道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

尊敬する人物

2011-08-02 20:04:13 | その他雑記
 NHK「クローズアップ現代」のキャスターを務める国谷裕子という人物を、私は尊敬している。
 基本的に聞き手に回っているのだが、ゲストの話をよく理解して、短い時間でしっかりとまとめる。要所要所で差し挟む質問も、(少なくとも視聴者にとって)実に的を射たものである。

 人の話をきちんと聞く、きちんと相槌を打てるというのは、大変に難しいことである。
 まず、普通の人間というのは、自分の理解できることしか理解できない。自分の容量を超える話をされると、全く理解できないのみならず、悪質なものになると、話を捻じ曲げ、捏造する(このことについては、以前の記事で詳しく紹介した)。
 また、相手の主張を理解していても、自分の考えを述べ始めて、相手の話を遮ってしまう人間も多い。政党同士の討論番組などは、大抵は彼らのマナー違反が目も当てられないありさまになる。いい大人が、実にみっともない。

 そこを、国谷氏は、話をきちんと聞いて、誤解も曲解もせず、基本的にはゲストに言われた内容に忠実に話をまとめる。ゲストの話が番組のテーマから離れた主張になっても、なるべく本題に戻そうとする。また、質問はあくまでも、一般の視聴者にとって分かりにくい場所の説明を求めたり、相手の話を引き出したりするために繰り出される。そして、これだけ長く、この番組のキャスターをしていれば知識は大量にあるはずなのだが、決してわけしり顔にならず、我々一般の視聴者に寄り添って、素人の目線から話を進める。
 これを、何でもないことのように淡々と毎日こなすというのは、超人的である。

 ところで、今日の番組は、ゲストの話が実に分かりにくかった。分かりにくいというよりも、聞き取り辛かった。それをどうするかと見ていたら、そこはさすがのベテラン、分かりにくい話にうまく質問をして、分かるように説明をさせていた。
 しかし、最後の締めが無かった。ゲストがしゃべりっぱなしで放送終了。いつもはゲストの話を途中でもうまく切って、なんとか総括するものなのだが、今回はそれがなかった。おそらく、切りどころが分からず、諦めたのだろう。
 そういう日もあるさ。