杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・沖縄でまた少女が被害に~慰安婦問題と変わらない痛み

2008-02-12 05:12:38 | Weblog
これまでの何度か記事にしてきたとおり、日本軍が戦時中に、外国で性奴隷として14,15才くらいの少女を拉致、監禁、強姦をしてきたこと、そして、その被害を受けた女性に残した傷跡は、計り知れないものでした。
沖縄では米兵が日本の少女に性的な被害を与えたという事件を聞くたびに、何度も聞き知ったその被害と同じような痛みを少女が感じ、その家族がやり場のない怒りと、情報伝達の早さの中で身の置き場のない境遇に立たされているのかと思うと耐えられません。
ニュースで、地元の方が「私たちは我慢に我慢を重ねてきた、これ以上我慢しろというのか」と憤りをぶつけられていましたが、この言葉は、直接の被害者やその家族にとどまらず、沖縄の方たちが、常に被害の恐怖にさらされているという、まさに占領軍に乗っ取られたような状況を日本が沖縄に強いているということではないでしょうか。

このことを自分の生活圏に起こったこととして考えてみなければ、自分子どもがいつ何時そんな目に合うかわからないと考えてみなければ、この問題を知ったことにはならないのではないでしょうか。

朝日新聞から
<女子中学生に暴行の疑い 米海兵隊員を逮捕 沖縄県警>
2008年02月11日11時59分

 沖縄県警は11日、女子中学生に乱暴をしたとして、在沖米海兵隊の二等軍曹タイロン・ルーサー・ハドナット容疑者(38)を婦女暴行の疑いで緊急逮捕した。調べに対し、同容疑者は「車内で抱きついただけだ」と話しているという。

 調べでは、ハドナット容疑者は10日午後10時35分ごろ、同県北谷町北前1丁目の路上に止めた車内で、同県内に住む中学3年の女子生徒(14)に暴行をした疑い。

 ハドナット容疑者は同日午後8時半ごろ、同県沖縄市で友達2人といた女子生徒に「自宅へ送ってあげる」と声をかけ、バイクで同県北中城村島袋にある同容疑者の自宅に連れて行った。その後、自分の車に乗せて、北谷町に移動。路上に止めた車内で暴行したという。

 心配した友達が午後10時前、女子生徒の携帯に電話をかけたところ、「助けて」と話したため、県警に通報。同10時45分ごろ、女子生徒から友達の母親に「今、逃げてきた」と連絡があり、県警が北谷町北前1丁目で女子中学生を保護した。女子中学生が車の特徴などを覚えていたことから、ハドナット容疑者を割り出した。

 沖縄県の仲井真弘多知事は11日午前、報道陣に対し「女性の人権を蹂躙(じゅうりん)する重大な犯罪であり、特に被害者が中学生であることを考えれば、決して許すことはできず、強い憤りを覚える」とのコメントを読み上げたうえで、「あってはならんことが、またか、という感じ。極めて遺憾だ」と述べた。

 県は午後、在沖米総領事に対し抗議。12日には在沖米軍や沖縄防衛局、外務省沖縄事務所などに再発防止を申し入れる予定だ。

<外務省、米側に再発防止を申し入れ 沖縄の女子暴行事件>
2008年02月11日15時12分

 沖縄県の女子中学生に乱暴をしたとして在沖米海兵隊員が婦女暴行の疑いで逮捕された事件で、外務省の西宮伸一北米局長は11日午前、ドノバン在日米国大使館次席公使に、「米軍人の犯行とすれば極めて遺憾」とし、綱紀粛正、再発防止の徹底を申し入れた。これに対しドノバン次席公使は、「事実関係の調査を見守るが、米側としても事態を深刻にとらえており、日本側の捜査に全面的に協力していく」と答えたという。

 今井正沖縄担当大使は11日午後、ジルマー在日海兵隊基地司令官に遺憾の意などを伝え、ジルマー司令官は捜査への協力や綱紀粛正を徹底すると回答したという。申し入れはいずれも電話で行った。


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18 コメント

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二次被害のないように (ken)
2008-02-12 21:14:00
 こういう事件が起こると、まず心配になるのが被害者の二次被害です。心ない人が被害者の方を攻撃したりすることがありがちなので。
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被害者の痛み (杉浦ひとみ)
2008-02-12 21:50:56
kenさんのおっしゃるとおり、二次被害は絶対に避けたいですね。まだ14才の少女です、この先どのような精神的影響がでるかも心配です。
温かく見守ってあげてほしいですね。
心の傷は、その後の対応でよくも悪くもなってしまいます。
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見えなくさせているものは? (みず)
2008-02-13 04:47:35
サンケイ(2月12日)に下記のような客員編集委員の記事が掲載されていました。

