北朝鮮関連の話題が少し出たついでに。スウェーデンは中立国として有名である。
北朝鮮関連ニュース
北朝鮮関連ニュースその2
第二次世界大戦でも中立を貫き、またストックホルムの戦争博物館に行けば、中立国の立場を利用してドイツからユダヤ人を助け出した外交官、ラウル・ワレンバーグ(Raoul Gustaf Wallenberg)
Wikipedia「ラウル・ワレンバーグ」
の仕事を大きくコーナーを使って展示している。それはそれで素晴らしい事だし、別に文句を付けるつもりは無いのだが、何だか引っかかる感じがどうしても抜けない。本当に中立って素晴らしいのか?どうなんだろう?
第二次世界大戦当時、ドイツは電撃戦でヨーロッパを席巻した。だがドイツの産業は今も昔も原材料の殆どを輸入に依存している。兵器を作るに当たって、石油はルーマニアからの輸入に依存していた。では鉄鉱石は?スウェーデンである。スウェーデン北部のキルナ(Kiruna)には世界最大の鉄鉱山があるのだ。ただバルト海は冬期になると凍結してしまう為、山脈を超えてノルウェー側に運び、不凍港であるナルヴィク(Narvik)に持ち出し、そこから船で運んでいたのだ。第二次世界大戦勃発後、ドイツはこのナルヴィクが連合国側の手に落ちる事を防ぐ為にノルウェーに侵攻を開始する。ノルウェー側にはイギリス軍も加勢し、激戦が繰り広げられる事になる。スウェーデンはどうしたか?当然参戦などしない。中立を守る為、である。しかしこの時にはイギリスに睨まれる事を防ぐ為、ドイツに対して偽装開戦の準備もしたのである。本気でドイツに戦いを挑む気があるなら、開戦ではなく鉄の輸出を止めれば済んだ筈である。結局第二次世界大戦を通じてスウェーデンの鉄鉱石はドイツの軍需産業を支え続けた。
同様の事例はソ連・フィンランド戦争(冬戦争)の時にも見られる。ソ連が領土割譲を求めて参戦したのに対し、フィンランド軍は思いの他に善戦、ソ連軍を一定の時間食い止める事に成功する。国際世論はフィンランドに同情的で、連合国はフィンランドへの援助を検討するが、スウェーデンは自国内を他国の軍隊が通過する事を拒否する。中立を守る為、である。フィンランド軍とソ連軍の戦力差は圧倒的で、放置すればフィンランド軍が敗退する事は明白であったにも関わらずである。結局戦争は損害を払いつつもソ連の勝利で終わる。
日本では中立国スウェーデンというイメージばかりが先行している印象を受けるのだが、別に盲目的に国際法を順守している訳ではなく、ちゃんと国際的な力関係を計算した上で行動しているように見受けられる。しかし、これを隣国として戦争の真っ最中にあるフィンランドやノルウェーの側から見たら、たまったものでは無いであろう。現在でもこれらの隣国には、スウェーデンの行動は必ずしも快くは思われていない節がある。
知り合いのスウェーデン人に聞いても、「スウェーデンは第二次世界大戦中、チキンとして振る舞った」とはっきり言っていた(ちなみにフィンランド系のスウェーデン人である)。もちろん、見方を変えればこれでスウェーデン政府は自国民を戦争の災禍から守れたのだから、これはこれでありな戦術なのだとは思うが。
北朝鮮関連ニュース
北朝鮮関連ニュースその2
第二次世界大戦でも中立を貫き、またストックホルムの戦争博物館に行けば、中立国の立場を利用してドイツからユダヤ人を助け出した外交官、ラウル・ワレンバーグ(Raoul Gustaf Wallenberg)
Wikipedia「ラウル・ワレンバーグ」
の仕事を大きくコーナーを使って展示している。それはそれで素晴らしい事だし、別に文句を付けるつもりは無いのだが、何だか引っかかる感じがどうしても抜けない。本当に中立って素晴らしいのか?どうなんだろう?
第二次世界大戦当時、ドイツは電撃戦でヨーロッパを席巻した。だがドイツの産業は今も昔も原材料の殆どを輸入に依存している。兵器を作るに当たって、石油はルーマニアからの輸入に依存していた。では鉄鉱石は?スウェーデンである。スウェーデン北部のキルナ(Kiruna)には世界最大の鉄鉱山があるのだ。ただバルト海は冬期になると凍結してしまう為、山脈を超えてノルウェー側に運び、不凍港であるナルヴィク(Narvik)に持ち出し、そこから船で運んでいたのだ。第二次世界大戦勃発後、ドイツはこのナルヴィクが連合国側の手に落ちる事を防ぐ為にノルウェーに侵攻を開始する。ノルウェー側にはイギリス軍も加勢し、激戦が繰り広げられる事になる。スウェーデンはどうしたか?当然参戦などしない。中立を守る為、である。しかしこの時にはイギリスに睨まれる事を防ぐ為、ドイツに対して偽装開戦の準備もしたのである。本気でドイツに戦いを挑む気があるなら、開戦ではなく鉄の輸出を止めれば済んだ筈である。結局第二次世界大戦を通じてスウェーデンの鉄鉱石はドイツの軍需産業を支え続けた。
同様の事例はソ連・フィンランド戦争(冬戦争)の時にも見られる。ソ連が領土割譲を求めて参戦したのに対し、フィンランド軍は思いの他に善戦、ソ連軍を一定の時間食い止める事に成功する。国際世論はフィンランドに同情的で、連合国はフィンランドへの援助を検討するが、スウェーデンは自国内を他国の軍隊が通過する事を拒否する。中立を守る為、である。フィンランド軍とソ連軍の戦力差は圧倒的で、放置すればフィンランド軍が敗退する事は明白であったにも関わらずである。結局戦争は損害を払いつつもソ連の勝利で終わる。
日本では中立国スウェーデンというイメージばかりが先行している印象を受けるのだが、別に盲目的に国際法を順守している訳ではなく、ちゃんと国際的な力関係を計算した上で行動しているように見受けられる。しかし、これを隣国として戦争の真っ最中にあるフィンランドやノルウェーの側から見たら、たまったものでは無いであろう。現在でもこれらの隣国には、スウェーデンの行動は必ずしも快くは思われていない節がある。
知り合いのスウェーデン人に聞いても、「スウェーデンは第二次世界大戦中、チキンとして振る舞った」とはっきり言っていた(ちなみにフィンランド系のスウェーデン人である)。もちろん、見方を変えればこれでスウェーデン政府は自国民を戦争の災禍から守れたのだから、これはこれでありな戦術なのだとは思うが。