おんらく館~のこぎりものには福がある~

のんびり・ぼちぼち・気の向くままに・・・

羊と鋼の森

2016-04-21 | 
父からのメールで、この本の存在を知りました。
ついで友人からもお知らせメールが・・・

現在買いためた本が多数あり、最初は後回しにと思ったのですが、内容が調律師のお話だと知り本屋で購入、すぐに読み始めました。


「本屋大賞」の本を読むのは、「舟を編む」以来の2冊目です。
なんだか両方ともマニアックな仕事のお話だな~・・・(笑)
そして両方に共通しているのが、暖かい文体でいやな人が登場しないこと!



自分が調律師であり、お客さんとの会話のネタになれば、というのが読み始めるきっかけの一つでもありましたから、どうしても技術的な部分に最初は目が行ってしまいました。

でも、作者は調律師ではないし、読者の多くも調律師ではありません。他の職業を題材にしても同じでしょうね。
つまり、そういう読み進め方は面白くないし、正しくない。

素直に主人公の成長のさまを楽しんで読みました。



文体が暖かくて瑞々しい。心地よくさらさらと読めます。

一方で、シーンの区切りがなく連続して書かれているので、時系列というか「間」が分かりにくかったです。同じシーンの続きかと思ったら、全然違う日時、場所に飛んでいたり、と言うことが多く、主人公の費やした時間が分かりにくい。。。

加えて主人公の顔がずっと見えませんでした。

他の登場人物は、個性がはっきり書かれていて、すぐにどんな人なのか画が浮かぶんですが、主人公の外村君に限っては、調律の仕事は迷いなく選んだけど、自分の生き方や目指す方向の視点がなかなかハッキリ打ち出せないのでずっと「顔なし」くん状態で読み進めていました。

とはいえ、それが不快であったわけでもありません。
「悩み」「ジレンマ」「願望」はものすごく共感できたので、「うんうんそうだよな、がんばれ~。オレもがんばらなきゃな~」などと思いながら読んでいました。

終盤になって自分(外村君)の思いがハッキリと集約されたとき、パァッと彼の顔が浮かんできました!


読後感もすごく爽やかで、大賞も納得です。(他の本を読んでないので比較はできませんが・苦笑)





技術面でいうと、実際の調律師からの感想は批判的で厳しいものが多いようですが、確かに「え、?」と思うところがないでもないですが、目指している方向は間違ってないと思うし、心構えとしてはすごく同調しますし自分も背中を押される気持ちです。

ただ、本当に書かれているとおりの技術力を彼ら(作中の調律師たち)が持っていたら、見習いの戸村君を含め相当ハイレベルな会社ですね!(^^)


彼らを見習って、喜ばれる調律を今後も心がけていきたいと思います。









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