おんらく館~のこぎりものには福がある~

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福祉工学への招待

2014-08-23 | 
本の紹介です。
「福祉工学への招待」伊福部達著 ミネルヴァ書房

先日波形測定をしてくれた伊福部先生の最新の著書です。

僕が伊福部先生にお会いしたのは、打ち上げの席と、測定の時の2回だけ。
それ以前は全く存じ上げない方でした。
(実はテレビの中で何度かお見かけしてたことが本を読んで知りましたが)

そして、「音の測定が出来る」に始まり、研究室の入り口には「福祉工学」の文字、
中に入って秘書の方に説明されて渡されたのが、柏市をモデル都市にした「超高齢社会の研究」

正直接点が見出せず、目を白黒させていたという感じです。

そういう中で頂いて読み始めた本なので、他の方とは少し違う視点で読み進めた感はありますが、
それを差し引いても面白い本でした!

ご本人の談によると、
以前「福祉工学の挑戦」という本も書かれたのですが、それは少し専門的過ぎて難しかった。
今回は誰にでも読みやすい内容にした。
ということですが、

頁を開くと、まずご自身の幼少の頃から話が始まりまして、この研究への興味が語られます。


これも本人から聞いた話ですが、元々は「医療工学」という分野だったとか。


耳、口、目の障碍者に対して、電気を使った器具でそれを助けるものの研究開発、といったことです。


ちなみに、NHKで流れる地震速報の「チャラララン チャラララン」というチャイム音も伊福部先生が作りました。

この写真は研究室の壁に貼られていたものですが、本の中にも音符が紹介されています。

「のこぎりで弾くか?」と言われましたが、
  ムリです(苦笑)


「聴く」を助ける
つまり聴覚障害者への補助道具ですが、補聴器以外に「指で聞く」という研究が面白いです。
指先に神経が集まっていることを利用して、箱に流れる電流を音として認識させるという研究。

他にも「話す」を助ける
ではインコと九官鳥の「声マネ」の原理を調べたり(それぞれ違うシステムでしゃべっているそうです!)
腹話術師のI氏の協力(誰かは言わずとも明白・笑)によって発声のメカニズムを調べたり、

また先日お会いしたYさんの開発したアプリも紹介されてます。

これは「ゆびで話そう」というスマートフォン用のアプリで、
子音と母音を指でなぞることによって言葉を発声し、会話が出来るというソフトです。

結構ちゃんと聞き取れますし、メロディに合わせて歌うというのも聞かせてもらいました。

350円でダウンロードできるので、興味あったらお試しください。


そして「見る」を助ける
では、超音波による視覚補助。

そして、バーチャル、3Dの課題といった所からロボットへの開発!(ツボだ~笑)


最後に「超高齢社会」への提起へと帰結して行きます。

なるほど、繋がった~!という満足感。

途中の研究は、それぞれNHK等の科学番組などで多く紹介されており、
「あ、これ見たわ!」というのが幾つもありました。


それにしても、先端を走り続けているな~と、尊敬せずにはいられませんね。


あとがきに
「本書の読者は社会福祉や文化・歴史などに関心のある文型の人たちが多いことを想像します」
と書かれています。

僕も文系(というか、理系が全くダメなので消去法的に文系なだけですが)ですが、
それを想定していたからか、本当に読みやすい本でした。

ただし、説明のためのグラフが逆に理解しづらくて困りましたが・・・
もっともこのグラフがなくても読み進めるのに全く支障ありませんでしたけれど(苦笑)


これは、障碍者や高齢者がどうやって生きるか?という本ではなく、
そういう人たちが増える中、彼らとの共生方法、生活モデル、新たなビジネススタンダードを提起してくれる本だとも思います。

また、科学にあまり関心がない人でも、楽しく興味を持って読めます。
何しろ自分たちの体の仕組みについても色々知るところが多いですから。


ゼヒ呼んでいただきたい1冊です!!







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