日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(227)「韓非子、矛盾(楚人有鬻盾与矛者)」の「述語論理」(Ⅱ)。

2019-05-18 19:27:20 | 漢文・述語論理
(01)
楚人有鬻盾与矛者。
誉之曰、
吾盾之堅、莫能陥也。
又誉其矛曰、
吾矛之利、於物無不陥也。
或曰、
以子之矛、陥子之盾、何如。
其人弗能応也。
(02)
楚人有[鬻〔盾与(矛)〕者]。
誉(之)曰、
吾盾之堅、莫(能陥)也。
又誉(其矛)曰、
吾矛之利、於(物)無〔不(陥)〕也。
或曰、
以(子之矛)、陥(子之盾)、何如。
其人弗〔能(応)〕也。
(03)
楚人に[〔盾と(矛)とを〕鬻く者]有り。
(之を)誉めて曰く、
吾が盾の堅きこと、(能く陥す)莫きなり。
又た(其の矛を誉めて)曰く、
吾矛の利なること、(物に)於いて〔(陥さ)不る〕無きなり。
或ひと曰く、
(子の矛を)以て、(子の盾を)陥さば、何如ん。
其の人〔(応ふる)能は〕ざるなり。
(04)
[一]矛盾〈韓非子〉
(通 釈)
楚の国の人に、楯と矛を売り歩くものがあった。
(その人)がこの商品をほめて「わたしの楯の堅くてじょうぶなこといったら、これを突きとおすことのできるものはない。」と言い、
またその矛をほめて「わたしの矛の鋭利なことといったら、どんな物であろうと突きとおしてしまう。」と言った。
(これを聞いた)ある人が「あなたの矛でもってあなたの楯をついたら、どういうことになりますか。」と言った。
(楯と矛を売っていた)その人は何とも返事をすることができなかった。
(旺文社、漢文の基礎、1973年、31頁)
従って、
(04)により、
(05)
「盾の集合」の中に「いかなる矛も陥さない盾」があって、「わたしの盾」が「その盾」である。
「矛の集合」の中に「すべての盾を陥す矛」  があって、「わたしの矛」が「その矛」である。
と、楚の国の人が、言ってゐる。
従って、
(04)(05)により、
(06)
「盾の集合」の中に「いかなる矛も陥さない盾」がある。
「矛の集合」の中に「すべての盾を陥す矛」  がある。
 といふことは、「矛盾」であると、ある人が、言ってゐる。
然るに、
(07)
1       (1) ∃x(盾x)&∃y(矛y)      A
1       (2) ∃x(盾x)             1&E
 3      (3)    盾a              A
1       (4)        ∃y(矛y)      1&E
  5     (5)           矛b       A
   6    (6) ∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)} A
    7   (7)    盾a&∀y(矛y→~陥ya)  A
    7   (8)       ∀y(矛y→~陥ya)  7&E
    7   (9)          矛b→~陥ba   8UE
  5 7   (ア)             ~陥ba   59MPP
     イ  (イ) ∃y{矛y&∀x(盾x→ 陥yx)} A
      ウ (ウ)    矛b&∀x(盾x→ 陥bx)  A
      ウ (エ)       ∀x(盾x→ 陥bx)  ウUE
      ウ (オ)          盾a→ 陥ba   エUE
 3    ウ (カ)              陥ba   3オMPP
 35 7 ウ (キ)         ~陥ba&陥ba   アカ&I
 35 7イ  (ク)         ~陥ba&陥ba   イウキEE
 356 イ  (ケ)         ~陥ba&陥ba   67クEE
13 6 イ  (コ)         ~陥ba&陥ba   45ケEE
1  6 イ  (サ)         ~陥ba&陥ba   23コEE
   6 イ  (シ)~[∃x(盾x)& ∃y(矛y)]   1サRAA
   6 イ  (ス) ~∃x(盾x)∨~∃y(矛y)    シ、ド・モルガンの法則
   6 イ  (セ)  ∃x(盾x)→~∃y(矛y)    ス含意の定義 
      ソ (ソ) ~∃x(盾x)            A
      ソ (タ) ~∃y(矛y)∨~∃x(盾x)    ソ∨I
       チ(チ)         ~∃x(盾x)    A
       チ(ツ) ~∃y(矛y)∨~∃x(盾x)    チ∨I
   6 イ  (テ) ~∃y(矛y)∨~∃x(盾x)    スソタチツ∨E
   6 イ  (ト)  ∃y(矛y)→~∃x(盾x)    スソチツト∨E
   6 イ  (ナ)  ∃x(盾x)→~∃y(矛y)&
             ∃y(矛y)→~∃x(盾x)    セト&I
然るに、
(08)
1  (1)∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)} A
 2 (2)   盾a&∀y(矛y→~陥ya)  A
 2 (3)   盾a              2&E
 2 (4)      ∀y(矛y→~陥ya)  3&E
 2 (5)         矛b→~陥ba   4UE
  6(6)         矛b        A
 26(7)            ~陥ba   56MPP
 26(8)         盾a&~陥ba   37&I
 26(9)      ∃x(盾x&~陥bx)  8EI
1 6(ア)      ∃x(盾x&~陥bx)  129EE
1  (イ)   矛b→∃x(盾x&~陥bx)  6アCP
1  (ウ)∀y{矛y→∃x(盾x&~陥yx)} イUI
従って、
(08)により、
(09)
① ∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)}
② ∀y{矛y→∃x(盾x&~陥yx)}
に於いて、
① ならば、
② である。
cf.
