二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

続いたネタ42 GAET~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2017-08-03 00:12:20 | 連載中SS

「イヤなものだ・・・自分や同期の後ろめたいことが分かるなんて」

―――――山本五十六、平成世界の歴史を知って。


「向こうの自分は何をしていたっ!?
 手段がないとはいえ特攻など統帥上の外道なのは明白であろう!!
 戦闘機無用論といい、つくづく己の未熟と浅はかな考え、無能が憎たらしい・・・」

―――――大西瀧治郎、神風特攻の創設者が自分であることを知って。



「こうして見る私の暗殺を防いでいるのも含め、
 歴史の転回点において夢幻会は常に最適解を選択していたのが分かる。
 ・・・夢幻会の人間は未来人という噂もあながち間違いでないかもしれないな」

―――――永田鉄山、同じく未来の歴史を知って。



「戦艦「大和」など不要。
 それよりも隠密爆撃機と大陸間弾道弾の大量生産を行い独逸を打倒すべし。
 かの世界のように核による相互破壊が発生しない今ならば帝国は必ず勝てる」

―――――源田実、冷戦史を知っての主張。



「野郎ぶっ殺してやる!!(派閥争い的に)」

―――――古賀峯一、上記の主張を知って激怒する。



「見よ!『縦に』砲身を2つ並べることで被弾面積を最小化させたこの4連装砲を!!
 この構造を新戦艦に採用すれば16インチ砲を16門搭載可能でこれならば『向こうの大和』に投射量でかつる!!」

「帰れ!!」

―――――余計な知識を得た平賀譲と常識人の牧野茂のやり取り。



「帝国軍人だけど何か質問あるっ・・・と」

―――――東条英機。
   銀座の門を通じて繋がったインターネットから某掲示板に書き込む。



「『アリソン』と『キノの旅』は我が青春」

―――――近衛文麿。
   平成日本から取り寄せたラノベ小説に感動の涙を流す。



「くぎゅうううううううううううううう――――!!!」

―――――富永恭次。
   「ゼロの〇い魔」を鑑賞して釘宮病を発病する。



「産廃扱いの扶桑が平行世界ではこんなにもたくましい戦艦になるとは、ふぅ・・・」

―――――江田島五郎、昭和日本の戦艦「扶桑」を見て。



「なぁに、普段用、保存用、布教用を備えるのがオタクってモンだから」

―――――伊丹耀司、仕事をサボって日本軍相手にオタク趣味を布教する。



「伊丹のアホはどこだ!出てこい!!」

―――――その伊丹を探す柳田明。



「エルフで百合ファザコンってキャラ濃いっすねー」
「・・・どちらかと言えば業が深い気がします」
「見ていないで助けてくれませんか!?」

―――――黒川に絡む酔ったテュカについて倉田、富田が論ずる。



「で、デートしませんか!船坂軍曹!」

―――――栗林志乃、勇気を振り絞ってデートに誘う。



「男同士の友情を確認したかっただけですわ!」

―――――ボーゼス・コ・パレスティー。
   自衛官と日本軍の入浴をのぞき見しようとして警務官、憲兵の御用となる。



「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!?」
「駄目だ、腐ってやがる・・・遅すぎたんだ」

―――――ボーゼスに対する警務官、憲兵の嘆き。



「これから我々はどうなるのでしょうか・・・」

「知らぬ。
 とはいえ助かった命だ。
 今は英気を養うとしよう・・・」

―――――リィグゥ公王、デュラン国王、自衛隊の病室にて。



「お久しぶりです・・・」

―――――とある貴き人物がテレビ画面越しで親子対面を果たす。





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GATE~続いたネタ41 夢幻会、彼の地にて戦いけり

2017-02-23 00:05:55 | 連載中SS

世間一般的には日本はテロとは無縁の国。
そう思われているが、その当時はテロとは呼ばれていなかっただけで、
現在からすれば立派なテロに該当す事件がいくつも起こったことを忘れている。

例えば地下鉄サリン事件。
毒ガスを使用した都市型テロ。
という点では世界初とされる事件で、
21世紀の炭そ菌テロに影響を与えたと言われている。

例えば三菱重工爆破事件。
「帝国主義的」と断じられた企業が爆弾を仕掛けられる。
負傷者は300名を超えており、中東の爆破テロと手法は何ら変わりはない。

そんな重要な出来事をなぜ忘れたか?
それは大多数の日本人が彼ら、あるいは彼女らの思想に共感を覚えなかったからだ。
やがて歴史の闇に埋もれ消滅は免れないはずだったが表向きの看板を「革命」から「人権」に変えることで生き残った。

