おんらく館~のこぎりものには福がある~

のんびり・ぼちぼち・気の向くままに・・・

調律世界大会その2

2019-05-29 | 調律
つづきです。。


もう一つ「桒形亜樹子のチェンバロレクチャーコンサート」というのが思いのほか面白かったですね。
失礼ながらこの先生のキャラに寄る面白さも相当加わっていたようにも思いますが・・・



用意されたチェンバロというのが、上下2段鍵盤で、それぞれ違う弦を演奏できます。

つまり、上下段で違う調整の調律を用意することが出来るわけです。



片方をミーントーン(長三度純正中全音律という古典調律)、片方を平均律(現在一般的に行われている調律)にして、必要に応じて弾き比べをしながらの講義でした。

例えば、バロック時代の曲を平均律で弾いてみたり、バッハの平均律クラヴィアを平均律とミーントーンで弾き比べてみたり。

またそれに対していちいち「私はこれは好きだ、嫌いだ」と感想を加えたり。。。(笑)


それはともかく、実際に音を比較しながら演奏を体験できるというのはやはりスバラシイと思います。

自分は今「平均律」しかやりませんが、「古典調律」というのも以前よりちょっと興味が湧きました。


ついでに記しておきますと、「平均律」は長三度がキタナイ、というのが普通に耳にする評価なんですが、「平均律」に慣れている自分の耳には「古典調律」の五度の唸りの方がよほど気になってしまいました。
つまり、どこをキレイ、キタナイというのは結局慣れなのだな、と・・・


更には、常識として教わった「古典調律が色々変化していって平均率にたどり着いた」というのは実は真っ赤なウソである、という説には驚きました。

なんと紀元前400年(だったかな?)には平均律を思わせる記述も残されているようで、それはピタゴラス音律よりも古いということです。

またその後の歴史の中でも随時あちこちで平均律をあらわしているだろう文献が残っているとの事。

つまりミーントーン、キルンヴェルガー、ヴェルクマイスターなどの古典調律は、平均律を横目で見ながらも「より美しい和声」を求めて作られたものなんだな~ということ。。
それからフランスだったか(いちいち記憶があいまい・・・)、都市と田舎で音楽の調整が違ってたりなんてこともあったようです。

楽器にしても「リュートやヴィオラダガンバ」などは当時から平均律だったようで、鍵盤楽器は必ずどこかに不協和音が入ってしまうため、鍵盤数を増やして純正調のものをこしらえたりもしたそうです。


実はこのレクチャーの後に、楽器博物館に行って来まして、その実物というのを早速拝むことが出来ました。



写真からでもかなり尋常でないことが分かると思います(^^;)


ただし、この楽器博物館、展示楽器に触れることが出来ないので肝心の音がサッパリ分かりません。

結構フラストレーションを溜め込んでしまいました。。。(苦笑)


まあそれでも興味深かったり単純に面白かったり出来るものも多数あり、充実はしました。


その中で、昔のピアノにはペダルが沢山ありました。というもの。



その説明がこちら




また、両側から演奏できるピアノとか






ピアノじゃないし、たまたま船の模型から作りましたよ、っていうヴァイオリンとか。



弾きにくそうだし、音もどの程度のもんだか・・・?(^^;)

あとは見てるだけで圧巻のアジアの楽器。



などなど・・・
触れないけど撮影は自由でした。

夜はコンサートも開催されました。



初日がピアノソロ。二日目がピアノと尺八によるジャズ!



そうそう、会場はコングレスセンターというところで



屋上広場みたいなところがあって、そこにショパンの像もありました。



さすが浜松!


