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『坂の上の雲 八』(その4)

2013-03-11 01:13:57 | 日記



 こんにちは。

 『坂の上の雲 八』(その4)です。

 「砲火指揮」149~160頁:以下のような砲弾発射の工夫などがあり日本がロシアより優勢にあったことが書かれる。

・日本海海戦は、敵味方の各艦の性能や、各兵員の能力や士気より、日本側の頭脳がロシア側を圧倒したと考えられる。
・第一に、海上での射撃はなかなかあたらないため、かなりの射撃訓練をした。

・第二に、射撃指揮法にある。ロシアの場合、一つの艦で各砲台がばらばらに発射していた。しかし日本の場合、「射距離は艦橋において掌握する」という考えにたっていた。

・第三に、敵との距離に応じて東郷が弾の種類を変えたことであった。遠距離のときには、炸裂して兵員を殺傷する砲弾(鍛鋼榴弾)を使い、距離が三千メートル以下になると、艦隊の装甲部を貫き大穴をあける砲弾(徹甲榴弾)を使った。2500m以内でなければ敵の装甲を貫けないと考えたからである。

・浪がたかいという現象も日本に有利であった。当時12インチ砲弾では戦艦を沈めることができないとされていた。軍艦の装甲は艦の水線付近に厚くほどこされている。水線より上は薄く、水線以下はまったく装甲されていない。ところが、この日本海海戦の日、浪が高くロシア艦隊が水線以下の無防備な部分をさらけだし、そこに日本の砲弾が集中し、沈まないはずのロシア戦艦を沈める結果となった。

・さらに、東郷は風上へ風上へと自分の艦隊をもっていってことで、照準をあわせやすくしたことも日本の砲弾の威力をかなりたかめた。

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「死闘」161~210頁
・日本海海戦は2日間つづく。しかし秋山真之は終生、「最初の三十分間だった。それで大局がまった」と語った。
・東郷は「すべての砲火をもって敵の先頭に集中する」ということをかたく守ったが、ロシアには作戦に主題性がなかった。

・ロシアの第二戦艦戦隊の旗艦である「オスラービア」が、最も早く午後3時10分には沈んだ。

・ロジェストウェンスキーが乗る旗艦「スワロフ」が自由を失うのにも攻撃開始後30分はかからなかった。ロジェストウェンスキーは運良く軽傷ですんだが、無線機がこわれ命令が伝わりにくくなった。その後すぐに、司令塔に砲弾が命中しロジェストウェンスキーは脚を負傷し治療室に運ばれる。

・ 14:50:スワロフのみが突然、北へ回頭した。それはスワロフの舵が破損し、北へ向かうようにみえたのである。しかし、バルチック艦隊の2番艦、戦艦「アレクサンドル3世」の艦長ブフウオトフ大佐はただちにスワロフの舵の故障を見抜いてスワロフを追わず、結果として後続全てのロシア艦は「アレクサンドル3世」に続いて進路を南東方向に向かった。

・この動きにたいして、それまでは日本とロシアの艦隊は平行して戦っていたが、突然スワロフが北へ向きをかえたので、東郷平八郎、秋山真之、加藤友三郎たちは、ロシア艦隊がウラジオストクへ逃げるのではないかと疑い、向きをかえた。

・しかし、「スワロフはただ故障しただけである」と見抜いたのが、第二艦隊の旗艦「出雲」の参謀佐藤鉄太郎と司令長官の上村彦之丞であった。艦隊の多くがスワロフの動きに振り回されたが、出雲は東郷の命令には結果的には従わず、ロジェストウェンスキー艦隊を追跡した。
・もし、この時佐藤らにスワロフの動きが故障として見抜かれていなければ、ロシア艦隊の一部はウラジオストクまで逃げていたかも知れない。

・15:58:別れていた東郷(三笠)らと上村(出雲)が、逃げるロシア艦隊を運良く挟み撃ちにする。
・逃げるバルチック艦隊を逃がさないように巧みな操船と砲術によって、少しずつ沈めていった。

・17:30:ロジェストウェンスキーは駆逐艦「ブイヌイ」にうつり、数百の乗組員を残したまま「スワロフ」から離れていった。(スワロフはその後19時過ぎ、日本の魚雷により沈没)

・19:10:東郷は、主力艦への攻撃中止命令と鬱陵島への艦隊集結を命令し、主力艦による砲戦に代わり、21隻の駆逐艦と40艇の水雷艇に対し夜襲による攻撃命令が出された。この後、夜明けまで駆逐艦や水雷艇によってロシア艦隊への夜襲が行われることになる。

・【補足】『坂の上の雲 8』には「「七段構え」の第一段階がおわった」とあるが、厳密には第一段はおこなわれていないそうです。(wikiによる)

 (wikiによると)秋山真之参謀が立てたバルチック艦隊を全滅させるための周到な迎撃作戦計画。「天気晴朗なれども波高し」の電報で、大本営は、第一段が行われないことを理解した。実際には、第二段と第三段のみでバルチック艦隊を殲滅した。

第一段:主力決戦前夜、駆逐艦・水雷艇隊の全力で、敵主力部隊を奇襲雷撃
第二段:わが艦隊の全力をあげて、敵主力部隊を砲雷撃により決戦。丁字戦法を行う。
第三・四段:昼間決戦のあった夜、再び駆逐隊・水雷艇隊の全力で、敵艦隊を奇襲雷撃。高速近距離射法を行う
第五・六段:夜明け後、わが艦隊の主力を中心とする兵力で、徹底的に追撃し、砲雷撃により撃滅
第七段:第六段までに残った敵艦を、事前に敷設したウラジオストック港の機雷原に追い込んで撃滅


・秋山真之は、この戦争が終わったら軍人をやめようと思っていた。戦闘後、艦内を見回ったとき負傷者を見過ぎたり、オスラービアが沈むのをみて、かなりの衝撃を受けたのである。実際戦後に真之は僧侶になろうとしたが、友人にとめられた。しかし、長男を僧になるよう遺言した。

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 今日も来てくださってありがとうございました。