モスクワ中央音楽学校のピアセツキー先生の動画を、5年振りに見てみました。
2018年にブログでご紹介したものですが、当時は字幕機能が限られた言語にしかなかったのか私が気付かなかったのか、何を話されているかは全くわからない状態で拝見していました。
現在では、完璧ではなくともある程度知ることができる日本語の字幕が見られます。
私自身も2018年と言えば、このメソッドで教え始めて間もない頃で、子どもたちの癖がどのようなものかまだ分かっていない状態でした。
どのくらいで力みなく弾けるようになるか、いつ頃までには基本的な手の使い方が出来ると良いか、それらの目安さえ分からない頃でした。
字幕でご覧になられていない方がいらっしゃいましたら、是非、字幕をお使いになってご覧になって下さい。
改めて拝見して驚いたのが、ピアノの鍵盤に指を置く一番最初のことに、レッスン回数を何度も使っていることです。
消しゴム付き鉛筆を生徒さんの指の下から当てて、「押さなくていい、なんにもしなくていい」と力まないことを最初にしています。生徒さんには馬に蹄鉄(馬の靴とも)を履かせていると話しています。そして、この骨が見えるようにしてと、第1、2、3関節を指さしています。指がクニャとすると、これは蹄鉄ではない、馬は落ちる(翻訳ではそうなっていますが、転ぶではないかと思います)と仰っています。
消しゴム鉛筆の目的を私は指のどこで弾くかと捉えていました。しかし、ピアセツキー先生の動画では、指の関節を意識する、指をぐらぐらさせずにピアノは弾く、そしてそれを力まずにするのだと教えるために使っていると思いました。
3の指で鍵盤を順番に弾く時に、下におろしたあと何をしているかと手首のことを言っています。小さなため息のようなもの、と手首から僅かな動きで移動していますが、それを生徒さんに先生の手の上に手を載せてもらったり、先生が手を持って一緒に弾いたりして教えています。
お家の人には、手首で呼吸することはお子さんには言う必要はない。言うと手が緊張し始める、何も考えなくて良いと仰っています。
子どもには、感覚として分からせると理解できます。
イリーナ先生の教本もですが、理論的なこともまず感覚として掴んでもらってからそれが何であるかあとから理解する。
ピアセツキー先生、あらゆるところが力んでいる。残念ながら今はこのままでしょう。早くこれがなくなるほど良くなる。と、はっきり言っています。
手を持った時に、3ヶ月経っても指、腕、手首が力んでいるとピアノを弾くことは困難です。
できれば、音を読み始める前にこれはほぼ無くしておきたいです。
ただ、日本では先に進まなければ何をしているのだ、となりがちです。
何をしているのだは、こちらの台詞と言いたいのですが、自分の教え方のせいで生徒さんが出来ずにいると考えるのも日本の先生です。
責められずに済むレッスンを、趣味で習っているということを盾にして続けているのが日本のピアノ教育だろうと思います。
コンクールに出たり、賞をとるお子さんだけが特別なことを教わるのではなく、ピアノを習う子どもたち全てが本当の事を教わるのが当たり前になってほしいと思います。