日米安全保障協議委員会に設置されたSACO(特別行動委員会)が普天間の全面返還、ヘリポート移設を打ち出してから、もう10年が過ぎた。名護市のキャンプ・シュワブへの移設で日米合意が交わされているが、地元の調整は一向に進まない。

 それにしても、一部メディアのヒステリックな伝え方はいったいどう理解したらいいのか。事件は事件、安保は安保、と冷静に切り離し、日米同盟の死活的な重要さに思いをはせてこそジャーナリズムだ。

 「住民自決は軍命令」と信じて疑わない体質と共通する情緒的反応の弊害を、そこに指摘しないわけにはいかない。

 「知らない人についていってはダメ」。筆者などの世代は子どものころ、親から口うるさく言われたものだ。

 米軍基地が集結する沖縄である。夜の繁華街で米兵から声をかけられ、バイクに乗ってしまう無防備さ。この基本的な「しつけ」が徹底していなかったことは無念、という以外にない。(客員編集委員 花岡信昭)

この筆者は今回の事件の責任を親と少女に向けています。 「事件」と「安保」がつながっていることを見えなくさせているものは、何なのでしょうか? この人が住んでいるところに「米軍基地」を置かせなくてもよくしているものはなんなのでしょうか?
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みずさん、ありがとうござます (杉浦ひとみ)
2008-02-13 22:50:54
興味深い記事ですね。
このように書かれたときに、それもそうだな、と思う人もたくさんいるように思います。
この記事に対して、この視点はここがおかしいと、わかりやすく反論できる力を持つことと、そのようにすぐに実行することが必要ですね。
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軍事力信仰の根強さ (モグ)
2008-02-14 10:44:35
産経新聞や読売新聞の論調のベースには、軍事力が自衛に役に立つという「信仰」があるのだと思います。9・11事件やイラク戦争をよく観れば、軍事力が自衛に役に立たないことがわかるのに、その「信仰」が冷静な観察や判断をさまたげているのでしょう。その論調に影響されて、同じ「信仰」を無意識のうちにも持っている人々が多いのです。そのような人々にとって、軍事基地は「聖域」であり、それを守るためには、被害者の女子中学生やその親に原因があるという、サンケイの客員編集員・花岡信昭氏のような論が出てくるのだと思います。ベースになっている「信仰」に根拠が無いということに、多くの人々が早く気がつくように努力する必要があると思います。ただし、軍事力信仰はものすごい根強さを持っていますから、この努力は容易ではありませんよ。
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不思議に思うこと (志村建世)
2008-02-14 17:11:36
今回の事件で、基地の存在そのものに反対する意見がどこからも出てこないのが不思議です。もう完全にあきらめたのでしょうか。米軍が紳士的にさえしてくれれば、永久に基地があるのが当然ですか。まさかとは思いますが。
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心配したとおりに (ken)
2008-02-14 20:34:49
 やっぱり、残念な動きが始まってしまいました。
 被害者の少女は、基地反対運動に関わりがあるわけでもないし、特別なことがあるとはとうてい思えない。攻撃されるいわれなんか全くありません。
 レイプは加害者が悪いのです。無防備だったとしても、悪いことではないし、非難されるいわれはない。被害者を攻撃する人たちはどういうつもりなのでしょうか。犯罪者の肩を持つこうした発言が、犯罪者を助長するのでしょう。犯罪者を応援する発言です。
 攻撃する人たちは、基地賛成の人たちなんでしょうが、自分の主張のために、罪のない被害者を攻撃するのはやめてもらいたいです。
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こちらの被害者には? (宇宙戦士バルディオス)
2008-02-14 21:13:12
 素朴な疑問ですが、外国人の犯罪でも、米軍人によるただそれだけで、何故特出で取り上げられるのでしょうか?
 外国人による刑事事件は、米軍人だけが犯すものではありません。私は人並にTVも新聞もチェックしますが、中国人等外国人による犯罪はしょっちゅう見聞します。つい最近も、中国人による警視庁警官に対する残虐な両足切断の殺人未遂事件が発生しました。(御存じないなら、これを機会に知って取り上げて下さい。)
http://homepage2.nifty.com/shukenkaifuku/KoudouKatudou/2008/080107.html
 よもや、性犯罪には痛みがあるが、両足切断には痛みがないとはおっしゃらないでしょう。米国人で軍人が行った犯罪は重大だが、中国人で一般人なら軽いというものではないはずです。
 外国人犯罪の中でも、米軍人のそれだけ取り上げて問題にされる理由は、どこにあるのでしょうか?

