おススメSS 緋弾のアリア――暗殺者の信条
SS執筆が多忙のため今日はSSの紹介をします、お題はアサシンクリードです。
アサシンクリードは十字軍時代から始まって暗殺をテーマとするゲームで、
その設定の細かさに爽快なアクション、ストーリーの面白さと合わさってPS3時代からシリーズがあります。
今回のSSは「緋弾のアリア」の主人公遠山キンジがそのアサシンとして活動する話であります。
原作より真面目でややシリアスな描写が多く、なおかつ戦闘シーンもしっかり描写しています。
アサシンブレードとかイーグルダイブが好きな人におススメします。
ーーアサシン教団、というモノがある。
それに俺、遠山キンジが入信していて、そしてその理念に命を賭けている。
勿論、ただの新興宗教……なんて事は決してない。
三つの掟と一つの信条によって立つーー人の自由意思によって選択された未来、
そしてその世界における安全と平和を尊び、それに仇なす者を殺す、暗殺者集団なのである。
俺達は世の中に伝わっている金を貰って人を殺す殺し屋ヒットマンではない。
ーー民衆の声と緻密な調査の中で、殺すに値する者しか殺さない暗殺者アサシンなのだ。
……独善的、だと人は言うだろう。
たとえどんな高尚な事だろうと人を殺す事は許されない、と皆は言うだろう。
しかし、それでも他人が虐げられているのを黙って見ていられるほど、厚顔無恥でもクズでもない。
ーー千人の善人を救う為、一人の悪人を殺すのだ。
たったそれだけで終わるなら、これほど簡単な事はないだろ?とても単純で明快だ。
大いなる善の為に、ささやかな悪を遂行するだけで世界が回る。
――神は今日も降りてこない。悪を裁く者がいないのだから俺達が果たすまでだ。
……少し前の俺であるーー武偵として遠山キンジなら、それでも千人の善人と一人の悪人も救うと言うだろう。
だけど、そんなのは修羅場に立ったことすらない少年の空想だ。
そんな事は本物の超人かテレビの中のスーパーヒーローにしか出来ない。
ーーただの正義の味方じゃあ何も救えない。
……アサシン教団の掟において簡潔に、そして重要に纏めるなら三つ。
1ーー『汝の刃は鞘の中の刃。よりて、罪無き者に近づけることなかれ』
2ーー『ありふれた風景に溶け込み、汝、民衆とともにあれ』
3ーー『教団の名誉を汚す事は赦されぬ、なれど兄弟を傷つける事は決してなかれ』
要約すれば『罪の無い者は殺してはならない。
民衆を導くのではなく見守れ。
仲間を傷つける事は絶対にするな』だ。
そして信条は――
ーー『遠山。今から言う事をその足りない脳みそに詰め込め。これは世界の真理だ』
声が想起される。それは始めて会った棟光さんが俺に言った言葉だ。それは何よりも覚えている。
自らの運命を受け止め、若き大鷲として血に染まる空を飛び立つ前の時、棟光さんが俺に言ったんだ。
ーー『たとえ、世の人が真実を盲信しようともーー忘れるな』
真実はない。
ーー『たとえ、世の人が法や道徳に縛られようともーー忘れるな』
許されぬ事はなどない。
『Laa shay'a waqi'un mutlaq bale kouloun mumkin.ーー真実は無く、許されぬ事などない』
闇に生き、光に奉仕する。我らはーーアサシンなり。