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黄金のアデーレ 名画の帰還

2015-12-03 | 劇場映画れびゅー
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツに奪われた数々の美術品の中には、クリムトの名画“アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I”も含まれていた。
戦後の所有権を巡る裁判の行方を描いた『黄金のアデーレ 名画の帰還』を観てきました。
★★★★

先日公開されたばかりの『ミケランジェロ・プロジェクト』では、第二次世界大戦末期にナチス・ドイツに奪われた膨大な数の美術品を探し出して取り戻すところが描かれていましたが、本作ではその後、せっかく無事保護された絵画が辿った数奇な運命が描かれている。

戦争末期に敗戦を悟ったナチスによって理不尽に行われていた破壊からは免れたものの、戦後のどさくさで確かな検証もされずにオーストリアの美術館が所有していた“アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I”。
国民が「オーストリアのモナ・リザだ」と表現する程の国宝的な絵画となり、国策として戦時中の盗難品の返還事業を初めたのに、美術館としては絶対に手放せないとの理由から、本来の所有権を持つアメリカ在住のオーストリア移民女性からの訴えは上から目線で足蹴にしてしまう。

ここから婆ちゃん(ヘレン・ミレン)と、その弁護士(ライアン・レイノルズ)が二人三脚で法廷に持ち込む為の知能戦と、第二次世界大戦当時に彼女がオーストリアからアメリカ大陸へと渡るまでのスリリングな逃走劇が平行で描かれはじめ、良い意味で嫌が応にも彼女に感情移入するようなつくりになっています。

ヘレン・ミレンがひたすら素晴らしい。

ネタバレ
数々の提案を突っぱねられた主人公は、最後は美術館からの提案を逆に蹴飛ばして絵画をアメリカに持って行ってしまう。
「おいおい、これって全然ハッピーエンドじゃなくない?」
現実に絵画はアメリカで売却されてしまっていて、オーストリア国民がこの映画を観たらハッピーエンドどころか、さぞかし悔しいことでしょう。
と言うか、あくまでユダヤ人目線で描かれているところから、オーストリアの非ユダヤ人は戦時中の事を反省しろ的な映画にも観えてしまって、映画の中身自体は面白いんだけど、なんかもやもやが残ります。

それにしても、理屈と情に訴える構成がもの凄く面白い映画ですので、一見の価値は有り。



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