「萌え」ブームだという。フランスにも飛び火して、
日本の文化の特徴として「侘び」「寂び」「萌え」と
くるらしい。
「萌え」はあくまでも「萌え」であって、
「萌え出づる」ではない。
ボクにとって「萌え」とは、会社の若い連中や、
気のおけない友人たちと、仕事に関すること
には一切触れることなく、かといって、唯の
世間話ではないテーマで、会話そのものを
楽しむ時間帯をいう。
そんな時、当然ながら潤滑油が必要となり、
美味いイタリアンや、カウンターだけのホテル
のバーが格好の場所となる。
9年前に人工透析・週3回という、情けない
身体になって、オシッコなんて一滴も出ないから、
アルコール云々じゃなく、水分の過剰摂取こそ
が大敵となってしまった。
いきおい、バーの止まり木に羽を休める機会
が減ったけど、「萌え」を求めて月に2~3度は
ダベリに行く。
飲むのは「ブラ水」1杯だけ。
売り上げはもっぱら同行者に担ってもらう。
パパゲーノ
45才で脱サラ、今でいう起業して、幸いにも成功。
社歴1千年を誇る、ドイツの名門企業の
日本総代理店を得て、全国に140軒ほどの
代理店網を調えていた。
小売店を集めてのパーティを盛んにやった。
おかげで何時も盛会だった。会費なんて取った
ことはない。全額パパゲーノの会社持ち。
業界では会費制が当たり前だったから、この点
でも人気が上がっていった。
創業5年目で、総額6億円の税金を納めたの
だから、誉められても好かった。
ふっと気が付くと
「え~っ! 来年は50才になるのか!」
このボクちゃんが、いやオレが50才。ウソだろう!
あんなに落ち込んだことはない。「人生終わりだ!」
今になって思えば、50代はまだまだ青春の名残
があってそれは輝かしいジェネレーションなんだ
けど、それは後から悟ること。
不思議ですね。40代の寸前も、50代のそれも、
激しく抵抗したり落ち込んだりしたけれど、大台が
代わって2~3日もすれば、身の回りをいくら眺め
ても、そこに大きな変化なんてない。
50代にも大きな顔して、北新地は自分の庭続き。
事実ボクの会社は新地本通りを御堂筋に出た
ところのビルの17階にありました。
パパゲーノ
凄いシーンにお目にかかった。
昨日の透析を終えて、帰宅した時だったから午後8時。
同じマンションの三人家族が、どこかのスーパーに
でも買出しに行ったんだろう。それぞれが両手一杯
の荷物を持ち、父親に当る人は缶ビールの段ボール
を2箱も抱えている。
このマンション、カギを差し込まなきゃドアが開かない。
母親がカギ束を出して、ごちゃごちゃやっていたが、
ラチが明かぬとみた父親が代わって自分のカギで
開けた。短大生に見える娘は黙って見ていた。
ボクは三四歩遅れて、開いたドアから続いて入った。
エレベーターの前で、いきなり、
「そうゆうのをムカツク~のよね。なによ人がカギが
見つからないで困ってるのを。もっと早く開けて
くれたらどうなのよ」
「ね~ぇ」と賛意を求められた娘は、困ったような
顔で黙っていた。
叱り飛ばされた父親というか夫の方は、言われる
ことに慣れっこになっているのか、ボクの方を向い
て「ここに蚊がいますよね」
第三者のボクの目を意識して、話をそらしたのだ。
キツイ東京言葉の彼女は、綺麗な顔立ちで服装も
整っているのに・・・・
夫の方は50代後半だろうか。服装もダサイし、
あの辺りも彼女にはお気に召さないのだろう。
ここからは、ボクの想像だけど、カレは最近、繰上げ
定年か何かで会社をやめた。することも行くところもない。
妻と娘が連れ立って買いものに行く。
「わしも行く」と付いていって、あげく「ムカツク~」。
「わしも」「わしも」で「わしも族」というらしい。
嗚呼悲しい哉、中古男性!
P.S. 喝を入れてやるから俺ンとこへ来い!
パパゲーノ
「東海林さだお」という作家がいる。漫画家だろうって?
