
森の入り口でいきなり遭遇した牝の親子鹿

村道を闊歩する牡のケラマジカ
慶良間島や阿嘉島に行くと鹿を目にすることがある。
人間慣れしているのか?カメラを構えてもじっとしてこっちを見て動かない。
ケラマジカは、国内で最南限に棲息する野生ジカであり、日本で唯一の亜熱帯性の有蹄動物でもある。
亜熱帯島嶼型の生態を知る上でも、学術的な価値が高い。
また、クジラ類を除けば、慶良間諸島に分布する唯一の大型哺乳類である。
なお、ケラマジカは“島渡り”、すなわち泳いで慶良間諸島の各島間を移動することが知られており、
実際に泳いでいる姿が目撃されたり、時には泳ぎ疲れて漁船に助けられたりすることもあるという。
島渡りは主に繁殖期に行われる。
また、現在、阿嘉島・慶留間島・外地島の3島は、阿嘉大橋などの道路橋でつながっており、
ケラマジカもその橋を渡って各島間を行き来していることが知られている。
形態的特徴
日本国内に分布するニホンジカの7つの地域亜種の中でも最も小柄で、
雄の成獣で通常30キログラム程度。毛の色も本土系のシカより多少暗色を帯び、
雌や子ジカの背中には黒い筋がある。
頭骨および角は、本土系のシカと比べて著しく小さい。
頭蓋最大長を比較すると、雄でホンシュウジカの82%、雌で89%程度(沖縄県教育委員会, 1996)。
角は雄ジカだけに生え、毎年3月末から4月にかけて抜け落ちる。
角の内側には、顕著なこぶ状突起が見られる。
習性
本来は夜行性で、夜には集落まで降りてくることもあったが、警戒心が強く、人には近づかなかった。
しかし近年、阿嘉島などでは日中も頻繁に浜などに下りてきて、人前に現れるようになっている。
人がかなりの距離まで近づいても逃げない個体も見られ、新たな観光資源となっている。