フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

フランスの大学危機 UNIVERSITES : AUTOPSIE D'UN GACHIS

2007-07-12 20:20:12 | Weblog

新たに届いた LE POINT の特集が、大学危機の解剖記事になっている。今回は人ごとではなくなっているので、じっくり読んでみようという気になっている。この問題は先日フランスからのメールでも取り上げられていたので、その大雑把な (相当に酷い) 状況は頭に入っていたが、解剖記事だけあってもう少し詳しい情報が聞けそうだ。以下に、気が付いたところから。

フランスの高等教育は最早社会や経済の要求には答えられない状況に陥っている。登録料が国により決められ、大学に入るための競争はない。世界レベルで比較すると無残な状態が明らかになる。登録料に手をつけずに改善が可能なのだろうか。どうしたら信じられないくらいに劣化した建物、貧弱な図書館、年に3ヶ月も締まっていて夏には実質的に入ることができない大学、管理サービスの貧弱さなどを終わりにできるのだろうか。

年間に大学生に充てられる予算 (7200 E) は、高校生 (10170 E) や中学生 (7400 E) よりも少ない。高等教育にこのような金の使い方をしている国はない。高等教育に充てる額が高いほどイノベーションの戦いに勝つ傾向が明らかになる中で、フランスがまだ世界第6位の位置にいるのは奇跡に近い。

Paris-IV-Sorbonne の名前は世界に轟いており、26000人の学生 (うち博士論文準備者 thésards が2400人) を受け入れ、3200万ユーロの予算と給料分5400万ユーロが国から出ているので、学生一人当たりには3300ユーロしか返ってきていないことになる。この額は、フランスの学生平均の半分、幼稚園の小児より少なく、高校生の三分の一、メキシコの学生よりも少ない。

これに比べて米国のプリンストン大学の年間予算は7億3000万ユーロで、学生数が6677人。したがって、プリンストンの学生には年間11万ユーロ、すなわちソルボンヌの学生の実に33倍もの金が使われていることになる。ハーバード大学の資本は290億ドル。この数字は、アメリカの一大学がフランスの高等教育の国家予算を使える状況にあるということを意味している。さらに、図書館の状況を見てみると、1席当りの学生数はフランスで18人、ドイツやイギリスは5人。米国、カナダでは朝8時から夜11時まで開いていて、ウィークエンドにも使用可能であるが、フランスは週平均50時間しか開いておらず、日曜は閉館している。

ヨーロッパ並みの状況にフランスの大学をもっていくためには、さらに100億ユーロが必要になる。大学登録料が年180ユーロという携帯より安い状態のままでよいのだろうか、と指摘している。


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(13 juillet 2007)
私の学費が年1万2千円程度だったことを思い出した。まさに古き良き時代であったが、今のフランスの学費は当時の日本と余り変わっていないと言うことだろうか。私にとっては朗報なのだが、、

コメント (6)
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