日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(236)「すべての(∀x)」と「存在(∃x)」について。

2019-05-25 19:48:50 | 論理
(01)
(ⅰ)
1 (1)∀x(Fx→ Gx)  A
1 (2)   Fa→ Ga   1UE
 3(3)   Fa&~Ga   A
 3(4)   Fa       3&E
 3(5)      ~Ga   3&E
13(6)       Ga   24MPP
13(7)   ~Ga&Ga   56&I
1 (8) ~(Fa&~Ga)  37RAA
1 (9) ~Fa∨~~Ga   8ド・モルガンの法則
1 (ア)   ~Fa∨Ga   9DN
1 (イ)∀x(~Fx∨Gx)  アUI
(ⅱ)
1     (1)∀x(~Fx∨ Gx)  A
1     (2)   ~Fa∨ Ga   1UE
 3    (3)    Fa&~Ga   A
  4   (4)   ~Fa       A
 3    (5)    Fa       3&E
 34   (6)   ~Fa&Fa    45&I
  4   (7)  ~(Fa&~Ga)  36RAA
   8  (8)        Ga   A
 3    (9)       ~Ga   &E
 3 8  (ア)    Ga&~Ga   89&I
   8  (イ)  ~(Fa&~Ga)  3アRAA
1     (ウ)  ~(Fa&~Ga)  2478イ∨E
    エ (エ)    Fa       A
     オ(オ)       ~Ga   A
    エオ(カ)    Fa&~Ga   エオ&I
1   エオ(キ)  ~(Fa&~Ga)&
            (Fa&~Ga)  イカ&I
1   エ (ク)      ~~Ga   オキRAA
1   エ (ケ)        Ga   クDN
1     (コ)    Fa→ Ga   エケCP
1     (サ) ∀x(Fx→ Gx)  コUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x( Fx→Gx)=すべてのxについて、xがFであるならば、xはGである。
② ∀x(~Fx∨Gx)=すべてのxについて、xはFでないか、Gであるか、FでなくてGである。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
{xの変域(ドメイン)}が、{a、b、c}であるならば、そのときに限って、
② ∀x(~Fx∨Gx)=(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)
である。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① ∀x( Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)
② ∀x(~Fx∨Gx)=(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
「真理表(Truth table)」により、
①(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)=∀x( Fx→Gx)
②(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)=∀x(~Fx∨Gx)
の場合は、
① ~Fa=真(本当)
② ~Fb=真(本当)
③ ~Fc=真(本当)
であるならば、「真(本当)」である。
従って、
(05)により、
(06)
例へば、
① ~Fa=aはフランス人ではない=真(本当)
① ~Fb=bはフランス人ではない=真(本当)
① ~Fc=cはフランス人ではない=真(本当)
であるならば、
① ∀x(Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)
は、「真(本当)」である。
然るに、
(07)
① aはイギリス人である
① bはアメリカ人である
① cはイタリア人である
であるならば、
① ~Fa=aはフランス人ではない=真(本当)
① ~Fb=bはフランス人ではない=真(本当)
① ~Fc=cはフランス人ではない=真(本当)
であるため、
① ∀x(Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)
といふ「仮言命題」は、「真(本当)」である。
従って、
(03)~(07)により、
(08)
{xの変域(ドメイン)}が、{a、b、c}であるとして、
① aはイギリス人であって、フランス人ではない。
① bはアメリカ人であって、フランス人ではない。
① cはイタリア人であって、フランス人ではない。
といふことが、「(本当)」であるならば、
① ∀x(Fx→ Gx)=すべてのフランス人(French)は寛大(Generous)である。
といふ「仮言命題」は、「(本当)」である。
従って、
(08)により、
(09)
フランス人が、一人もゐない。
としても、
① ∀x(Fx→ Gx)=すべてのフランス人(French)は寛大(Generous)である。
といふ「仮言命題」は、「(本当)」である。
従って、
(09)により、
(10)
① 人間が、一人もゐない
としても、
① ∀x(人間x→正直x)=すべての人間は、正直である。
といふ「仮言命題」は、「(本当)」である。
従って、
(10)により、
(11)
要するに「すべて」という語も「人間」といふ語も、「存在する」ということとは無関係である。そこで「すべての人間は正直である」という文の論理的構造をしめす
 「すべてのxについて、もしxが人間ならばxは正直である」
は命題論理の法則の一つである
 (P→Q)=~(P&~Q)
をあてはめれば、
 「すべてのxについて、xが人間であってそして正直でないということではない」ということと等値である(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、122頁)。
といふ、ことになる。
然るに、
(12)
(ⅲ)
1  (1)∃x(Fx→ Gx) A
 2 (2)   Fa→ Ga  A
  3(3)   Fa&~Ga  A
  3(4)   Fa      3&E
  3(5)      ~Ga  3&E
 23(6)       Ga  24MPP
 23(7)   ~Ga&Ga  56&I
 2 (8) ~(Fa&~Ga) 37RAA
 2 (9) ~Fa∨~~Ga  8ド・モルガンの法則
 2 (イ)   ~Fa∨Ga  9DN
 2 (ウ)∃x(~Fx∨Gx) イEI
1  (エ)∃x(~Fx∨Gx) 12ウEE
(ⅳ)
1      (1)∃x(~Fx∨ Gx)  A
 2     (2)   ~Fa∨ Ga   A
  3    (3)    Fa&~Ga   A
  3    (4)    Fa       3&E
  3    (5)       ~Ga   3&E
   6   (6)   ~Fa       A
