King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

ゴールデンマンデリンの大伽藍

2019年10月29日 10時22分59秒 | 珈琲

昨日当店の近くの野坂町で火災があり、昨日私が夜ランニングをしている最中

また日野田町二丁目で建物火災が発生したという火災放送がありました。

そして、うちに帰り風呂に入ったころにはまた外は焦げたような臭いが立ち込めて

いました。

 

普段は季節の花や季節の空気の臭いが立ち込めそれを味わい走ることによりそれをより感じると

いう毎日の行為がこの異常な事態にニュースなどで見るテロの現場や戦争でがれきの山となった町

と災害の風景もきっとそれぞれひどいにおいも立ち込めているのだろうと想像されるのでした。

 

それから比べれば続けて起きたという特異な感じと、この立ち込める空気は何かまた感じる以上に

息苦しくさせるものがありました。

 

日曜の夜に感じたのは全く人通りがない人けのない空っぽの町といった感じで実に寒々しい

感じでした。これは以前にも似たような感じを抱いたことがあり、それはあの東日本大震災の

あとの計画停電の時のランニングのイメージです。

 

あの時は町の電気が消え、星の光とか電気以外の光が違うイメージを与えてくれ今の寒々しい

感じとはまた違う幻想的な物でした。しかし、今回感じた街灯だけが点いていて後は人けがなく

車さえ通らないといった町が死んでしまったかのような印象は実に不気味な物でした。

 

そのあとの火事が続いたこととこの時の感じは何か通じているようで、夜は何かを暗示して

いたのかと考えてしまいました。

 

さて、それとはまるで違う朝の啓示というようなものも感じていて、移転が滞りしばらくあきらめて

いた新豆も届きだし、届くやいなやすぐ焼いて飲んでしまうという繰り返しでその実力を確かめたく

毎日焼いては飲んでいます。

 

良質な大粒豆というのは当店では一つのテーマといえるほど仕入れにはこのケニア、インドネシア、

中米のバカマラといった豆をずっと厳選して入れています。

 

ここのところの気候変動でこれらの大粒豆というのは非常に入手しずらく、またあっても高いと

いうことになっています。

 

その中で面白いことにインドネシアというのはあまりサードウェーブとか大手チェーンなど

が手掛けてなくて味がいいのに安い豆があります。

 

今回手に入れたゴールデンマンデリンもこれは他のマンデリンとかインドネシアのブランド豆から

すると200g2000円はするトバコとかタブーとかいう豆より味は良いのです。

 

ここで指摘しておかなくてはならないのはマンデリンのイメージです。

これは昔から喫茶店のメニューにもあるマンデリンという珈琲のイメージが世では苦くてしっかり

主張してくる豆というものであり、端的に酸味がなくというコメントもよく聞きます。しかし、

実際のマンデリンはレギュラーのG1でもしっかりと酸味も甘味もあるのです。それなのにその

味を知らない人たちの勝手な勘違いにより、どこの自家焙煎店でもケニアとかマンデリンというと

やたらと深煎りにしているのです。

 

バッハのヴアィオリンパルティータ終楽章シャコンヌは一台のヴァイオリンが何とこうも荘厳な

音の大伽藍を築けるのかというまるで目の前にそびえる建物が徐々に姿を露わにするかのような

精神を音を通して目の前に具現化しているかのような幻想にとらわれるのですが、珈琲一杯でも

まさにこのようなイメージがどんどんと重なり大伽藍を築くような種類のものがあります。

 

かと思うとエクアドルのアンデスマウンテンのようにどこまでも一本の道がまっすぐ伸びる

ブレのないものとかただすっきりと一つのイメージをきっちり残すものがあります。

 

このゴールデンマンデリンは前者のタイプで様々な顔を見せイメージを刺激します。

 

ジャングルの中に突如現れる大寺院のようなイメージです。

 

そんな楽しみも知らず、マンデリンは苦いものという誤った認識はなかなか崩せず、

売り手の自家焙煎珈琲店でさえとにかく深く焼き苦みを出すことだけの認識しかない人もいる

事実と豆の味をまず引き出す努力をなさず、出来合いのイメージと誤った認識に沿った味しか

出そうとしない手合いがはびこっているという現実です。

 

それは数あるブランド豆や名前だけで高い豆を買わなくてよいことになり、安くてもこれだけの味が

ある豆を仕入れられることができ当店の役割を感じる原動力にもなっています。

 

ブランドや値段でなく珈琲豆は味で選んでもらいたいそんな思いを強くするゴールデンマンデリン

です。

 

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