生活保護基準引き下げ処分取り消し訴訟の控訴審判決が名古屋高裁で出た。
以下、自分用メモとして。
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- 名古屋高裁は原告敗訴の地裁判決を取り消し、国に原告1人1万円の慰謝料支払いを命じた。
- 国は2013〜2015年、生活保護費のうち食費や光熱水費などに充てる生活扶助費の基準を平均6.5%、最大10%引き下げ、総額670億円を削減した。
- 判決は、
①算定に使われた厚労省独自の物価指数は学術的裏付けや論理的整合性を欠く
②一時的な物価上昇があった2008年を起点とし、その後の物価下落のみを反映させた
と指摘し、厚労相の裁量権の範囲を逸脱・乱用したもので生活保護法違反とした。 - 厚生相に重大な過失があり、過去に例のない、大幅な生活扶助基準の引き下げを行ったもので、その影響は、生活保護受給者にとって非常に重大と述べた。
- 生活扶助は、わが国の主権者である国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(憲法25条1項)を基礎とする制度で、本来、国はその向上及び増進に努めなければならない。基準引き下げは違法性が大きいとして国家賠償を命じた。
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地裁判決ではなく高裁判決だからその意味は格段に重い。
全国の自治体にも少なからず影響が及ぶだろう。
生活保護実施概要 令和3年度(2021 年度)実績(北海道保健福祉部福祉局地域福祉課)北海道HPより
R3の保護率をみると小樽市 3.80、函館市 4.56、釧路市 4.81といずれも港町が高い。
■北海道内市の保護率ベスト5
1釧路市 4.81
2函館市 4.56
3小樽市 3.80
4旭川市 3.65
5札幌市 3.63
港町、都市部が高い傾向があるようだ。
ちなみに低いベスト3
1名寄市 0.92
2北広島市 0.99
3伊達市 1.00
■北海道内町村の保護率ベスト5
1上砂川町 7.35
2岩内町 5.66
3神恵内村 5.15
4新ひだか町 4.58
5江差町 4.05
上砂川町は旧産炭地。それ以外は、やはりいずれも港町だ。
ちなみに低いベスト5
1音威子府町 0.15
2西興部村 0.29
3留寿都村 0.42
4猿払村 0.52
5厚真町 0.55
興味が沸いたので、もっと調べてみた。
■都道府県別の保護率ベスト10
1大阪 3.07
2北海道 2.96
3沖縄 2.64
4高知 2.57
5福岡 2.35
6青森 2.33
7京都 2.14
8長崎 2.05
9東京 2.00
10鹿児島 1.87
ちなみに低いのは、
43石川 0.63
44岐阜 0.59
45福井 0.55
46長野 0.54
47富山 0.39
都道府県別保護率の傾向を自分なりに分析してみる。
①東京、大阪、福岡などの都市圏は総じて高い。
②北海道、青森、沖縄、鹿児島など日本列島の端っこは高い。
③北陸3県、長野、岐阜は低い。
④高知県は四国4県の中で群を抜いて高い。
⑤大阪は20年近く一番高い。
生活保護実施概要(北海道HP)
生活保護案内 統計資料 - 保健福祉部福祉局地域福祉課
保護率の全国平均1.62に対して、小樽市の3.80はかなり高い。
北海道という日本列島の端っこにあり、港町で高齢化率が高いことなどが関係しているのだろう。