ついでに、物販コーナーに展示してくれていたチューニングハンマーのいろいろ。



面白いでしょ!(^^)















調律世界大会

2019-05-27 | 調律
正しくは

「第21回 IAPBT 浜松大会」

IAPBT(International Association of Piano Builders and Techbicdians)
目的:日政治的に世界のピアノ技術者及び製作者の輪を構築し、その自由を奨励する。
目標:技術情報や関連するあらゆる事項についての交換手段を提供しその自由を奨励する。

1979年発足以来、隔年世界各地に於いて、各国代表による総会やシンポジウム等を通じ技術情報の交換や有効を深めて参りました。今年20年ぶりに静岡県浜松市で開催されます。

というものに参加してきました!


「世界大会」という名称でずっと言われていたのでタイトルもそうしましたが、その字面とは違う内容のものでありますね。。。(笑)
調律技術を競い合う、というものではありません。念のため(^^)




5月25日、26日の2日間にわたって行われ(海外からの方は27日にヤマハ、カワイの工場見学がツアーとして入っていましたが)、アクトシティ浜松コングレスセンターを借りて物販やセミナーを繰り広げられました。
各日夕方からはコンサートもあり。


物販や紹介コーナー



日本の調律師協会全国各支部がそれぞれ、自分の地域のアピールや商品の紹介をしています。
日ピで作ったというTシャツと、技術書、ちょっとした工具、部品を買いました。

別のフロアにて、今月頭に購入したチューニングハンマー製造の「ひびき工房」のブース。
朝一から大勢の人で賑わっています。





セミナーは、各メーカーや理論、製作等12あり、それを各日4会場で1日3枠で行われています。
つまり最大で6つ、全部は見られません。なので面白そうなものを取捨選択するわけですが・・・


自分が見た中でも面白いと思ったのが3つあったので、それで良しとしましょう!(^^)


そのひとつが「リラピアノ修復の軌跡」



こんな形のピアノです。


昨年11月、栃木の小野工房に行ったときにあったピアノ、そのときはまだボロボロでした。
それを如何に修復、復元したか?という内容でしたが、何しろ半年前の状態を見ているので余計に興味深かったということもあるのでしょうね。

鍵盤アクションモデルもありまして、それも作ったとの事!(こっちのほうが大変だったとか?)




他のリラピアノに多いアクションが下の写真


比べてみると分かりますが、形が全然違いますね。

今回の修復ピアノは、鍵盤がくの字型に曲がっていてアクションが下に沈みこんでます。
このお陰で色んな調整が大変。。。



破損したりなくなっているパーツを新たに作りつつ、なるべくオリジナルを残すよう試行錯誤しながら製作されたそうです。


最後には外装を取り外して触らせてももらえました。




鉄骨がなく、細い鉄の弦(現在は鋼鉄弦)。そしてハンマーはフェルトではなく皮製。
よって音は現在のものとは全然違いますが、これはこれで味があり、最近はこの音も好きになっています。
鍵盤のタッチの深さも現行ピアノの半分くらいなので、同じ曲でもテクニックや印象はまるで違うものであることが容易に想像できますね。


つづく















パーツの自作

2019-05-21 | 調律
お世話になっているライブハウスのピアノ。

古いNYスタインウェイ!

先輩調律師から引き継いでやらせてもらっています。。。


で、その中のソステヌートの突き上げパーツですが、最初から壊れてました。。。(^^;)
どう見ても強度の面で設計が悪いのではないか??

だましだまし何度か修理してましたが、ついに回復不能と判断して、同じようなものを自作しました。



言うまでもないですが、右が元のパーツ。左が自作パーツ。

中央にある(謎の)丸パーツは省略しました。
どう考えてもこのパーツのお陰で貧弱になってるし、これをつける意味が分からん。。。

ご教授いただけましたら、素直にお聞きしたいところですが・・・



で、ちょっとドキドキしながら組み込んでみました。

若干削りなおしの寸法あわせをしましたが、なんとか無事に装着!
動いてくれました。

あとは経過観察ですね。。。



マスターから「器用ですね~」と感心されましたが、調律師さんって結構こういう工作上手な人が多いと思う。
















出張演奏

2019-05-19 | のこぎり
本日は以前からお世話になっている港南区のアウトリーチ事業で「日野南コミュニティハウス」さんにて演奏してきました。



築10年目ということですが、とてもキレイで色々出来るんじゃないか?と思える施設でした。



地域活性という名目でお願いされるわけですが、プログラムに関しては「お任せします」の丸投げで毎回悩みます。。。

今回も同じパターンで、「60歳以上の方ばかりです」との連絡の後「お子さんも2,3人います」というのが来たり、その他色々ありまして、、、
今回に関してはプログラムは「当日のお楽しみ」とさせていただきました。

