日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(235)∃x(Fx→Gx)は、よくある「マチガイ」である(Ⅲ)。

2019-05-24 11:57:32 | 論理

―「昨日の記事(234)」を「別の角度」から、説明します。―
(01)
(ⅰ)P→Q├ ~P∨Q
    1 (1)  P→ Q A
     2(2)  P&~Q A
     2(3)  P    2&E
     2(4)    ~Q 2&E
    12(5)     Q 13MPP
    12(6)  ~Q&Q 45&I
    1 (7)   ~~Q 46RAA
    1 (8)     Q 7DN
    1 (9)  ~P∨Q 8∨I
(ⅱ)~P∨Q├ P→Q
1     (1) ~P∨ Q   A
 2    (2)  P&~Q   A
  3   (3) ~P      A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5) ~P& P   34&I
  3   (6)~(P&~Q)  25RAA
   7  (7)     Q   A
 2    (8)    ~Q   2&E
 2 7  (9)  Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~Q   A
    ウエ(オ)  P&~Q   エオ&I
1   ウエ(カ)~(P&~Q)&
          (P&~Q)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~Q   エカRAA
1   ウ (ク)     Q   キDN
1     (ケ)  P→ Q   ウクCP
従って、
(01)により、
(02)
①  P→Q=PならばQである。
② ~P∨Q=Pでないか、Qである。
に於いて、
①=② である。
ものの、この「等式」を、「含意の定義(Ⅰ)」とにする。
然るに、
(03)
(ⅱ)~P∨Q├ ~(P&~Q)
1   (1) ~P∨ Q  A
 2  (2)  P&~Q  A
  3 (3) ~P     A
 2  (4)  P     2&E
 23 (5) ~P& P  34&I
  3 (6)~(P&~Q) 25RAA
   7(7)     Q  A
  2 (8)    ~Q  2&E
  27(9)  Q&~Q  78&I
   7(ア)~(P&~Q) 29RAA
1   (イ)~(P&~Q) 1367ア∨E
(ⅲ)~(P&~Q)├ ~P∨Q
1   (1) ~( P&~Q)  A
 2  (2) ~(~P∨ Q)  A
  3 (3)   ~P      A
  3 (4)   ~P∨ Q   3∨I
 23 (5) ~(~P∨ Q)&
         (~P∨ Q)  24&I
 2  (6)  ~~P      35RAA
 2  (7)    P      6DN
   8(8)       Q   A
   8(9)   ~P∨ Q   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨ Q)&
         (~P∨ Q)  29&I
 2  (イ)      ~Q   8アRAA
 2  (ウ)    P&~Q   7イ&I
12  (エ) ~( P&~Q)&
         ( P&~Q)  1ウ&I
1   (オ)~~(~P∨ Q)  2エRAA
1   (カ)   ~P∨ Q   オDN
cf.
ド・モルガンの法則。
従って、
(03)により、
(04)
②    ~P∨ Q =Pでないか、Qである。
③ ~(P&~Q)=Pであって、Qでない。といふことはない。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
①   P→ Q =PならばQである。
②  ~P∨ Q =Pでないか、Qである。
③ ~(P&~Q)=Pであって、Qでない。といふことはない。
に於いて、
①=② であって、
②=③ である。
従って、
(05)により、
(06)
①   P→ Q =PならばQである。
③ ~(P&~Q)=Pであって、Qでない。といふことはない。
に於いて、
①=③ である。
ものの、この「等式」を、「含意の定義(Ⅱ)」とにする。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1 (1) ∃x(Fx→Gx) A
 2(2)    Fa→Ga  A
 2(3)   ~Fa∨Ga  2含意の定義(Ⅰ)
 2(4)∃x(~Fa∨Ga) 3EI
1 (5)∃x(~Fx∨Gx) 124EE
(ⅱ)
1 (1)∃x(~Fx∨Gx) A
 2(2)   ~Fa∨Ga  A
 2(3)    Fa→Ga  2含意の定義(Ⅰ)
 2(4) ∃x(Fx→Gx) 2EI
1 (5) ∃x(Fx→Gx) 124EE
従って、
(07)により、
(08)
① ∃x( Fx→Gx)
② ∃x(~Fx∨Gx)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(09)
(ⅱ)
1 (1) ∃x(Fx→ Gx) A
 2(2)    Fa→ Ga  A
 2(3)  ~(Fa&~Ga) 2含意の定義(Ⅱ)
 2(4)∃x~(Fx&~Gx) 3EI
1 (5)∃x~(Fx&~Gx) 124EE
(ⅲ)
1 (1)∃x~(Fx&~Gx) A
 2(2)  ~(Fa&~Ga) A
 2(3)    Fa→Ga   2含意の定義(Ⅱ)
 2(4) ∃x(Fx→Gx)  2EI
1 (5) ∃x(Fx→Gx)  124EE
従って、
(09)により、
(10)
① ∃x (Fx→ Gx)
③ ∃x~(Fx&~Gx)
に於いて、
①=③ である。
従って、
(08)(10)により、
(11)
①  ∃x( Fx→Gx)
②  ∃x(~Fx∨Gx)
③ ∃x~(Fx&~Gx)
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(12)
{xの変域(ドメイン)}が、{a、b、c}であるならば、そのときに限って、
② ∃x(~Fx∨Gx)=(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)={~Fa∨Ga∨~Fb∨Gb∨~Fc∨Gc}
である。
cf.
