『海賊と呼ばれた男』読了しました。
今年の夏の読書時間はSF『言語都市』と文芸春秋です。
この下巻に入る前にNETでこの本のキャッチをみると電車内で読むときは注意しろという
厚かましいものでした。
泣かしが入るということですが、かつてはこういう伝記ものの書き手として吉村昭とか
城山三郎といった名手がいたのですが、この本に関しては作家的技量に疑問を
抱きます。
会話文の不自然さや語り手の中立的立場や歴史史観において私感を挟まない
などのセオリーが壊れていることなど伝記ものとしての瑕疵があります。
下巻は有名な歴史的事件の日章丸事件が物語のメインになります。
かつては誰もが知る事件ですが今では丁度良くみんな忘れている時期に
日本人の心意気とか矜持とか本来持ち合わせているものを思い出させて
くれたという意味では、この本のヒットは当然なのかもしれません。