おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「人のセックスを笑うな」 山崎ナオコーラ

2008年12月15日 | や行の作家
「人のセックスを笑うな」 山崎ナオコーラ著 河出文庫 (08/12/15読了)

 商品のヒットの仕方の一つに「ネーミング勝ち」というのがあると思う。例えば…ペットボトルのお茶なんて、ビックリするほど味が違うとは思わないけれど、私は、常に、「伊右衛門」を買ってしまう。小林製薬の「のどぬ~る」とか「熱さまシート」とかも、安直とか思いつつも、記憶に残る。で、この作品も「ネーミング勝ち」商品の一例ではないかという印象です。誰も笑っていないのに「笑うな」というキツイ言葉を使っているのも、ある意味、巧妙。ストーリーの中身は、現代の御伽噺系。でも、絶対無いと思うけど-というような話。別に、読んでいて不快というわけでもないし、1時間ぐらいでササッと読めるし、ブックオフで250円で買ったから「損した」とも思うことも無かったけれど…。でも、でも、こんなのが芥川賞の候補だったのかぁ。ますます、芥川賞の位置づけが分からなくなります。

 39歳の美術学校講師。だいぶ年上の夫あり。だらしない。とりたてて美人でもない。しわあり。さほどお洒落でもない。20歳も年の離れた生徒と恋に落ちる(もしかして、落ちてないのかも)…。ダンナは寛容だ(もしかしたら、鈍感なだけなのかも)。ま、そりゃ、楽しいでしょうな。絶対無いと思うけれど。あえていえば、オバサンとの恋愛(のつもりなだけかも)に心惑う19歳の側から物語りを語っているところが面白いのかもしれません。映画版では永作博美が美術学校講師役でした。まあ、あんなカワイイ人だったら、いたいけな少年も恋したい気持ちになるかもしれません。でも、現実は、違うのですよ。

「解説」は大絶賛モードで、文藝賞の審査の時にも複数の審査員が大絶賛だっらしいので、私の感性が著しく鈍いだけかもしれませんが…250円の対価に相応しいぐらいには楽しみました。一緒に収録されている「虫歯と優しさ」も、私的には、イマイチ、ピンと来ないなぁ。ブレーク中の椿あやなちゃんみたいな人が主人公で、虫歯になって、恋が終わる話です。ま、この作品がいけないんじゃなくて、恋愛小説全般が琴線に響かないだけなのかもしれません。


2 コメント

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うん・・・ (latifa)
2008-12-22 09:45:23
おりおんさん、こんにちは!
これ、さらさらっ・・と読めちゃいますよね。
ネーミング勝ちっていうのが、まさに当たってる・・。
この山崎ナオコーラさんっていうお名前からして、なかなかナイスなネーミングなんだけど、、彼女の本を数冊読んだんだけど、どれもこれっ!!っていうのが無かったりするんだ・・。

>恋愛小説全般が琴線に響かないだけなのかもしれません
 私もそうなのかも・・。なんか私は恋愛とかから、すっかりご隠居しちゃって、感動とか出来なくなってしまっているのかも・・・。
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「ご隠居」。 (おりおん。)
2008-12-22 13:56:31
latifaさん 

 こんにちは。コメントありがとうございます。そうそう、この小説って、タイトルが一番面白くって、中身は、わりとフツウな感じですよね。

 「恋愛からご隠居」。言いえて妙ですねぇ。
せめて、小説読んでいる時ぐらい、ドキドキしてみたいものですが、それすらないって悲しいかも。
 
 それでは、また!
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