 なお、2004年の数字ですが、外国人犯罪の総検挙数は8898人で、米軍人の占める割合が圧倒的少数派であることは間違いないでしょう。その半分(48%)は中国人であって、どちらが日本人の安全にとって問題であるかは言うまでもありません。(だから、米兵に犯罪をやらせて良いとは言いませんが)
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今回は女性の敵認定かしら (鉄甲機)
2008-02-14 22:40:20
一部切り取りだけでは花岡氏にフェアじゃないので付け足します。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080212/plc0802122007008-n1.htm
【政論探求】「反基地」勢力が叫ぶいかがわしさ (1/2ページ)2008.2.12 20:06

 また、なんともやりきれない事件が起きた。沖縄の駐留米兵による少女暴行事件だ。

 関係当局は事件を徹底的に調べ、糾弾すべきは糾弾してほしい。当然ながら、この米兵は厳罰に処せられるだろう。中学3年生、14歳の少女に一生背負わなくてはならないキズを負わせたのだから、これは償いようがない。

 以上のことを踏まえたうえで、あえて書かなくてはならない。平成7年の少女暴行事件の再来として、現地では受け取られている。それは感情論としては分かるのだが、「反米」「反基地」勢力が気勢をあげているのは、なんともいかがわしさがにおう。

 この事件を政治闘争の具にするというのでは、被害少女への思いやりを欠くというものだ。こういう事件を前にしては、人間の尊厳に対してどこまでも誠実でありたい。

 「米軍は出ていけ」と声高に叫ぶのは言論の自由なのだろうが、そこには責任も伴わなくてはいけない。日本の安全保障は米国の「核の傘」が基本であることはいうまでもない。米軍撤退を主張するのなら、独自核武装論が付随しないと日本をめぐる安保環境は激変してしまう。

 パワーバランスの空白を招いたら、東アジアの軍事情勢は一気に緊迫する。ほくそ笑むのは誰か。そこを抜きにして、厳粛かつ現実的な安全保障政策は語れない。

 そういってはなんだが、これでまた、普天間飛行場の移設問題で、地元の首長や議員たちが日和見を決め込む理由ができた。基地との共存共栄以外に沖縄がたどるべき道はない。そのことを百も承知していながら、彼らはからだを張ってこなかった。
(引用終わり。みず氏のコメント欄に続きます。)

 花岡氏は事件の責任は米兵にあると言っているようですね。後半のしつけ云々は事件のやりきれなさが吐かせたボヤキと思いました。
 この事件についての私の第一印象も「なぜバイクに乗る?学校で何を教わっていたの?」でした。就学前の子どもでもなければ、車に引きずり込まれたわけでもない。ただ彼女がバイクに乗らなければ、被害者も容疑者も平穏な一日が送れていたでしょう。
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それは間違い (宇宙戦士バルディオス)
2008-02-15 21:32:48
>軍事力が自衛に役に立つという「信仰」があるのだと思います。9・11事件やイラク戦争をよく観れば、軍事力が自衛に役に立たないことがわかるのに

 自衛力と日米安保に戦後60年の平和を守ってきた実績がある前で、「信仰」と言い切れる理由は何なのでしょうか?信仰ではなく、現実なのです。大部分の日本国民は、それを十分知っています。
 イラクの自由作戦はともかく、不朽の自由作戦は、米国本土に対する第2第3の大規模テロを発生させていないという点で、これも軍事力が役に立っているという「現実」です。現地軍が苦戦しているからといって、作戦目的は決して達成されていないわけじゃない。

>基地の存在そのものに反対する意見がどこからも出てこないのが不思議です。

 沖縄では、米軍基地が県内で3本の指に入る大雇用主で、基地従業員は沖縄県民にとって最も人気のある職業の一つですから、別に不思議ではありません。基地が良いの悪いのという以前に、それが現実なのです。資源のない島が食っていくには、基地と観光しかないのは、世界的に見ても普遍的な常識です。ハワイやグアムも、観光と軍の島です。
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