虹色雑談

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平成ライダークロニクル1

2009-01-21 23:35:25 | ヒーロー

 先日、「仮面ライダーキバ」が終了し、いよいよあと数日後、1月25日日曜に、平成仮面ライダーシリーズ第10作目「仮面ライダーディケイド」が始まります。これまで世界観がバラバラだった平成ライダーが、一本の線で繋がる壮大なスケールで描かれる物語。全てのライダーを繋げる者であると同時に、全てのライダーを破壊する者でもあるディケイド(これはヒロイン・光 夏海がうなされているライダー大戦の悪夢において、ディケイドが全てのライダー共通の敵であるため)。果たして平成の10号ライダーは、どのような伝説を残してくれるのか、今から非常に楽しみです。

 さて、我がサイトに来られている方々は、平成ライダーをどこから見ていますでしょうか?最初のクウガから見ている方もいれば、中期のファイズや響鬼、近年の電王やキバが初めて見たライダーだった方、果てはクウガ時代幼くて初期の平成ライダーをリアルタイムで見ていない方もいるのではないかと思います。そこで今回、そういった方々のために、ディケイドで一本に繋がるクウガ~キバの9作品がいかなるものだったかを簡潔ではありますが、説明していきたいと思います。

 まずは2000年に全49話放映された「仮面ライダークウガ」。記念すべき平成ライダーシリーズの第一作目です。TVシリーズとしては1988年の「仮面ライダーBLACK RX」以来12年ぶり、新ライダーとしては1994年の「仮面ライダーJ」以来6年ぶりの作品であり、仮面ライダーの原作者・石ノ森章太郎氏がこの2年前に亡くなり、最早ライダーの復活は絶望的とまで言われていた時、時代は再びライダーを求め、復活しました。クウガはそれまでのライダーとは全くコンセプトを変え、全く新しい世界観、設定を構築、さらには明らかに子供向けとは思えないリアルなドラマを展開し、子供以上に大人の視聴者たちを多く獲得しました。クウガの最大の特徴は、状況に応じて4つの姿にフォームチェンジ出来るという点です。強化変身の元祖はストロンガーのチャージアップや、RXの二段変身など、先駆者がいるものの、フォームチェンジはその後の平成ライダーには欠かせない要素となりました。それまでの昭和ライダーとは明らかに異なる作風に、当初度肝を抜かれ、戸惑ったファンも大勢いたと思います(僕もその一人です)。しかし、今考えると現代まで続く平成ライダーの礎を築いた上、バイクアクションもシリーズ随一だったのも評価出来ます。「仮面ライダー」であってそれまでの「仮面ライダー」でない、全く新しいヒーローシリーズとして誕生した本作、主題歌にもある通り、「時代をゼロから始めよう」と、新世紀の「仮面ライダー第0号」とも言え、平成第一弾にして賛否両論含め多くの話題を作るには十分な魅力を兼ね備えていた秀作です。ことに敵・グロンギの存在は、リアリティ重視の作風だったことから初代ライダーとかが持っていた「身近な恐怖」を別ベクトルで表現出来ていたと言えるでしょう。

 続いて2001年に全51話が放映された「仮面ライダーアギト」。平成第二弾にして、仮面ライダー生誕30周年記念作としてもの凄い力が入れられ製作されました。本作では、それまでにない要素として、最初から立ち位置の異なる3人のライダーが登場、以後複数ライダー制は基本フォーマットとなります。アギトは王道的なデザイン、G3はメカニカルデザイン、ギルスは生物的なデザインとなっています。そして大きなポイントは、この3人は最初仲間ではなく、互いに出会い、意見の違いや誤解から対立し激突、そして和解して共闘するという流れを、見事に描いています。故に最終決戦で3人が共闘するシーンを見ると熱い思いを感じてしまいます。物語は謎が謎を呼び、目が離せない展開も視聴者を惹きつけ、いくつか消化不良の伏線や終盤の失速がやや残念ではありますが、視聴者の興味を1年間引っ張り、今なお平成最高視聴率と最大話数をキープ、やや強引とはいえ物語をきっちり簡潔させたのも評価出来ます。複数ライダー制の採用、バトルシーンの多様化、毎年の映画も本作が最初で、まさにヒーローのエンタテイメント性を大きく模索した野心作だったと言えましょう。そして本作において忘れてはいけないのが、アナザーアギトこと木野 薫です。翔一たち各々にライダーとしての悩みや葛藤はありましたが、彼が抱えていた苦しみは「悲劇の戦士」という名が合うくらい群を抜いており、彼のアンチヒーロー的な格好良さは今でも人気です。ちなみに個人的に好きな台詞として、最終話におけるG3-Xこと氷川 誠の「ただの人間だ!」という台詞ですね(地のエルに「お前はアギトではない。なのに何故これほどの力を!?お前は何者だ!?」という問いに対して)。一人だけアギトではないがために、「アギトになりたいのかも知れない」とまで言っていた氷川 誠が最後に導き出した結論、それは人間・氷川 誠として生きること、それを言葉にして叫んだあの台詞は凄く格好良かったです。もう一点個人的に良かったのは最終話の一つ前、自殺を図ろうとした可奈を翔一がつかみ、そこに沢木が「離すな!お前の手は、人を守る手だ!」と手助けしたシーンです。かつて雪菜の手を離してしまった彼が、翔一に自分と同じ十字架を背負わせないため翔一の心に叫んだ台詞として、凄く心に響きました。アギトという作品は、悪と戦うヒーローものというよりは、登場人物たちそれぞれが、「自分が自分らしく生きていくために何をすべきか、何を為すべきか、何を見つけるべきか」を模索する自分自身との戦いを上手く描いていたと思います。

