杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・普天間問題を学んで「訴え」(仮案)

2010-05-12 19:42:15 | Weblog
5月7日に、平山基生さん(「草の根運動」)のところで、普天間問題を学ぶ会があるということで、ブログにも書きましたが、行ってきました。
知らないことだらけでした。現地は、こんなことになっているなんて。



また、そのときに集った方は、普天間基地の問題を学ぼうと、有志で米軍基地のある宜野湾市と市長を訪れ、貴重なお話と写真や大量の資料を持ち帰ってこられていました。
情報は、その資料と客観的な根拠あるものだけを拾いました。

 
そして、私たちは緊急に学習する中で、その学んだことを生かすべきと衆議一決し、皆さまに広く知らせたいとお互いに気づき、ここに「普天間基地から呼びかける」文を発表することになりました。

わかりやすいかわかりにくいか。理屈が通っているか通っていないか。
そんな視点で見ていただけたらと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

市民が、普天間基地問題から呼びかける
    「米軍基地は日本にいらない!」

1 基地は危険です!!!
  普天間飛行場は周囲に約121の学校、病院住宅、公共施設などがあり、9万人の人々が居住しています。その上空を米軍ヘリなどが昼夜を問わず離発着し、轟音をまき散らしています。本土復帰1972年から、普天間飛行場所属機による事故は87回は発生しています。2004年8月13日に起きた沖縄国際大学へのヘリ墜落は起こるべくして起きた事故です。

2 米国内での安全基準が普天間基地では適用されていません
  米国内では航空基地を対象に,滑走路の端から4500mは住宅、学校、病院などがあっってはならないという安全基準(米国連邦航空規制)がありますが、普天間飛行場では守られておらず,クリアーゾーン・APZゾーンと呼ばれるその規制区域に小学校や文化施設などが多数存在しています。アメリカ基準で許されない危険な滑走路を普天間基地で使っているのは、日本国民の生命・身体や生活の安全を軽んじている現れです。これに対する日本政府の黙認は違法です。

3 普天間基地は日米合意違反の存在!
  1996年に普天間基地は少なくとも7年後には全面返還されることが日米両政府で合意されていました(SACO)。この合意がいまだに実現していません。基地のある宜野湾市民は,その跡地の平和的な利用計画 を何度も立てていました。これは幸福追求の期待を踏みにじっています。

4 そもそも国際法に違反して作った基地!!!
  1945年10月、各地の収容所に収用されていた住民たちに「帰村」が許可され、宜野湾出身の人々も宜野湾にもどってきたのですが、既に、米軍は占領と同時に軍事基地を建設していました。
 この基地は、そもそも1899年のハーグ陸戦条約(第46条[私権の尊重]私有財産はこれを没収する事を得ず)に違反して作られた基地です。

5 環境破壊・歴史破壊のうえに作った基地!
 日米政府は、基地の施設および区域においても環境保護の重要性を認識するという「環境原則に関する共同発表」を取り交わしてり、これは、基地にも適用があると謳われています。
しかし、普天間基地の敷地の下に貝塚時代からグスク時代の米軍はそれらの上を何らの措置も取らずに造成し、普天間基地建設を実施しました。また、動植物の絶滅危惧種の調査も基地については出来ません。

6 米兵による小学生女児強姦事件など基地に伴う犯罪被害!!!!!
  米兵による性犯罪事件、業務上過失致死・ひき逃げ事件のようなひどい事件が、基地があるゆえに起こり、治外法権的な刑事手続がとられることと相まって、沖縄市民の犯罪被害が後を絶ちません。

7 アメリカ軍の駐留は憲法違反?!!
  アメリカ軍の駐留について判断をしたいわゆる伊達判決は「わが国内に駐留する合衆国軍隊は憲法上その存在を許すべからざるものといわざるを得ない」と判断しました。その後、伊達判決を覆すために,米大使が日本の当時の最高裁長官に秘密裏に圧力をかけたことは最近明かになり、日本の司法の権威を失墜させました。