「結合法則」。
然るに、
(13)
「量化子の関係」により、
③ ∃x~(Fx&~Gx)
④ ~∀x(Fx&~Gx)
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(14)
{xの変域(ドメイン)}が、{a、b、c}であるならば、そのときに限って、
③ ∃x~(Fx&~Gx)=
④ ~∀x(Fx&~Gx)=
④ ~{(Fa&~Ga)&(Fb&~Gb)&(Fc&~Gc)}=
④ ~(Fa&~Ga)∨~(Fb&~Gb)∨~(Fc&~Gc)=
④ (~Fa∨~~Ga)∨(~Fb∨~~Gb)∨(~Fc∨~~Gc)=
④ (~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)={~Fa∨Ga∨~Fb∨Gb∨~Fc∨Gc}
cf.
「ド・モルガンの法則、二重否定、結合法則」。
従って、
(11)~(14)により、
(15)
{xの変域(ドメイン)}が、{a、b、c}であるならば、そのときに限って、
①  ∃x( Fx→Gx)={~Fa∨Ga∨~Fb∨Gb∨~Fc∨Gc}
②  ∃x(~Fx∨Gx)={~Fa∨Ga∨~Fb∨Gb∨~Fc∨Gc}
③ ~∀x(Fx&~Gx)={~Fa∨Ga∨~Fb∨Gb∨~Fc∨Gc}
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(16)
①  ∃x( Fx→Gx)={~Fa∨Ga∨~Fb∨Gb∨~Fc∨Gc}
②  ∃x(~Fx∨Gx)={~Fa∨Ga∨~Fb∨Gb∨~Fc∨Gc}
③ ~∀x(Fx&~Gx)={~Fa∨Ga∨~Fb∨Gb∨~Fc∨Gc}
の「右辺」に於いて、
~Fx=xはフランス人ではない。
といふ「代入」を行ふと、
①  ∃x( Fx→Gx)={aはフランス人ではない。∨Ga∨bはフランス人ではない。∨Gb∨cはフランス人ではない。∨Gc}
②  ∃x(~Fx∨Gx)={aはフランス人ではない。∨Ga∨bはフランス人ではない。∨Gb∨cはフランス人ではない。∨Gc}
③ ~∀x(Fx&~Gx)={aはフランス人ではない。∨Ga∨bはフランス人ではない。∨Gb∨cはフランス人ではない。∨Gc}
然るに、
(17)
① aがイギリス人である。ならば、aはフランス人ではない
① bがアメリカ人である。ならば、bはフランス人ではない
① cがイタリア人である。ならば、cはフランス人ではない
従って、
(16)(17)により、
(18)
①  ∃x( Fx→Gx)={aはイギリス人である。∨Ga∨ bはアメリカ人である。∨Gb∨ cイタリア人である。∨Gc}
②  ∃x(~Fx∨Gx)={aはイギリス人である。∨Ga∨ bはアメリカ人である。∨Gb∨ cイタリア人である。∨Gc}
③ ~∀x(Fx&~Gx)={aはイギリス人である。∨Ga∨ bはアメリカ人である。∨Gb∨ cイタリア人である。∨Gc}
であったとしても、「真理値(本当かウソ)」は、「同じ」である。
然るに、
(19)
「交換法則」と「結合法則」により、
①  ∃x( Fx→Gx)=(aはイギリス人である。∨ bはアメリカ人である。∨ cイタリア人である。)∨(Ga∨Gb∨Gc)
②  ∃x(~Fx∨Gx)=(aはイギリス人である。∨ bはアメリカ人である。∨ cイタリア人である。)∨(Ga∨Gb∨Gc)
③ ~∀x(Fx&~Gx)=(aはイギリス人である。∨ bはアメリカ人である。∨ cイタリア人である。)∨(Ga∨Gb∨Gc)
然るに、
(20)
「∨」は、日本語で言へば、「」である。
従って、
(19)(20)により、
(21)
①  ∃x( Fx→Gx)=(aはイギリス人である。∨ bはアメリカ人である。∨ cイタリア人である。)∨(Ga∨Gb∨Gc)
②  ∃x(~Fx∨Gx)=(aはイギリス人である。∨ bはアメリカ人である。∨ cイタリア人である。)∨(Ga∨Gb∨Gc)
③ ~∀x(Fx&~Gx)=(aはイギリス人である。∨ bはアメリカ人である。∨ cイタリア人である。)∨(Ga∨Gb∨Gc)