一応最初の数曲は決めておいて、後はご来場いただいたお客さまの様子や雰囲気を見ながら用意した伴奏CDをどの曲を再生するか決める、という形で進行しました。


事前の情報では、お年寄りと子供2,3人ということでしたが、直線情報+ふたを開けると比較的若い大人、親子、というのも目立った感じでした。


加えて、皆さん反応がよろしい!(笑)


今回これはやらないだろうな・・・という曲をいきなりやることになったり、
でもやるつもりの曲を上手くつなげられたり、

とにかく客席が良いと演奏もすごくやりやすくなります。

加えて、自分でも気持ちよく音を出せたと思います。


やはり音楽は生き物ですね!!


終わった後も「また聞きたい」という感想をいただけで、嬉しかったです。



そういえば、教室の生徒さんも何度も本番を経験しているんですが、
毎回「緊張して上手くできなかった」という感想をいただきます。

一方自分はあまり緊張しないんですが、
BSプレミアムの「マジックキャッスル」という番組を見て、ちょっと理由が分かりました。


マジシャンも「上手にやろう」と考えてステージに上がったら、きっと緊張して上手くいかないと思います。
一流になるほど「観客を楽しませる」ことにウェイトが高くなるんじゃないでしょうか。


これは「一流だから」とかいう話ではなくて、特に音楽の場合少々ミスってもマジックほど致命的になるわけではありませんし、それよりも舞台としての「エンターテイメント」が上手くいけば成功だとともっています。

これはのこぎり演奏を始める前に、大道芸一座と親しくなっていたことと、そもそも音楽より寄席芸の方に先に興味を持っていたことが大きいのだなと気づきました。

上手い下手と、良い悪いはその後についてくる話です。


お互いが笑顔になれる、そんな環境を今後も築いていきたいな、と思いました。。。















シド・ミード展

2019-05-17 | お出かけ
昨日の昼食は家族4人で外で取りました。

地元の駅前にある海鮮居酒屋なんですけど、昼からランチ営業をしています。
新鮮なネタで美味しいので夜は飛込みでは入れないくらいなんですが、開店と同時に入ったら割りとゆったりでした。予約もしていましたけどね・・・

酒を飲まなかっただけでものすごくリーズナブルと気づく・・・(笑)


そしてその後、夕方ののこぎり教室の前に、念願のシド・ミード展に行ってきました。




原画から伝わる繊細さと色鮮やかさにうっとりしておりました。


まず構図が素晴らしい。そして色彩がイラスト毎に統一されているのですごくスッキリしている。
そしてどのイラストにも物語を感じる。


ビデオコメントの中で、メカやキャラクターのデザインをするときも「その世界間の中で動くので背景まで描く」と仰ってましたが、なるほどたしかに。。。


最後がターンAガンダムのブースでしたが、確かにどのロボットもうっすらと背景が描かれていました。
そして足元には必ず同サイズの人物が。これでどのくらいの大きさのロボットか人目で分かります。


ガンダムもヤマトも徹底的に分解、解析して作りこんでいたことがよく分かります。


行けるかどうかちょっと心配でしたが、終盤の平日ということもあり割とゆっくりじっくり観ることが出来たので本当に良かったです。



前半部は写真撮影OKだったので、バシャバシャ撮りまくりましたよ(笑)

ただデジカメ禁止で、スマホかタブレットで、という(何で?)おふれだったので今ここに画像なくってスイマセン。。。