ただし、「逆」は「正しく」はない。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
1       (1) ∃x(盾x)&∃y(矛y)       A
1       (2) ∃x(盾x)              1&E
 3      (3)    盾a               A
1       (4)       ∃y(矛y)        1&E
  5     (5)          矛b         A
   6    (6) ∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)}  A
ではなく、
1       (1) ∃x(盾x)&∃y(矛y)       A
1       (2) ∃x(盾x)              1&E
 3      (3)    盾a               A
1       (4)        ∃y(矛y)       1&E
  5     (5)           矛b        A
   6    (6) ∀y{矛y→ ∃x(盾x&~陥yx)} A
である、としても、
次に示す「計算(11)」は、「正しい」。
(11)
1       (1)   ∃x(盾x)&∃y(矛y)       A
1       (2)   ∃x(盾x)              1&E
 3      (3)      盾a               A
1       (4)          ∃y(矛y)       1&E
  5     (5)             矛b        A
   6    (6)   ∀y{矛y→ ∃x(盾x&~陥yx)} A
   6    (7)      矛b→ ∃x(盾x&~陥bx)  6UE
  56    (8)          ∃x(盾x&~陥bx)  57MPP
    9   (9)             盾a&~陥ba   A
    9   (ア)                ~陥ba   9&E
     イ  (イ)   ∀x{盾x→ ∃y(矛y& 陥yx)} A
     イ  (ウ)      盾a→ ∃y(矛y& 陥ya)  イUE
 3   イ  (エ)          ∃y(矛y& 陥ya)  3ウMPP
      オ (オ)             矛b& 陥ba   A
      オ (カ)                 陥ba   オ&E
    9 オ (キ)            ~陥ba&陥ba   アカ&I
  56  オ (ク)            ~陥ba&陥ba   89キEE
 356 イ  (ケ)            ~陥ba&陥ba   エオクEE
1 56 イ  (コ)            ~陥ba&陥ba   23ケEE
1  6 イ  (サ)            ~陥ba&陥ba   45コEE
   6 イ  (シ)~{∃x(盾x)& ∃y(矛y)}      1サRAA
   6 イ  (ス) ~∃x(盾x)∨~∃y(矛y)       シ、ド・モルガンの法則
   6 イ  (セ)  ∃x(盾x)→~∃y(矛y)       ス含意の定義
      ソ (ソ) ~∃x(盾x)               A
      ソ (タ) ~∃y(矛y)∨~∃x(盾x)       ソ∨I
       チ(チ)         ~∃y(矛y)       A
       チ(ツ) ~∃y(矛y)∨~∃x(盾x)       チ∨I
   6 イ  (テ) ~∃y(矛y)∨~∃x(盾x)       スソタチツ∨E
   6 イ  (ト)  ∃y(矛y)→~∃x(盾x)       テ含意の定義
   6 イ  (ナ)  ∃x(盾x)→~∃y(矛y)&
             ∃y(矛y)→~∃x(盾x)       セト&I
従って、
(07)(11)により、
(12)
1       (1) ∃x(盾x)&∃y(矛y)     A
1       (1) ∃x(盾x)&∃y(矛y)     A
と「仮定」し、
   6    (6)∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)} A
   6    (6)∀y{矛y→∃x(盾x&~陥yx)} A
と「仮定」し、
     イ  (イ)∃y{矛y&∀x(盾x→ 陥yx)} A
     イ  (イ)∀x{盾x→∃y(矛y& 陥yx)} A
と「仮定」すると、
   6 イ  (ナ)∃x(盾x)→~∃y(矛y)&∃y(矛y)→~∃x(盾x) セト&I
   6 イ  (ナ)∃x(盾x)→~∃y(矛y)&∃y(矛y)→~∃x(盾x) セト&I
といふ、『結論』が、「演繹」される。
従って、
(12)により、
(13)
(1)あるxは盾であり、あるyは矛である。
(〃)あるxは盾であり、あるyは矛である。
と「仮定」し、
(6)あるxは盾であり、すべてのyについて、yが矛であるならば、yはxを突き通さない。
(6)すべてのyについて、yが矛であるならば、あるxは盾であり、yはxを突き通さない。
と「仮定」し、
(イ)あるyは矛であり、すべてのxについて、xが盾であるならば、yはxを突き通す。
(イ)すべてのxについて、xが盾であるならば、あるyは矛であり、yはxを突き通す。
と「仮定」すると、