8 米軍基地の存在が抑止力??? イラク出兵など戦争だ!!!!!
  そもそも、何に対する抑止力をいうのかが不明です。
  中国は、相互依存関係にある日米中関係の中で、日本に対して攻撃してくる可能性はありません。日本と中国の貿易量は、日本と米国のそれを上回っています。
  北朝鮮には、日本を攻撃してくるだけの経済力も合理的なメリットもありません。
  普天間基地などからの、イラク、アフガン、湾岸、ベトナム、朝鮮などへ、米軍が沖日米軍基地から派遣されたことは、戦争の「抑止」どころか戦争そのものであったし今もそうであることを示しています。

9 北朝鮮の脅威はむしろアメリカが誘発?!!
北朝鮮の核武装などは、アメリカの沖縄基地が置かれた後に生じてきたものであり、時間の経過をたどれば、北朝鮮の脅威はむしろアメリカの「北朝鮮敵対政策」が誘発したものといえます。

10 基地存続のメリットはアメリカの経済的理由だった
アメリカが日本に基地を置くことの意味がどこにあるかを考えたときに、アメリカ自身の経済的な理由が大きいことに目を向けなければならないでしょう。
日本は他国と比べても突出した駐留費用をアメリカに対して負担しています。

11 アメリカに従うこと=国際的信頼 ではない!!
国際社会からの信頼と尊敬は、日本が毅然と憲法を守ることで得られるのであって、アメリカに対して従順であることによって得られるものではありません。

12 今、沖縄県民に学び、超党派で結集することの重要性
沖縄県民の闘いは、超党派の運動となったことにその最大の強さがあります。
本土でも、沖縄県民に学び、普天間基地無条件閉鎖・返還・撤去の一点で一致した諸政党・団体が超党派で結集する事が必要です。

13 国際的な運動と連帯することの重要性
多くの市民とともに,今この問題を推し進めるには、本土と沖縄が一体になって闘うことはもちろん、米国内の運動を含め、国際的な運動と連帯して闘うことが重要です。


2010年5月7日 

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11 コメント

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普天間基地問題 (isao-pw大城 勲)
2010-05-12 23:08:25
普天間基地問題の本質は戦後65年にも及ぶ自民党政権の対米従属外交が沖縄への米軍基地集中と治外法権的米軍優先、基地施設区域の無期限自由使用を容認し沖縄県民の基本的人権を否定して来た事にある。日本国憲法、日米安保条約、地位協定の矛盾点、致命的欠陥を放置し沖縄県民の犠牲の上で経済的発展、歪んだ日米関係の下での利権構造維持を計って来た政官業癒着の結果である。

鳩山政権は昨年9月の政権交代後も自民党長期独裁政権で実質的な官僚統治機構を構築し国民に選ばれた政治家の権限を制約して官僚の既得権限を維持しようとする各省庁の人事刷新に切り込まず(内部で社長と呼ばれる)事務次官支配を容認した事で経験の浅い閣僚、政務三役は政治主導を掲げながら官僚の提示する誤った情報に翻弄されて実質的な主導権を失っている。

鳩山総理がここで乾坤一擲の勝負に出て対等な日米関係を前提に米軍基地施設区域の無期限自由使用に終止符を打ち、辺野古移設を使用期限付きの暫定基地と位置付け将来的な海兵隊及び陸軍グリーンベレーを含む米軍地上部隊の全面撤退と訓練施設の返還で米国と合意出来るならば最低でも県外との公約は実現可能である。
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大城さんありがとうございます ()
2010-05-13 06:43:30
普天間問題の本質、政権の現状などのコメントをありがとうございます。事務次官を内部で「社長」と呼ぶということなど(真偽について検証していませんが)、実態を反映したわかりやすい現象なのですね。
鳩山政権は、でもここまでのらりくらりと悪い結論を出さずに来たことには「まだいい」と感じています(寛容な一国民です)。

