「半九郎闇日記」上・下 角田喜久雄著 小学館文庫 11/10/25読了
ゼーゼー、ハーハー。なんかフルマラソン走りきった気分です。走り始めてすぐに苦しくなったけれど、そこをなんとか乗り切り、30キロ過ぎてほとんど意識を失いかけながら「ここまで走ってきたのに、棄権するわけにはいかないっ!」と意地で完走。そんな感じです。
正直、面白いのか、ツマラナイのかすらイマイチわからなかった。この小説を一言で表現するならば「confusing!」。とにかく、二転三転、行ったり来たり。最初はお江戸ミステリーと思って読み始めたのですが、途中から、ホラーのような、オカルトのような気味悪い場面多発。その上、赤穂浪士と浦島太郎を足してぐるぐるかき回したような(足して2で割るのではなくて、足してかき回しているのです!)不思議なストーリーで、下巻のラスト30ページまで来たところで、ようやく「えっ、これって源平ものだったの???」と気付く始末。
物語の大きな枠組は、日本版・聖杯伝説というところでしょうか。聖杯にあたるのは「将監闇日記」という竜宮の歴史書。これを求める過程で物語のメインプレーヤーたちには様々な試練が課され、アングラ勢力の妨害に遭いながら、最後にようやく聖杯を手にするというもの。
ちなみに、この作品は1959年(昭和34年)のもので、wikiによれば角田喜久雄という人は日本の伝奇小説の分野を確立した人なんだそうです。奇妙奇天烈なストーリーである以上に、印象に残ったのは物語の構造がくどいというか、プリミティブというか…。悪者の仕掛ける罠が毎度同じような手口なのに、なぜか、何度もそれにひっかかる繰り返し返しで、ちょっとイラッとする。
しかし、とにかく読み終えたのだ! 疲労感と達成感。でも、爽快感はないなぁ。ネットでは、「あっという間に読み終えるほど面白い」という趣旨の読書ブログもいくつかありましたが、若輩者の私は、その域には達していないようです。