おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

2月文楽公演 大経師昔暦 @ 国立劇場

2010年02月08日 | 文楽のこと。
2月文楽公演 第2部(大経師昔歴) @ 国立劇場

 「えっ~、なんで、そんなことになるの???」と言いたくなるような、いかにも、文楽チックなストーリー。浮気者の夫を懲らしめてやろうと、夫が忍びこんでいくであろう場所に先回りして待ち構えていた妻。しかし、そこにやってきたのは、夫ではなくて、別の人物。しかし、相手も、それが自分の主人の妻だとは知らずに…。

 確かに、偶然に偶然が重なるってことは、無きにしもあらずでしょうよ。しかし、いくらなんでも布団の中でやることはやって、夫が外出先から帰ってきてはじめて「えっ~、違う人だったなんて気付かなかった~!」なんて、それはいくらなんでも無いよね。その前に気付け!!!

 で、まあ、それは良いとして、今回も「綱大夫&清二郎」の床で疲労しました。出だしのところは大阪の初春公演よりはちょっとはマシかな(一応、救いを見出そうという努力はしました!)と思ったのですが…。しかし、それも、束の間。ストーリーが展開するにつれて、綱さんの疲れが浄瑠璃にはっきりと表れてしまうのです。後半なんて、息が続かず、どんどん声も出なくなってしまって…痛々しい。 α波で眠くなるのではなく、集中力が続かず、途中で睡魔に襲われました。

 観客として、いい浄瑠璃を聴きたい、気持ちよくなりたい-というのもありますが、でも、一文楽ファンとして、人間国宝にこんな醜態さらさせるのはやめようよ-というのが正直なところです。

 「梅龍内の段」は文字久さん&住師匠の浄瑠璃は、本当に、いい気持でした。「聴きとらなきゃ」「理解しなきゃ」と気持ちがはやることなく、ゆっ~たりと包まれているように身を任せていられる感じ。今さら、住師匠についてはどんな言葉を尽くしても、言い切れませんが、この半年ぐらい、文字久さんも、めちゃめちゃレベルアップしてるような気がします。しかも、この段は、玉也さんの梅龍が登場して、人形にもワクワク。いかにも、玉也さんチックな豪快な手打ちシーンがあったりして、存分に楽しみました。

 最後の奥丹波隠れ家の段。万歳役、人形が一輔さんで、大夫は芳穂さん。きゃぁ、超私好みの組み合わせ。仕草からも、お声からも「楽しい~」という空気が伝わってきて、嬉しくなる。もちろん、富助さんの三味線もステキ♪  結局、いつも、同じ人を好き好きと綴っているような気がしないでもありませんが…。 

 きっと、皆さん、日々、言葉に言い尽くせないような鍛錬、努力をされているのだと思いますが、でも、所詮は芸能。つまり、観客が楽しくなれる、ハイになれてこそ-じゃないでしょうか。清二郎さんなんて、まだ、お若いんだし、早く、つらい立場から解放されて(というのは、私の、勝手な思いこみ?)、観客をハイにするような三味線を聴かせていただきたいです。


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