(23)-5 「精子」(生殖細胞)にとっての使い捨ての「体細胞」が「男」であり、「卵」(生殖細胞)にとっての使い捨ての「体細胞」が「女」だ!
子供ができるためには二つの生殖細胞が出会わなくてはならない。出会うためには生殖細胞が「動き回りかつ多数」でないといけない。しかもある程度成長するまでの「十分な栄養」をあらかじめ生殖細胞が持っていなくてはならない。生殖細胞がこの両条件を同時に満すことは、できない。「動き回りかつ多数」であると同時に成長するまでの「十分な栄養」を持つことは両立しない。(Ex. 「十分な栄養」を持つ生殖細胞は「数が少ない上に重い」)。かくて一方で「小さくて動き回る生殖細胞」(精子)をたくさん作り(ヒトでは1回の射精で1億の精子)、他方で数が少なくまた動かなくてもよいから成長するまでの「十分な栄養」を持つ生殖細胞(卵)へと分化した。「精子」という「生殖細胞」にとっての使い捨ての「体細胞」が「男」であり、「卵」という「生殖細胞」にとっての使い捨ての「体細胞」が「女」だ。(170-173頁)
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