といふ「命題」は、
①  ∃x( Fx→Gx)=(aはイギリス人である。か、bはアメリカ人である。か、cイタリア人である。)か、(Gaか、Gbか、Gc)
②  ∃x(~Fx∨Gx)=(aはイギリス人である。か、bはアメリカ人である。か、cイタリア人である。)か、(Gaか、Gbか、Gc)
③ ~∀x(Fx&~Gx)=(aはイギリス人である。か、bはアメリカ人である。か、cイタリア人である。)か、(Gaか、Gbか、Gc)
といふ「意味」である。
従って、
(21)により、
(22)
①  ∃x( Fx→Gx)=(aはイギリス人である。か、bはアメリカ人である。か、cイタリア人である。)か、(Gaか、Gbか、Gc)
②  ∃x(~Fx∨Gx)=(aはイギリス人である。か、bはアメリカ人である。か、cイタリア人である。)か、(Gaか、Gbか、Gc)
③ ~∀x(Fx&~Gx)=(aはイギリス人である。か、bはアメリカ人である。か、cイタリア人である。)か、(Gaか、Gbか、Gc)
といふ「命題」は、
① aがイギリス人である。ならば、「(本当)」であり、
① aがイギリス人で、bがアメリカ人である。ならば、「(本当)」であり、
① aがイギリス人で、bがアメリカ人で、cがイタリア人である。ならば、「(本当)」である。
従って、
(22)により、
(23)
① ∃x(Fx→Gx)=
① あるxが、フランス人であるならば、そのxはGである=
①(aはイギリス人である。か、bはアメリカ人である。か、cイタリア人である。)か、(Gaか、Gbか、Gc)。
といふ「仮言命題」は、
フランス人が、一人もゐない
としても、「本当(真)」である。
然るに、
(24)
④ ∃x(Fx&Gx)=あるxはフランス人であって、尚且つ、xは寛大である。
といふ「連言命題」は、
④ フランス人であって、寛大なxが、少なくとも、一人はゐる
といふ「意味」である。
従って、
(25)
④「フランス人が一人もゐない。」のであれば、
④ ∃x(Fx&Gx)=あるxはフランス人であって、尚且つ、xは寛大である。
といふ「論理式」は、「(ウソ)」である。
従って、
(26)
① ∃x(Fx→Gx)=あるxがフランス人であるならば、xは寛大である。
④ ∃x(Fx&Gx)=あるxはフランス人であって、尚且つ、xは寛大である。
に於いて。
① であれば、「フランス人が一人もゐない。」としても、「真(本当)」である。
④ であれば、「フランス人が一人もゐない。」としたら、「偽(ウソ)」である。
然るに、
(27)
④ 幾人かのフランス人は寛大である(Some French are generous)。
といふのであれば、「フランス人が一人もゐない。」としたら、「偽(ウソ)」である。
従って、
(26)(27)により、
(28)
④ Some French are generous(幾人かのフランス人は寛大である)。
といふ「英語(日本語)」を、
① ∃x(フランス人x→寛大x)=あるxがフランス人であるならば、そのxは寛大である。
といふ風に、「翻訳」することは、出来ない
従って、
(01)~(28)により、
(29)
「すべてのフランス人は寛大である」は一種の条件文として適切に記号化されるので、これに同化(assimilate)してしまって、「幾らかのフランス人は寛大である」を、正しく「∃x(Fx&Gx)」と記号化するかわりに、むしろ「∃x(Fx→Gx)」とするのは、よくある間違い(common mistake)である。しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、それがフランス人であるならば、寛大であるようなあるものが存在することを主張するのであって、これは、かりにフランス人存在しないとしても真であろう。しかし「幾らかのフランス人は寛大である」は決してそうではない(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、123・4頁改)。
といふ、ことになる。