(ナ)ある楯xが存在するならば、ある矛yは存在せず、ある矛yが存在するならば、ある楯xは存在しない。
(〃)ある楯xが存在するならば、ある矛yは存在せず、ある矛yが存在するならば、ある楯xは存在しない。
といふ、『結論』が、「演繹」される。
従って、
(12)(13)により、
(14)
(6)いかなる「矛」であっても、突き通すことが出来ない、「楯」が存在する。と仮定し、
(〃)いかなる「楯」であっても、突き通すことが出来る、 「矛」が存在する。と仮定すると、
(ナ)そのやうな「楯」が存在するならば、そのやうな「矛」は存在せず、
(〃)そのやうな「矛」が存在するならば、そのやうな「楯」は存在しない。
 といふ「矛盾(Contradiction)」が、生じることになる。
従って、
(01)~(14)により、
(15)
夫不可陷之楯與無不陷之矛、不可同世而立。
夫不〔可(陷)〕之楯與[無〔不(陷)〕之矛]、不[可〔同(世)而立〕]。
夫れ陥すべからざるの楯と、陥らざる無きの矛とは、世を同じくして立たつべからず。
といふ「主張」、すなはち、
「わたしの盾の堅くてじょうぶなこといったら、これを突きとおすことのできるものはない。」
「わたしの矛の鋭利なことといったら、どんな物であろうと突きとおしてしまう。」といった、「そのやうな盾と矛は、同時には、存在しない」。
 といふ「主張」は、「述語論理(Predicate logic)」としても、「妥当(Valid)」である。
 ―「補足」―
(16)
① ∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)}
② ∀y{矛y→∃x(盾x&~陥yx)}
に於いて、
①=② であるはず。
と、思っゐたものの、(08)でも示した通り、
1  (1)∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)} A
 2 (2)   盾a&∀y(矛y→~陥ya)  A
 2 (3)   盾a              2&E
 2 (4)      ∀y(矛y→~陥ya)  3&E
 2 (5)         矛b→~陥ba   4UE
  6(6)         矛b        A
 26(7)            ~陥ba   56MPP
 26(8)         盾a&~陥ba   37&I
 26(9)      ∃x(盾x&~陥bx)  8EI
1 6(ア)      ∃x(盾x&~陥bx)  129EE
1  (イ)   矛b→∃x(盾x&~陥bx)  6アCP
1  (ウ)∀y{矛y→∃x(盾x&~陥yx)} イUI
であり、それ故、
① ならば、② である。
然るに、
(17)
1  (1)∀y{矛y→∃x(盾x&~陥yx)} A
1  (2)   矛b→∃x(盾x&~陥bx)  1UE
 3 (3)   矛b              A
13 (4)      ∃x(盾x&~陥bx)  23MPP
  5(5)         盾a&~陥ba   A
13 (6)         盾a&~陥ba   455EE
13 (7)            ~陥ba   6&E
1  (8)         矛b→~陥ba   37CP
1  (9)      ∀y(矛y→~陥ya)  8UI
13 (ア)   盾a              6&E
13 (イ)   盾a&∀y(矛y→~陥ya)  9ア&I
 (ウ)∃x{盾a&∀y(矛y→~陥ya)} イEI

然るに、
(18)
 1 (ウ)∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)} エEI
ではなく、
1  (ウ)∃x{盾a&∀y(矛y→~陥ya)} エEI
でなければ、
① ∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)}
② ∀y{矛y→∃x(盾x&~陥yx)}
に於いて、
①=② ではない。
従って、
(16)(17)(18)により、
(19)
① ∃x{盾x&∀y(矛y→~陥yx)}
② ∀y{矛y→∃x(盾x&~陥yx)}
に於いて、
① ならば、② であるが、
 ② ならば、① である。ではない

(226)「不好犯上而好作乱者」の「述語論理」。

2019-05-18 10:34:24 | 漢文・述語論理

―「昨日の記事(226)」を書き直します。―
(01)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也=
① 不[好〔犯(上)〕]而好〔作(乱)〕者、未(之有)也⇒
① [〔(上)犯〕好]不而〔(乱)作〕好者、未(之)有也=
① [〔(上)を犯すことを〕好ま]ずして〔(乱を)作すこと〕好む者は、未だ(之れ有ら)ざるなり=
① 目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、3頁)。
然るに、
(01)により、
(02)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也。
に於いて、
① 之=不好犯上而好作乱者
然るに、
(03)
否定文で、目的語が代名詞である時は、「否定詞+O+V」となり、肯定文の(V+O)とは異なる(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、4頁)。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① 未有不好犯上而好作乱者。