確かに漫画家として名をあげた人だが、この人が書く
エッセイは、独特の視点から、みんなが見逃している、
ごく当たり前の事柄を、克明に描き出す「東海林さだお
ワールド」で、抱腹絶倒の文章家としての方が価値が
高い。
カレが「オール読物」に、90年代前半に書いたモノの
中に、プロ野球の消化試合、もう優勝も決まり、下位
球団同士が、ロクに観客も入らないゲームを、ただ
スケジュール消化のためだけに、行うことにかけて、
「消化人生」ということを書いています。
50を過ぎたあたりから、もう先の見通しもすっかり
ついてしまった後の、どうでもいい人生で、誰も
やる気がなくて、退屈でダラダラして、カーチャンの
作る味噌汁やうどんもなまぬるい人生。
カレがこう書いてから、十数年が経つから、
カレも今では60代の後半でしょう。
現在はどう思ってるんだろう。
はばかりながらパパゲーノは、
「たかが50を過ぎたぐらいで、何を言うとるんじゃ」
がホンネ。
あえてプロ野球に例をとるなら、今のパ・リーグの
シーズン3位のチームみたいなもの。
2位チームとプレイオフをやらなきゃならんし、
その後は1位チームとのリーグ優勝を賭けた
真剣勝負。
更には、セ・リーグ優勝チームと日本一を争う
日本シリーズ。
とてもじゃないが、消化試合で「観客も居ない
静かな球場で、ダラダラ投げるピッチャーの球を、
もうどうでもいいバッターが無気力にバットを振る。
退屈だからビールでも飲もうと思っても、売り子は
はるかかなたにいて、それもぬるいビールが
つがれる・・・」
そんな情けない風景、想像もできない。
ポスト小泉が実質上決定した、安倍晋三応援団も
「再チャレンジ支援」を掲げているじゃないか。
公私共にヤリタイことが多すぎる。
退屈してるヒマがありません。
パパゲーノ
高齢化社会を「明るく楽しい」ものにする、
そのカギはエイジレスだと思う。
今から27年前、ボクは商社マンをやめて独立起業し、
創業1千年超のドイツ企業の日本総代理店を始めました。
誰もが考える、普通のルートは使わない。
そう大見得をきって、知人の一人も居ない
美容室ルートの開拓をやった。
今でこそ「内面美容」の重要性も認識され、
多くの美容・健康食品が売り出されて、その一部は
美容室でも扱われているけれど、当時
「真の美容は細胞の一個一個の蘇りから」 を説いて
廻ることは、タイヘンなことに思われ、美容室に
関連商品を卸すディーラーたちは、頭を傾げるだけだった。
美容師さんたちの反応は違った。
何より体験したら結果がすぐに現われる。
ディーラーの経営者は男で、オトコはとかく理屈が
先行する。
女性の方が柔軟で、新しい物への好奇心も
やってみようの度胸もある。
ボクが未知の世界、美容業界に足を踏み入れたとき、
全国の美容室は12万といわれ、その時点ですら
過当競争と言われていた。
今はというと、なんと20万を越えている。
なのに充分成り立っている。
その秘密は、おしゃれ年齢層が大幅に広がった
からだと思う。
かつては白髪染めがせいぜいで、なるべく地味な
服装をし、背中丸めて家の中でひっそりしていた
年齢層が、今じゃ栗毛などのおしゃれな色に髪を
染め上げ、その髪に似合う服を求め、靴を買い、
装身具を身につけて、そうなると友人達に声をかけ、
おしゃれなレストランで地中海料理を楽しみ、
コンサートにオペラにとお出かけになる。
こうしたウーマン・パワーが、リストラで自信喪失の
男性経済社会の落ち込みを、どれだけ支えたか。
女性経済社会の及ぼす日本経済全体への貢献度は、
あまり統計に表れてこない。
団塊の世代が一斉に老人化するかのごとき報道を
間々耳にし目に入る。
冗談じゃない!
世界一の長寿国となった日本。
その実態が要介護の老人が充ち充ちた社会で
あってなるものか。
男女を問わず、人生いつまでもチャーミングな
存在であり続ける。
生まれてから地球が何回太陽の周りを廻ったか。
そんなこたぁ地球の勝手。
なにも乗せてもらってるからといって、回った数かぞえ、
落ち込んで行く必要なんかない。
エイジレス社会こそ、明るく楽しい日本を築く。
パパゲーノ、はばかりながら年齢なんか意識した
ことがない。
会社でも、テニスコートでも、劇団四季でも、
そして週3回の透析クリニックでも。
ミッキー・マウスは今も元気一杯跳ねている。
カレは今何才なんだろうって考えますか。
パパゲーノ
もちろん、オンナの子も幾つになってもオンナの子。
衣類の世界にオジン・オバンカラーってのがあるらしい。
くすんだ様な緑とか、コゲ茶色、灰色というより
ネズミ色、などなど。
ズボン(この単語自体がダサイ)なんだか、
モンペなんだかよく分からん。
ベルトなんか無くって、ゴムひもでフリーサイズ。
なんで、そんなジジムサイ衣類に身を包まねば
ならんのだ。
高齢化社会ってことは、それだけ青春期が長くなり、
50代は当然60代だって、まだまだ明るい残像で
輝いている。
50~60になったら「いいオトナが」って誰が決めた。
オトコの子は、いくつになってもガキッポさが残っている
ぐらいで丁度良い。
パパゲーノ