だが暴力的かつ選民的な思想は変わらず、
おまけに「目的のためなら手段を選ばない」傾向にあり、
銀座で行われた嶋田総理と本位総理の合同慰霊祭で爆弾を持ち込んだ人間が捕まったのも必然であった。

「確保ーーー!!」

警備を担当していた警察が爆弾を持ち込んだ人間を取り押さえる。
先ほどまで「打倒軍国主義者」とプラカードを掲げ騒いでいた団体に対しても、
「爆弾発見のために警護ならびに任意同行」の名目で機動隊が取り囲み隔離している。

「まあ予想通りと言うか、何というか・・・」

先ほどまでの慰霊の雰囲気は吹き飛び、
テロ未遂事件が露見したことで周囲は騒がしいものになる中、嶋田は思わずそう独白する。
続けて戦乱が続く昭和の日本とのギャップに苦笑し、ある意味平和なこの現代日本の在り方にある種の懐かしさすら覚えた。

「で、焚きつけたのはお前か?村中少将」
「その通りであります」

そしてこの騒ぎを扇動したであろう人物の名を口にし、
背後を振り返るとまるで最初からそこにいたかのように村中孝次が佇んでいた。

「正確には背中を押しただけです。
 彼らが信ずる思想を純化させる手助けをしました。
 言うならば慈善事業を行ったにすぎません、彼らがそれを望んでいたのですから」

「人はそれを扇動工作と表現するのだよ、少将。
 おまけにこの私を危険に晒すような真似までして何を考えている?」

背筋に氷を差し込むような威圧感を嶋田は発する。
海軍軍人、国家の指導者、そして原爆を落とした男だけが出せるカリスマで場の空気に緊張が走る。
だが、村中は薄ら笑みを浮かべるだけで、続けて言葉を綴る。

「遅かれ早かれ閣下の命は狙われたでしょう。
 ならば制御できる今の内に彼らを暴走させました。
 万人がいる場で醜態をさらけ出し、権威を失墜させるように」

「北朝鮮の拉致問題のように、か?」

嶋田の言葉に村中が無言でうなずく。
かつて拉致など妄言と長らく言われ、
その存在を話す人間は右翼と罵倒されるだけならまだよく、平和の敵とまで言われた時代があった。
だが北朝鮮自身がその事実を認めたことでこれまで妄言と決めつけていた文化人や政治家の権威は失墜した。

「それだけではありません。
 これを機に日本政府は・・・」

「今回の騒動で左派の脅威を日本政府は認知することになった。
 何せ危うく総理大臣と招いた要人が暗殺される可能性が十分あったからな。
 日本側は我が帝国に対しまた1つ借りを作ることになり、今後の外交交渉で有利に働くだろう」

言葉を発しようとした村中を嶋田は制止させ、言わんとしていた事を代わりに口にする。
 
「閣下から賞賛を受けるとは、至極恐縮であります」

「ふん、これを称賛と受け取るのか?
 貴官の性格の悪さと優秀すぎる頭脳に呆れてるだけだ」

有能すぎる諜報員ほど厄介な存在はなく、
帽子を脱ぎ恭しく頭を下げる村中に対し忌々し気な視線を嶋田は浴びせるが、
肝心の相手は変わらず受け流しており辻の方がまだ可愛げがあるな、と嶋田は感じた。










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GATE~続いたネタ40 夢幻会、彼の地にて戦いけり

2017-01-12 22:53:14 | 連載中SS

「つ、疲れた・・・・・・」

既に太陽が沈んだ夜更け、
普段のピニャならば既に就寝についている時間帯であったが、
講和のために元老議員相手に根回しをしていたため帰宅がすっかり遅くなってしまった。

加えてここ数日朝から会食しのために飲んで、食べて、弁論を振るっていたせいで、
肉体的にも精神的にも疲労困憊で、眼のクマを化粧で誤魔化している有様であった。

「殿下、二ホンの栄養どりんぐです。どうか・・・」
「頂こう、ハミルトン」

菅原と杉原の好意で送られた栄養ドリンクをピニャは慣れた動作で飲み干す。

「最近予定を詰め込み過ぎではないでしょうか、殿下。
 1日でもいいですから間を開けた休んだ方がよいのでは?」

「気遣いはありがたい。
 だが、帝国は急いで講和を結ばねば明日はない、
 蛮族と侮って攻め込んだ先は帝国よりも遥かに進んだ国で、
 その事実を知らない人間の方が多く、未だ主戦派が元老院の多数を占めている」

