King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

『大仏破壊』読了

2007年06月17日 23時01分07秒 | 日々のこと
今またタリバンが、アフガニスタンで大規模なテロを行い
邦人にまで被害があったと報道されています。またアフガニスタンに
注目が集まっています。そんなこととは関係なく、『大仏破壊』を読みました。
これは2005年に単行本が出て、読みたい本だったのですが、
他にも中東物とか読むものがあったのでいつしか店頭にも
なくなり、忘れた頃に文庫本を本屋で見かけて買ってみました。

最近の本の流通は本当に早く、読みたいと思ったらとにかく
買っておかないともう本やにはなくなってしまいます。
この本は、内容からして9.11の時点で読んでこそ旬であり
関連情報も海外情勢にも強くなれるのです。しかし、ここにきて
忘れ去られていたアフガニスタンにも光が当たりだしました。
もちろん今は、イスラエルやイランの情勢が世界のトップニュースで
毎日報道されていますが、米国が攻撃したイラクやアフガニスタンに
何があったかを知ることは、世の中で何が行われているかを
知る道標になります。

この本はもともと著者がテレビ番組制作に取り組んだ問題を
改めて本にしたもので、そのNHKの番組自体は私も見た記憶が
あります。当時、報道されたバーミアンの大仏が本当に破壊
されるのか、日本でも注目されたこの事件は、私もたいへん注目
していました。いつか機会があれば、私もみたいと思っていたものが
破壊されて、もう見ることはできないのです。

タリバンの破壊の理由は、大仏は偶像崇拝に当たり、反イスラム
的であり、破壊しなければならないというものでした。しかし、今で
こそイスラム教国のアフガニスタンですが、この大仏ができてから
1500年も経っており、今までイスラム支配になっても破壊されずに
人々の目にされてきて世界遺産として世界中の人が保護すべきと
いう意見であり、周りのイスラム国の宗教学者も破壊を止めたのに
破壊されてしまったのです。

これを儀政者の愚行として済ませるのか、それとも現地では
何が起ころうとしていたのかというのを当時の指導者オマルの
側近や外交官、報道記者などにインタビューしてできたのが
この本です。ビンラディンの世界への挑戦状でテロの暴走が
ここから始まったということですが、その割には9.11のテロを
防ぐべく世界は動いていたのかという疑問もわきます。

実際に、アメリカに手を出させて制裁する口実を待っていたと
する人達もいます。しかし、現在アフガニスタンもイラクもすでに
米国により攻撃を受け、オマルもタリバン政権もフセイン政権も
なくなりました。フセインも処刑され、オマルとビンラディンは行方
不明です。ただ、タリバンやアルカイダがなくなったわけではなく、
テロは依然として続いています。もともとアフガニスタンにソ連が
侵攻した時に、タリバンができ当時の武装勢力を鎮圧し、平和と
秩序をもたらしたのです。それを破壊したために今はまた混乱と
暴力が支配する国になりました。

同様に、イラクも米国の攻撃によりフセイン政権はなくなり、
部族間が争う国になりました。つまりは、どちらも暴力により
暴力の渦巻く国をさらに混沌の奈落に落としただけなのです。
米国は、昔のように銃で侵略して豊かになった記憶が抜けない
のでしょう。現在そのような行為で平和は訪れないとなぜ悟れない
のでしょうか。いやこれだけ情報化が進んでいて、攻撃後がどうなる
と評価しないで戦争はしていませんから、今のような戦乱の地になる
のはとうに承知なのでしょう。武器やお金を武装組織に渡している
システムを絶たなければ、現在の混沌は収まりません。

昔の日本の城攻めでは、まず城を囲って兵糧攻めをして降伏を
促しました。圧倒的な戦力の差があってもいきなり空爆しか作戦が
ないというのは、あまりに芸がなさ過ぎます。まあシーア派でも
スンニ派でもいくらでもやりあってくれていいということなんでしょう。
イスラエルのように町の中に壁を作り民族が触れ合わないように
するというあまりにばかな事が今でも行われているのです。国際社会が
軍隊をおくり平和を監視するなんて発想でなく、もっと根本的な
解決をするべきなのです。まずは刀狩ですね。それから現地の人を
雇用して公共事業をして町を再建するしかないでしょう。

国際社会が銃を持たない国を最初に目指さないとそれもおぼつきません。
コメント
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