に於ける、
① 不好犯上而好作乱者
といふ「文」が、
① 未有 の上に、「倒置(強調)」された「形」が、
① 不好犯上而好作乱者、未之有也。
である。といふことになる。
然るに、
(05)
(α)
1 (1)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} A 
1 (2)∃x~∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 1量化子の関係
1 (3)∃x∀y~{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 1量化子の関係
 4(4)  ∀y~{上ay→(~好犯ya&好乱ya)} A
 4(5)    ~{上ab→(~好犯ba&好乱ba)} 4UE
 4(6)   ~{~上ab∨(~好犯ba&好乱ba)} 5含意の定義
 4(7)   ~~上ab&~(~好犯ba&好乱ba)  6ド・モルガンの法則
 4(8)   ~~上ab                7&E
 4(9)     上ab                8DN
 4(ア)         ~(~好犯ba&好乱ba)  7&E
 4(イ)         ~~好犯ba∨~好乱ba   ア、ド・モルガンの法則
 4(ウ)          ~好犯ba→~好乱ba   イ含意の定義
 4(エ)     上ab&(~好犯ba→~好乱ba)  9ウ&I
 4(オ)  ∀y{上ay&(~好犯ya→~好乱ya)} エUI
 4(カ)∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)} オEI
1 (キ)∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)} 14EE
(β)
1   (1)∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)} A
 2  (2)  ∀y{上ay&(~好犯ya→~好乱ya)} A
 2  (3)     上ab&(~好犯ba→~好乱ba)} 2UE
 2  (4)     上ab                3&E
 2  (5)          ~好犯ba→~好乱ba   3&E
  6 (6) ∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} A
  6 (7)   ∃y{上ay→(~好犯ya&好乱ya)} 6UE
   8(8)      上ab→(~好犯ba&好乱ba)  A
 2 8(9)           ~好犯ba&好乱ba   48MPP
 2 8(ア)           ~好犯ba        9&E
 2 8(イ)                 好乱ba   9&E
 2 8(ウ)                ~好乱ba   5イMPP
 2 8(エ)           好乱ba&~好乱ba   イウ&I
 26 (オ)           好乱ba&~好乱ba   78EE
 2  (カ)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 6オRAA
1   (キ)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 12カEE
 ―「別解」―
(α)
1 (1)~∀x{上x→ ∃y(~好犯yx&好乱yx)}  A 
1 (2)∃x~{上x→ ∃y(~好犯yx&好乱yx)}  1量化子の関係
 3(3)  ~{上a→ ∃y(~好犯ya&好乱ya)}  A
 3(4)  ~{~上a∨∃y(~好犯ya&好乱ya)}  3含意の定義
 3(5)  ~~上a&~∃y(~好犯ya&好乱ya)   4ド・モルガンの法則
 3(6)       ~∃y(~好犯ya&好乱ya)   5&E
 3(7)       ∀y~(~好犯ya&好乱ya)   6量化子の関係
 3(8)         ~~好犯ba∨~好乱ba    7UE
 3(9)          ~好犯ba→~好乱ba    8含意の定義
 3(ア)       ∀y(~好犯ya→~好乱ya)   9UI
 3(イ)  ~~上a                   5&E
 3(ウ)    上a                   イDN
 3(エ)    上a&∀y(~好犯ya→~好乱ya)   アウ&I
 3(オ) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)}  エEI
1 (カ) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)}  23オEE
(β)
1   (1) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)} A
 2  (2)    上a&∀y(~好犯ya→~好乱ya)  A
 2  (3)       ∀y(~好犯ya→~好乱ya)  2&E
 2  (4)          ~好犯ba→~好乱ba   3UE
  5 (5) ∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)} A
  5 (6)    上a→∃y(~好犯ya& 好乱ya)  5UE