心ある自民党の議員が(いるなら)、50年余担ってきた政権の実績から、なぜこの選挙前にもう少し存在意義を示さないのかと思います。
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よくできてます (志村建世)
2010-05-13 18:44:02
よく整理され、わかりやすく書かれていると思います。そもそもハーグ条約に違反していることまで、よく書いて下さいました。私は戦後すぐにこの条約の存在を知り、感激したことを覚えています。
 この「訴え」を公表する場合は、ぜひ賛同人に加わりたいと思います。
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これに尽きますね (多摩)
2010-05-14 00:25:03
もうひとつ付け加えるなら、高江のヘリパッドの新設問題ぐらいですね。
アフガン、イラクで新たな敵を生産し続けてるアメリカの行為が平和を脅かしている事を見て見ないふりをして、中国と北朝鮮からの安全だけが問題とする考え方の持ち主はどこをどう否定するのか、極めて興味深いですね。
さあ、揚げ足取りの方々の出番を待ちますか。(笑)
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ご意見ありがとうございます ()
2010-05-14 01:12:51
志村さん、多摩さんありがとうございます。
ニュースでは何度も耳にタコができていた「普天間基地」を具体的にわかりやすく知りたかったので、いい学習会参加できました。その場で一気にまとめたのが良かったです。

志村さん、多摩さん、ぜひ賛同人になって下さい。

http://www.kusanone.org/modules/wordpress/index.php?p=543
上記は平山基生さんが運営委員長をされている
ブログです。
ここで、賛同者を募っています。
ぜひ、訪ねてみてください。

(評判良くて、よかったッ!)
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Unknown (多摩)
2010-05-16 01:48:58
今日は飲み仲間の人から面白い話しを聞かせて貰いました。
日米安保の中に日本を守ると言う事はどこにもないのだそうです。アメリカの憲法に従うとあって、アメリカ憲法にも日本を守ると解釈できる文はないのだそうです。
その人の言い方だと、こんなインチキ、誰が信じてるんやろ?でした。
平山さんのサイトもお気に入りにいれます。
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呼ばれた気がした。(笑 (鉄甲機)
2010-05-16 12:45:40
足を揚げてる自覚はあったんですね。それは良かった。では遠慮なく。(笑

>市民が、普天間基地問題から呼びかける「米軍基地は日本にいらない!」

 1・2・5・6・10については、自民党政府・官僚の事なかれ主義、これにつきます。70年安保・沖縄返還の時期ならいざ知らず、80年代以降はアメリカに堂々と改善を要求できたはず。
 但しそれは、日本がアメリカと対等の同盟相手であるという自覚と責任を持った上での話。
 野党は(与党にとっては)非現実的な理想論を振りかざし、与党は「外交・安保は票にならない」とばかりに国民への説明責任を果たさない。国民は世界の情勢にも自らの安全にも沖縄の負担にも無関心のままだったのが現状。

3。アメリカが傲慢だったとか、日本政府が無関心だったとかの話じゃありません。日本の内政問題として、当事者同士の話し合いをすればどうしても時間はかかります。

4。最初はハーグ条約違反だったんでしょうが、以後の条約で追認しています。それを言うなら、そもそも日本国憲法もハーグ条約違反と言えるわけで。

7。「圧力」があったとしても、圧力に屈したとは限りません。その「圧力をかけられた」最高裁長官田中耕太郎氏は、戦前戦後一貫して反共主義者でありました。アメリカ軍駐留と日本国憲法との関係を考えれば、普通に伊達判決破棄・差し戻しが出る可能性があります。

8。「何に対する抑止力をいうのかが不明です。」と言い出す時点で思考停止が窺われます。
 相互依存関係どころか、一方的に依存している相手に戦争おっ始めた大日本帝国という国がありました。面子を重んじる傾向に加えて、文民統制が成立せず軍部の独走を許すところなんか、今の中国・北朝鮮にそっくりですね。
 中東方面への米軍出兵については、日本が「対等の同盟国」との自覚と責任を持っていれば、それなりの忠告・諫言・批判・拒否ができたことでしょう。