 続いて2002年に全50話が放映された「仮面ライダー龍騎」。平成ライダー第一の大きな転換点となった作品で、異世界ミラーワールドから人間を狙うモンスターに立ち向かう仮面ライダーが13人おり、しかもその13ライダーは自らの望みをかけ、最後の一人になるまで戦うという重い宿命を背負った、ライダーの中でも異色作です。始まる前はそのデザインや設定に非難囂々でしたが、いざ始まると意外に人気が出たから驚いた記憶があります。ライダーバトルを主軸に持ってきた本作は、それについては無論賛否両論ですが、その後の作品のライダーバトルの理由が「コイツ気にくわない」「考え方が違うから」とかいうしょうもない理由が増えたことを考えると、「そういう掟だから」という絶対かつこの上ない理由を設けたことで、本作のライダーバトルはある意味最も理にかなっていると言えます。「唯一の正義」を否定したことで様々な考えで戦うライダーたちのドラマの重厚感があり、何よりライダー役者の大半が芸達者だったことが高評価です。ことに王蛇こと浅倉 威役の萩野氏やタイガこと東條 悟役の高槻氏は前に別のヒーローをやってたのを感じさせないほどの演技を見せてくれました。物語も賛否両論な割に平成の中では群を抜いて人気があるため、本作は平成シリーズの中でもオススメです。それとこの龍騎という作品で最も評価すべき点は、「仮面ライダー」に戦隊のような自由度を設けたです。「ライダーはこうデザインしなければならない」「ライダーはこうあるべき」というある意味ライダーシリーズの設定の自由を縛っていた足枷を取り払ったエポック的作品です。この作品がなければ、後の平成ライダーも誕生しなかったことでしょう。また、本作のライダーはバイクの使用が少なく、その代わり各々に契約モンスターがいます。これについては以前ブログでも書きましたが、英単語「ride」の意味の一つに「支配する」という訳があり、これを「使役する」に置き換えると、モンスターを使役しその力を行使するという意味になり、バイクを持たずとも「ライダー」という名が成立します。これもまた、その後のライダーに自由度を設けました。

 シリーズ第四弾は2003年に全50話が放映された「仮面ライダーファイズ」です。当初デザインにはこれまた驚いたものの、アクション向きバイクの登場、前作で13人も登場した反動か、当初ライダーはファイズ一人、さらに敵側にもドラマがあるなど、多少変化球な原点回帰と思わせておいて、実はかなり超変化球だった本作は、登場人物の群像劇が平成随一とも言える人間ドラマを展開しました。「善悪二元論」を否定したことで多様な人間ドラマが展開されましたが、見ていた子供たちは誰が正義で誰が悪か混乱したのではないかと思いますね。そんな様々な思いが錯綜する中、自分のスタンスや人間でないことに悩み葛藤し、人間として戦う道を選んだ主人公・乾 巧は今でも平成主人公の中では一番好感の持てるキャラです。ヒーロー作品としては問題が多すぎですが、乾 巧の成長劇として見た場合、その完成度はかなり高いと言えます。また、映画版はTVシリーズとは完全に世界観を切り離しているため、ほぼ予備知識無しで見られるライダー映画として、平成映画版の中でも特に高い完成度を誇っています。未見の方は是非オススメです。

 シリーズ5年目は、2004年に全49話が放映された「仮面ライダーブレイド」。トランプとそれに符合する昆虫がモチーフ、4人中3人が明確に「スーツ」だと強調するデザイン、そして全員がアクション向きのバイクを所持するなど、これらの原点回帰要素と共に、敵を倒すのではなく「封印」する点や、ライダーが「職業」であるなどの新要素も入れるなど、意気込み満載な作品として登場しました。しかし、前二作の物語の強インパクト感の後引きか、全体的な物語はやや地味になった感は否めず、役者のキャリア不足による滑舌が上手く言ってない台詞群・オンドゥル語などの名(迷)物を生み出したり、初期の話がインパクト不足だったのが痛かったですね(レンゲル登場辺りから話にインパクトが出始め、見応えある作品になりましたが)。出だしをしくじったこと、裏番組にポケモンサンデーが来たこと、玩具面でベルトよりラウザーを重視してしまったことなどで、視聴率と売り上げがピークだったファイズを大きく下回ることになる結果になってしまったものの、終盤の4ライダー共闘やジョーカーの葛藤など、評価点もかなり高く、何よりあんな最終話、誰が予測出来たでしょうか(伏線はありましたが)?出だしこそしくじったものの本作は平成のターニングポイントとして重要なポジションではないかと思います。

 次回は響鬼~キバを紹介してきます。


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