昨日の疲れが少し残っていたが、アンリ・ルソー展に世田谷美術館まで出かける。
開館20周年記念 「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」
アンリ・ルソーと素朴派、ルソーに魅せられた日本人美術家
用賀の駅からの道すがらが楽しい美術館である。美術館は砧公園にある。その林を歩いている時、写真を撮ろうとしたその瞬間、これまでに見た誰かの絵の世界と全く重なってしまった。これはあの絵の中だ!と叫んでしまった。ほんの一瞬の出来事であった。
この美術館にはゲント美術館名品展で一度来たことがある。館内に入ってまず人の多さに驚く。休日ということもあるのかもしれないが、ルソーがこれほどの人気画家だとは知らなかった。肝心のルソーの作品が人の波でほとんど見ることができない。集中力を完全に失ってしまった。お陰さまで後半に展示されていた多くの日本人画家と初めて対面するという皮肉な展覧会となった。その中では、松本竣介 (例えば、「Y市の橋」、「並木道」、「議事堂のある風景」)、俣野第四郎が印象に残った。印象といえば、堂本印象という人の 「坂 (京都)」 という作品は、登場人物を詳しく見ていくと結構楽しめる。他の作品も見たくなる画家である。
京都府立堂本印象美術館
またいくつかの再会もあった。その中には、清水登之、有元利夫、植田正治、それから 「雪の発電所」 以来の岡鹿之助などがいる。岡の作品をこれだけまとめて見たのは初めてである。例えば、「信号台」、「ブルターニュ」、「古港」、「窓」、「入江」 など。好きな画家の一人になりそうだ。
素朴派の画家として、アンドレ・ボーシャン、カミーユ・ボンボワ、セラフィーヌ・ルイ、ルイ・ヴィヴァンの4人が紹介されていた。特に、カミーユ・ボンボワ Camille Bombois (1883-1970) の作品が面白かった。例えば、「池の中の帽子」、「三人の盗人たち」、「森の中の休憩」、「活気のある風景」、「池のほとりの女性たち」 など。
帰りに、岡谷公二著 「アンリ・ルソー 楽園の謎」 を手にしていた。