ハミルトンの気遣いにピニャが即座に却下する。
帝国の国政を担う元老院の大多数が未だ主戦派を占めており、
一度イタリカで体験し、アルヌスで見た2つの日本の力を知るピニャからすれば自殺行為でしかない。
だからこそ、皇女たる人間であるピニャが電〇社員のごとくハードワークに身をゆだねている。

「二ホンがアルヌスから進撃し、
 もう一度帝国軍が壊滅すれば主戦派も大きく勢いがそがれるだろうが・・・」

「そうなれば今度は帝国の周辺諸国が黙っていないでしょうね。
 何せアルヌスの丘奪還の時に帝国は諸王国の軍をすり潰しましたから恨みしかありませんし」

ピニャのぼやきにハミルトンが頷く。
軍事力こそ帝国を帝国と足らしめている力の根源であり、
唯でさえ常備軍が壊滅しその補充に四苦八苦している帝国軍が再度壊滅すれば、
講和へと元老院は流れを変えるだろうが、周辺諸国はそんな帝国を黙っている程お人よしではない。
それどころかすり潰された恨みで帝国に牙を剥く選択肢すら十分有りえた。

「あるいは逆に徹底抗戦を試みるかもしれないな。
 皇帝である父上はアルヌスの丘が完全に制覇された当初は焦土作戦を考えていたくらいだ。
 元老院がその父上の覚悟に感化されてそれに賛同してしまうことだって十分ありうる。
 何よりもその戦術には理がある、二ホン軍は兎も角少なくともジエイタイは焼き出された民衆を見捨てることは出来ない」

「しかし、それでは帝国の威信は・・・」

「言うな、ハミルトン。
 言っておくが妾は反対だぞ?
 父上の考えは確かに合理的であるが、好みではない」

以前はそうした父親のやり方に無条件に反発していたピニャであったが、
講和の仲介役として色々と揉まれ、考えるようになってからはその考えを改めるようになった。
もっともそれでも幼い頃に憧れた騎士への情景とピニャの生真面目な性格が、完全に父親の考えには賛同していなかった。

「しかし、こうして考えると初めて接触したのが妾。
 というのが帝国にとって幸運だったかもしれない。
 これがもしも兄上、特にあのゾルザル兄だったら・・・」

「ゾルザル皇太子殿下は、まあ・・・」

ふと、有りえたかもしれないイフの話をピニャは口にする。
粗暴な振る舞いが目立ちすぎて色々問題視されている兄がもしも先にニホンに接触していたら?
これまで帝国がやって来たように蛮族扱いした挙句に喧嘩を派手に吹っ掛ける光景しか2人には映らなかった。
講和や交渉の「こ」の字などあの良くも悪くも脳筋の兄には浮かばない発想なのだから。

「ディアボ兄も兄で考え過ぎな性格な上に、
 議論を好んでも空回りする癖があるから纏まる話がいつも纏まらなかったから、
 ディアボ兄が二ホンとの仲介役なんてすれば延々と仲介役を演じていただろう、大体・・・」

「あー・・・はい、そうですね」

色々溜まっていたせいで、
完全に愚痴モードに突入したピニャにハミルトンが生返事で時折相槌を打つ。

(やっぱり殿下はお疲れみたいですね)

何時にもなく愚痴を零すピニャを見てハミルトンが内心で呟く。
親しい仲とはいえ、こうして愚痴を口にする姿は珍しいからだ。

(皇女であることもあったけど、
 これまでピニャ殿下はあまり政治的な動きはしてこなかったから、
 こうした事には慣れておらず余計に殿下は疲れを覚えているかもしれませんね)

皇女の役割と言えば皇室の拡大。
すなわち婚姻においてのみ期待されており、直接政治にかかわる機会はない。

無論宮廷での派閥争いはあり、
皇室の人間による派閥争いとは政治的な物を含んでいる。
しかし、これまでピニャはそうしたものに関心が薄く、
やっていた事と言えば騎士団で仲間たちと戯れていたことだ。