9。北朝鮮政府の無策無能。「北朝鮮敵対政策」が問題なら、それなりの対策が打てたはず。

10。日本の経済的理由でもあります。自主防衛(但し集団安全保障無し)では、どれだけ防衛予算がかかることか。無防備外交なら、どれだけ周りに技術・金銭援助をすることになるか。

11。憲法を守る守らないじゃなく、世界の平和に責任を持つか持たないかでしょ。「日本が毅然と憲法を」守った結果、アジアに世界に戦乱の芽がばら撒かれるのなら、信頼も尊敬も得られるはずが無い。

12・13。経過はどうあれ、普天間問題・在日米軍問題・安全保障問題が、これだけ盛り上がったのは良いことだと思います。ただ、理想論のみで盛り上げすぎると、現実の問題が何一つ解決しないことも考えられます。
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思えば (鉄甲機)
2010-05-16 12:50:59
シュワブ合意で普天間返還が決まったときは、こんなことが現実に起きるのか、沖縄基地問題解決への第一歩だと感激したものです。
 いや、確かに基地全廃を主張される方々には納得いかないものであることも理解していますが、百歩の道も一歩から。私は、シュワブ合意は三歩進んで二歩下がるものではあっても、それでもとにかく一歩前進したものと思います。それを「百歩進んでないから一切認めない」とするのは、なんだかなーと。

当時を思い出すよすがとして、どうぞ。
江田けんじ 今週の提言
http://www.eda-k.net/column/week/2009/11/20091116.html
パンドラの箱を開けた(上)・・・普天間基地移設の迷走
http://www.eda-k.net/column/week/2009/11/20091123.html
パンドラの箱を開けた(中)・・フテンマを日米首脳会談で提起
http://www.eda-k.net/column/week/2009/11/20091130.html
パンドラの箱を開けた(下)・・移設先はキャンプシュワブ沖
http://www.eda-k.net/column/week/2009/12/20091207.html
パンドラの箱を開けた(補論)・・ヤマトンチュとウチナー

>多摩さま
>こんなインチキ、誰が信じてるんやろ?でした。

世界中が信じていますがそれが何か。集団安全保障条約って、どれもそんなものですよ。
大体、一国家が他の主権国家の防衛義務まで負う負わされるって、どんな従属関係にあるんですか?

と、飲み屋の話にマジレス。(笑
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いや~~感動した! (多摩)
2010-05-17 20:36:54
ベースとなる認識がそれほど違わない事に正直感動しました。

飲み屋の話しついでに、北朝鮮はどこの傀儡かって事で、意見が分かれたんですよ。
私は、アメリカや日本の要求によって悪役を演じてると見ています。
ところがその日に居たある人が、中国のコントロールの元にあると言うんです。
このあたりは想像に過ぎないのですが、鉄甲機さんはどう思いますか?
よた話しで申し訳ないですが、もうちょうっと付き合いません?
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北朝鮮 (鉄甲機)
2010-05-22 22:22:08
>多摩さま
>ベースとなる認識がそれほど違わない事に正直感動しました。

と好印象を持たれたのは有難いんですが、その後

>私は、アメリカや日本の要求によって悪役を演じてると見ています。

と書かれると、「こんなこと言い出す人と、どこの認識がそれほど違わないんだろう」とオロオロするばかりです。(笑

北朝鮮ですか…
そもそもはソ連の傀儡国家として誕生したことですし、中国に対しても対等だと案外思ってるかもしれないですね。ソ連のくびきから離れた後は、ソ連と中国どちらが援助してくれるか天秤にかけてた感もあります。
今も中国相手に恫喝外交しかけてますし、「中国のコントロール」下とは言えんでしょう。

どこかのコントロール・影響下にあるんじゃなく、金王朝とそれを支える軍部の思惑で進んでいると思います。

日米の手下説は論外。(笑
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