道草あつめ

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東大卒業式大幅縮小

2011-03-18 22:55:47 | 社会一般
 「平成22年度東京大学学位記授与式及び卒業式について」(公式HP、2011.3.17)によると、教職員数名と各学部の卒業生代表のみで式典を執り行うそうだ。
 良心的に考えれば、安田講堂に大勢集めてる時に余震か何かで事故があったら責任問題、
ということが大きな理由であろう(しかし、それならば普段からきちんと検査しておいて欲しいものだ)。

 しかし、もし仮に、節電や「自粛」のためであったとしたら、頂けない。
 前者であれば、それは東大の卒業式が、電気を敢えて使って行うほどの価値が無いもの、ということを自ら曝露するに他ならない。そんなものなら、普段から行わなければ良い。
 後者であれば、実にくだらない。戦時中の大政翼賛的な姿勢への反省からスタートしたはずの戦後東大が、70年を経て逆戻りしたということになる。政治や世間の空気に「右に倣え」をせず、自らできちんと「何に価値があるか」を見出だそうと考えるのが最高学府の役目であるはずだ。
 そして、「未曾有の危機」の中だからこそ、なおさらに、「ここで一発、卒業生一同の前で素晴らしい訓辞を垂れて、逆境に立ち向かって行く諸君の栄養にしてやろう」という気概が欲しい。それがエリートを養成する教育機関の務めであろう。

 卒業式は決して遊びではない。アカデミックガウンや振袖といったコスプレのために設けるものではない。総長・理事・学部長の持てる叡智を叩き付けて送り出す、大学教育最後の舞台である。代表だけが参加し、残りはインターネットでライブ中継を見る(ことができる)などというもので、それが可能だろうか。

 すなわち、もし「自粛」だとしたら、それは馬脚を顕してしまったということである。



 ところで、余談だが、今年の卒業生は、実に数奇な代であった。

・意気揚々と入学し、最初の年の学園祭では「はしか騒動」。
・大学二年生になると「リーマンショック」で家計がピンチ。
・大学三年生から就職活動を始めるものの、「就職氷河期」の中でなかなか内定を取れず。
・ようやく進路も決まり、まもなく卒業という時になって、「式典縮小」(実質は中止)。

 きっと、打たれ強くたくましい社会人となるだろう。

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