(・・・殿下の評価はまだまだ「騎士団で戯れるお姫様」でしかなく、
 それが宮廷や貴族社会での陰謀や派閥争いから無縁でいられましたけど、
 二ホンとの仲介役で動いているのが広く知られたら、そうはいられなくなるでしょう)

貴族の娘としてそれなりに宮廷や貴族社会の汚いところ知っているハミルトンは、
ピニャのこれまでの評価が変わることで政治情勢に大きな変化が来ることを予想する。

(ピニャ殿下を利用しようとする人間が必ず出る。
 いえ、利用するだけなら兎も角悪意を以て害して来る人間が必ず出る。
 その時は私だけでなく騎士団全員でお守りする覚悟です、殿下。
 だからどうか今はため込んでいた物を吐き出してください)

ピニャが愚痴を零す中、
ハミルトンは言葉に出さず、そう決意を新たにした。










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GATE~続いたネタ39 夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-11-12 23:13:38 | 連載中SS


「閣下、ようこそ平成の日本へ」

歓迎の言葉と共に北条総理大臣の辞任に従い、
新たな総理大臣として就任した本位慎三と嶋田繁太郎握手が交わす。
2人の握手を映像記録として残すべくカメラのフラッシュが眩いばかりに焚かれる。

「こちらこそ、
 まさか岸君のお孫さんと、
 こうして握手を交わす日が来るとは・・・と感嘆に耽るばかりです」

「はは、それはこちらも同じです。
 私にとって過去の歴史に属する方と、
 こうして会話を交わす日が来るとは想像すらしませんでした」

嶋田総理大臣の軽口に本位は微笑を浮かべる。

「色々積もる話もありますが・・・。
 過去と未来が交差した今の先に迎える未来について語り合いましょう」

「ええ、何せ互いに『国内』として扱っている、
 アルヌスの扱いについてじっくりと話合わねばなりません」

嶋田の言葉に
何せ銀座の門の向こうにある異世界の土地は諸外国の干渉を避けるため、
互いに「国内の問題」として扱っており、この矛盾について何らかの決着を付けねばならかかった。

特にコダ村の避難民程度の住民しかいなかった少し前は兎も角、
アルヌスの富を求めて集まり、その規模も街と言われる程度に拡大した現在において、
「人が住む領土」として扱わなくてはならず、どう統治すべきか検討する段階となった。

「【帝国】は滅ぼさず講和を以てして決着を付ける。
 この点についてはお互いの外相会談で決まりましたしたが、
 施政権の割り当て、そしてその形については我々が大筋を提示しなくてはなりません」

「同意です。
 互いに優秀な官僚を抱えているとはいえ、
 方針を決め、責任を負うのは政治家の仕事ですから」

実際に条約の条文や法案を作成するのは官僚たちであり、
極論すれば官僚の頂点にいる事務次官たちに全てを任せることもできるが、
官僚はあくまで『事務処理の達人』であり、政を指導するのは政治家の仕事である。

だかこそ、リスクを承知で島田は首脳会談に応じ、
今となっては懐かしい平成の日本にへと降り立った。

(原作によれば本位政権は例の襲撃事件で辞任するはずだったが、
 こちらでは代わりに内閣が延命した北条総理が辞任し、
 時期がずれる形でこうして本位総理と会談することになったが・・・いつまで持つか?)

表情は笑顔で対応する一方、
嶋田の内心は本位総理に対して厳しい見解を抱いてた。
国会ではすでに例のカップ麺やら、ホッケで野盗(誤字あらず)が大騒ぎし、
今や立ち上がる若者の代表として実態以上に持ち上げられている某盾の与党に対する抗議活動などで、

与党の支持率低下は止まらず、
ねじれ国会、さらに本位総理自身の健康問題と合わさって、
辞任は近いのでは、と夢幻会の間でも密かに囁かれていた。

(彼の次は例の森田になるのは避けられない。
 原作では門の管理を安保理に託そうとして責任放棄者で、吾々との相性が悪い)

自分を客観視できると嘯くが、
逆に表現するならば「自分」という意識が希薄で、
本人は意識していないが地位に見合った責任と決断から逃れていた。

・・・もっともとこれでも野党よりマシという現実があるが、宇宙人とかガソリン姫とか空き缶とかよりも。

(できれば嘉納大臣が総理になってくれればこちらとしても話しやすいけど、
 党内での調整もあるけど、本人がしばらく裏方に徹すると明言していたからな~)