 2  (7)    上a                  2&E
 25 (8)       ∃y(~好犯ya& 好乱ya)  67CP
   9(9)          ~好犯ba& 好乱ba   A
   9(ア)          ~好犯ba         9&E
 2 9(イ)                ~好乱ba   4アMPP
   9(ウ)                 好乱ba   9&E
 2 9(エ)           ~好乱ba&好乱ba   イウ&I
 25 (オ)           ~好乱ba&好乱ba   89エEE
 2  (カ)~∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)} 5オRAA
1   (キ)~∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)} 12カEE
従って、
(05)により、
(06)
(α)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx& 好乱yx)}
(β) ∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)}
に於いて、
(α)=(β)である。
従って、
(06)
(α)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx& 好乱yx)}
(β) ∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)}
に於いて、すなはち、
(α)すべてのxと、あるyについて、xがyの目上であるならば、yがxに逆らふことを好まずして、yがxに乱を起こすことを好む。といふことはない。
(β)あるxと、すべてのyについて、xがyの目上であって、yがxに逆らふことを好まない、のであれば、yはxに乱を起こすことを好まない。
に於いて、
(α)=(β)である。
従って、
(01)(06)により、
(07)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也=
① 不[好〔犯(上)〕]而好〔作(乱)〕者、未(之有)也⇒
① [〔(上)犯〕好]不而〔(乱)作〕好者、未(之)有也=
① [〔(上)を犯すことを〕好ま]ずして〔(乱を)作すこと〕好む者は、未だ(之れ有ら)ざるなり=
① 目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、3頁)。
といふ「漢文(論語、学而、二)」は、
② ~∀x∃y{上xy→(~好犯yx& 好乱yx)}
③   ∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)}
といふ「述語論理」に、相当する。
従って、
(07)により、
(08)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也。
② ~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)}。
③ 目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(09)
述語論理は人工知能が対象とする問題を記述する上で強力な表現手段を提供しています。記号論理は人工知能の分野における「言語」としての役割も果しています(村上・泉田研究室 AI (人工知能) - 画像処理・理解研究室)。
との、ことである。
然るに、
(10)
現在、世界の言語の百科事典といわれているEthnologueによると、世界中では現在7,099の言語が話されています。膨大な数の言語数ですが、驚くことに世界には70億人もの人口がいるのに、半分以上の人々はたった23の言語しか話していません。「7,000もの言語があるのに」です(世界を言語の数から読み解くおもしろさ | tree)。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
例へば、「目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない(論語、学而、二)。」といふ「命題」を表現できる、「世界中の言語」の中で、「最もユニーク」なのは、「述語論理(コンピューターの言葉)」である。
といふ、ことなる。
然るに、
(12)
自然言語の外国人むけの教科書は、まず「こんにちは!」「ありがとう」のような簡単な言葉(ネイティブスピーカーの子供でもわかる言葉)から入る。いっぽう、漢文は自然言語ではなかった。また「聞いて話す」音声言語ではなく、「読んで書く」ための書記言語である(加藤徹、白文攻略 漢文ひとり学び、2013年、8頁)。
とのことであり、もちろん、「述語論理」の場合も、「会話」をすることは、出来ない。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也。
② ~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)}。
③ 目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない(等の、世界中の、7,099の言葉)。
の中で、「最も、ユニークなの」は、一番が「述語論理」であって、二番が「漢文」である。といふ、ことになる。