  36   (7)    Fa&~Fa   46&I
   6   (8)  ~(Fa&~Ga)  37RAA
    9  (9)        Ga   A
  3 9  (ア)    ~Ga&Ga   59&I
    9  (イ)  ~(Fa&~Ga)  3アRAA
 2     (ウ)  ~(Fa&~Ga)  2689イ∨I
     エ (エ)    Fa       A
      オ(オ)       ~Ga   A
 2   エオ(カ)    Fa&~Ga   エオ&I
 2   エオ(キ)  ~(Fa&~Ga)&
             (Fa&~Ga)  ウカ&I
 2   エ (ク)      ~~Ga   オキRAA
 2   エ (ケ)        Ga   クDN
 2     (コ)    Fa→ Ga   エケCP
 2     (サ) ∃x(Fx→ Gx)  コEI
1      (シ) ∃x(Fx→ Gx)  12サEE
従って、
(02)(12)により、
(13)
① ∀x( Fx→Gx)=すべてのxについて、xがFであるならば、xはGである。
② ∀x(~Fx∨Gx)=すべてのxについて、xはFでないか、Gであるか、FでなくてGである。
に於いて、
①=② であったやうに。
③ ∃x( Fx→Gx)=あるxについて、xがFであるならば、xはGである。
④ ∃x(~Fx∨Gx)=あるxについて、xはFでないか、Gであるか、FでなくてGである。
に於いても、
③=④ である。
然るに、
(14)
{xの変域(ドメイン)}が、{a、b、c}であるならば、そのときに限って、
④ ∃x(~Fx∨Gx)=(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
である。
従って、
(13)(14)により、
(15)
③ ∃x( Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
④ ∃x(~Fx∨Gx)=(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(16)
「真理表(Truth table)」により、
③ (~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)=∃x( Fx→Gx)
④ (~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)=∃x(~Fx∨Gx)
の場合は、
③ ~Fa=真(本当)
であれば、それだけで、「真(本当)」であり、
③ ~Fb=真(本当)
であれば、それだけで、「真(本当)」であり、
③ ~Fc=真(本当)
であれば、それだけで、「真(本当)」である。
従って、
(07)(16)により、
(17)
③ ∃x(Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
といふ「命題」は、
③ aがイギリス人である。ならば、「真(本当)」であり、
③ aがイギリス人で、bがアメリカ人である。ならば、「真(本当)」であり、
③ aがイギリス人で、bがアメリカ人で、cがイタリア人である。ならば、「真(本当)」である。
従って、
(09)(17)により、
(18)
① ∀x(Fx→Gx)=すべてのxについて、xがFであるならば、xはGである。
① ∀x(Fx→Gx)=すべてのフランス人(French)は寛大(Generous)である。
といふ「命題」だけでなく、
③ ∃x(Fx→Gx)=あるxについて、xがFであるならば、xはGである。
③ ∃x(Fx→Gx)=フランス人(French)ならば寛大(Generous)である。
といふ「命題」であっても、
③ フランス人が、一人もゐなくとも、「(本当)」である。
従って、
(18)により、
(19)
「すべてのフランス人は寛大である」は一種の条件文として適切に記号化されるので、これに同化(assimilate)してしまって、「幾らかのフランス人は寛大である」を、正しく「∃x(Fx&Gx)」と記号化するかわりに、むしろ「∃x(Fx→Gx)」とするのは、よくある間違い(common mistake)である。しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、それがフランス人であるならば、寛大であるようなあるものが存在することを主張するのであって、これは、かりにフランス人存在しないとしても真であろう。しかし「幾らかのフランス人は寛大である」は決してそうではない(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、123・4頁改)。
といふ、ことになる。
然るに、
(20)
① ∀x(Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)
③ ∃x(Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
に於いて、
① の場合は、例へば
① ~Fa=真(本当) であって、尚且つ、
①  Gb=真(本当) であって、尚且つ、
①  Gc=真(本当) である「場合」等に於いて、「真(本当)」であって、
③ の場合は、
③{~Fa、Ga、~Fb、Gb、~Fc、Gb}の中の、
③{少なくとも、一つ}が「真(本当)」であるならば、それだけで、「真(本当)」である。
従って、
(20)により、
(21)
① ∀x(Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)
③ ∃x(Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
に於いて、
① が「真(本当)」であるならば、
③ は、必ず「真(本当)」であるが、
③ が「真(本当)」であったとしても、
① が「真(本当)」であるとは、限らない。
従って、
(21)により、
(22)
① ∀x(Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)&(~Fb∨Gb)&(~Fc∨Gc)
③ ∃x(Fx→Gx)=(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
に於いては、
① ならば、③ であるが、
③ ならば、① ではない
然るに、
(23)
(ⅰ)
1(1)∀x(Fx→Gx) A
1(2)   Fa→Ga  1UE
1(3)∃x(Fx→Gx) 1EI
(ⅲ)
1 (1)∃x(Fx→Gx) A
 2(2)   F→G  A
 2(3)∀x(F→G) 2UI
は、「UI(普遍量記号導入の規則)」に対する、「違反」である。
従って、
(22)(23)により、
(24)
言ふまでもなく、「述語計算(Predicate calculation)」を行った「結果」も、
① ∀x(Fx→Gx)=すべてのフランス人(French)は、寛大(Generous)である。
③ ∃x(Fx→Gx)=フランス人(French)であるならば寛大(Generous)である。
に於いては、
① ならば、③ であるが、
③ ならば、① ではない