決断し、話ができる人間としてローゼンなあの人が話相手として適切で、
できれば今すぐ総理大臣になって欲しい所であるが、
平行世界の祖父を通じて夢幻会が得た情報はしばらくその可能性はないことが判明した。

(公安、自衛隊それに村中と結託して大掃除なんてたしかに総理の地位じゃ目立つしな)

アメリカと中国から脅迫のネタとして渡されたスキャンダルの記録を、
北条経由で手にした嘉納大臣は防衛大臣と務特地問題対策大臣を兼任していることを利用し、
逆に獅子身中の虫を焙り出すべく密かに行動に移しており、総理になる暇はなかった。

命令系統の違う公安も自身が持つ伝手、
そして特地の問題については昭和の日本とは利害の一致を見出しているので、
平行世界の祖父を通じて伝手を得た村中少将をも巻き込んでの大掃除であった。

(バタフライエフェクトと言うべきか、原作との隔離が広がりつつあるな。
 この状況を利用して帝国に利益が得られる形で持っていきたいものだ。
 ・・・平成の日本には思い入れがあるとはいえ、今の俺は神崎ではなく「嶋田」だからな)

今では嶋田繁太郎としての人生の方が長くなった神崎博之は内心でそう独白し、
国家の指導者らしくいかにすれば自国の利益になるかを方法を考えていた。










 
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GATE~続いたネタ38 夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-10-25 23:34:37 | 連載中SS

日本で政治的に左派と呼ばれる人種は絶滅危惧種であった。
60、70年代に活動した人間も高齢化と共に自然消滅しつつあり、
後継者は少なく、掲げるテーマもカビと埃を被り時代と共に忘れ去られるのは必衰と見られた。

一応野党の大半は左派と言われているが、
政治的思想を抜いても立場に見合った知識と責任を放棄した挙句、
身内同士でかつての学生運動時代のごとく内ゲバを繰り広げることに夢中になっていた。

それでもなお保守派を圧迫させる程度の勢力を保てているのは、
メディアの「同志」により「お化粧」を施されたお陰に他ならない。

だが「お化粧」の腕は確かで、
専門家に対し無条件に等しい信頼を抱く日本人の特性も相まって保守派は徐々にその支持を失いつつあった。

だからこそ今が好機だ。

密談を交わす男女の間に声が上がる。
あの軍国主義者が「不幸な事故」で倒れれば、
それをネタに同志たちは保守派を攻めることができる。
無知蒙昧な市民はより思想的に正しい方向へ目覚めるだろう。

しかし、と別の人間が口にする。
仕掛けたのが我々側の人間と知られるのは不味いのでは?
暴力革命の路線は既に放棄して久しく、今更方針を展開するのか?

反動主義者のネットウヨクがここにいるわ!

慎重論を口にした男性を中年女性がヒステリックな声で高らかに非難する。
周囲の人間も男性に対し粘着性を帯びた視線を向ける。

同志諸君。
今は争う時ではない。

反動主義者を総括すべく、
周囲の人間が慎重論を唱えた男性を取り囲んだ時、
中心人物が待ったの声をかける。

慎重論、大変結構。
しかし今は果敢な行動こそが求められている。

そもそも、これは義挙である。
軍国の亡霊は亡霊らしく退治せねばならない。
ゆえに我々は断固たる態度を持ってこの義挙を成功させねばならない。

この演説に周囲から割れんばかりの拍手が沸き上がる。

しかし手段はあるのか?
そんな質問が出るが男は余裕を以て答える。

何、私には頼れる同志がいる。
必要な物は揃えることを約束しよう。
無論、国家の犬どもに露見しない伝手がある。

おお、とどよめきの声が上がる。

具体的な物は後日渡そう。
それまでの間、同志諸君はくれぐれも口を滑らせないように。
そう、例えばあの大学生たちのように軽すぎる口は全てが台無しになってしまう。

ああ、あの。
と嘲笑の声が周囲から発生する。
あの団体は同志でなく文字通りの盾に過ぎないとの認識ゆえの反応であった。

同志諸君。
諸君らの希望は間もなく叶う。
だからこそ、今は耐えるのだ。


異議なし


「馬鹿者ばかりであったな。
 日本の・・・いや、帝国のためにせいぜい派手に散ると良い」

一連の会話を聞いたとある男がそう感想を口にした。










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