二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS 「ハルケギニア~俺と嫁、時々息子(転生・国家改造・オリジナル歴史設定)」

2010-06-11 23:45:14 | おススメSS
ゼロの使い魔の元となったのは近世欧州のせいか、
原作が異世界フャンタジーのためか内政系SSがよく見られます。

ただ、魔法のあるフャンタジー=中世
というイメージが強かったせいかゼロ魔の内政系SSは中世をモデルとしたのが基本でした(自分もそれに騙されていました。)

そしてオリ主がやることと言えば
戦争のターンではライフル銃やらなんやらで火力戦に持ち込んで俺tueeeをして
内政ではノフォーク式で財力アップ、コッパゲを雇ったり、金融で儲けてやっぱり俺tueeeeがお約束ともいえるほどです。

まあ、
原作自体がハーレム、俺つえーに突っ走っているから
俺TUEEEに走りやすいのは仕方がないかもしれませんが。
ですが、そんな中でお勧めなのがこれ、

ハルケギニア~俺と嫁、時々息子(転生・国家改造・オリジナル歴史設定)

どこか歴史小説を思わせるような書き方で、
60話に渡る長編と中々見ごたえはありますが、残念ながら更新は停止中。



「32勝33敗2引き分け」か「33勝33敗1引き分け」で争った後、マリアンヌとカリーヌはぐったりとしてベットに仰向けになった。
とてもではないが20を過ぎた一国の王女と公爵夫人の喧嘩には見えない。
宮廷内の喧嘩とは大抵、陰湿・陰気・陰鬱の三拍子揃うのが定番だが、この二人のそれは、むしろ子犬がじゃれているような雰囲気があった。
どちらにしろ、いい歳して大人気ないことを全力でやっていたのは間違いないのだが。

栗毛色とピンクブロンドの髪が互いの額や首筋に汗で張り付いている様は、酷く扇情的である。
共に寝間着であるだけに、何か妙な行為を行った後に見えなくもない。

「・・・随分と、力が入っていたわね。前線の水メイジでもあそこまではしないものよ」
「訓練と実際の治療行為は違うから。やっぱり一人ひとり患者を診るのは、疲れるものね」

治癒魔法(ヒーリング)はただ唱えるだけでは駄目だ。軽い外的損傷に見えて化膿している時もあれば、単なる腹痛かと思えば臓器の腫瘍である場合もある。
そのため問診は必ず必要である。水を霧吹きでまくか、コップをそのままひっくり返すかの違いだと言えばいいのだろうか。どちらが目の前のクランケに効果的なのかわからなければ、精神力を無駄に使うことになる。
そもそも秘蹟を希望する患者は事前に問診を受け、治癒する見込みのない志望者は事前に弾かれるのが通例である。
王が治癒魔法を唱えて治癒しなかったとなれば、これ異常ないほどその威信を傷つけることになるからだ。

問診によりある程度の診断がなされているとはいえ、ヒーリングに精神力が必要なのは同じこと。
ましてや二日に分けて治療する予定だった患者23人を一挙に治療したとあればなおさらだ。
誠意や熱意は伝わるものであり、始めてみる美しい王女殿下が、平民である自分達の病や傷を癒すために必死になってスペルを唱える姿に、ラ・ヴァリエールの領民の間で、マリアンヌの人気は天井知らずとなった。
だが王女と少なからぬ付き合いのある元女官長は、その熱意の裏側にあるものを見抜いていた。

「憂さばらしのように魔法を唱えるのは感心しないわね」
「・・・貴女のそういう勘の鋭いところが嫌いよ」

マリアンヌは拗ねたように視線をそらしたが、それ以上の言い訳はしなかった。実際に疲れているのだろう。
カリーヌが女官長兼魔法衛士隊長であった頃も、王宮内の空気はマリアンヌに対して好意的なものばかりではなかった。
「フランソワ王太子殿下(マリアンヌの従兄。セダン会戦で戦死)が存命であれば」という言葉が飛び交い、一挙手一投足が比較の対象になった。

あれから2年になるが、宮廷内の空気とは簡単に変化するものではない。
そんな場所で四六時中神経を張り詰めているのだ。通常の神経の持ち主であればとっくに倒れていてもおかしくない。
よい意味での鈍感さの持ち主であるマリアンヌだから耐えることが出来るのだ。
公爵夫人という肩書きですら荷が重い自分には想像も出来ない重圧とプレッシャーである。

組んだ腕に顔を伏せると、マリアンヌは詩の一説のようなものに節をつけて歌い始める。
カリーヌは知らなかったが、それはチクトンネ街で流行している小唄であった。

「おぉ白百合は何処へゆく。英雄王は永遠ならず、お姫様は何も知らず。
 知らないままに振られてしまい、お姫様は一人ぼっち。哀れ白百合。われらの白百合。ああ白百合よ、お前はどこへゆく-」

「マリアンヌ、貴女、まさかまた昔の悪い癖が・・・」

「ふふふ、もう街歩きはしていないわ。
 だって私の仕立てた服を着てくれる騎士様はもういないから。それに時間もないしね」

あの頃は楽しかったと振り返ることは、目の前の出来事から目を背ける最も楽な手段だ。
たとえ当時はどんなに辛い経験だったとしても、過ぎてしまえば楽しい記憶になることも多い。
それが若さと心の赴くままに任せた行動であればなおさらだ。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする