高師直(こうのもろなお)、室町幕府の創始者足利尊氏の側近中の側近として、歴史にその名を残した方です。
「高」は通称で、本当の名前は「高階師直」というのですが、すっかり通称の方が有名になってしまった。
「太平記」などでは、非常に粗野、乱暴な人物で、石清水八幡宮を焼き討ちにするなど、信心の欠けらもない人物として描かれています。
特に有名なのは、塩治判官(えんやはんがん)という武将の妻に横恋慕してラブレターを送ったところ、これを塩治判官に咎められ、恨みに思った師直は塩治判官に謀叛の濡れ衣を着せ、夫婦ともに自害に追い込んでしまう。
このエピソードは江戸時代に至って、歌舞伎の演目である「仮名手本忠臣蔵」に引用されることになります。忠臣蔵とはつまりは、徳川幕府の裁定に反抗した人々を讃える話ですから、そのまま上演したのでは御咎めを受ける、そこで時代設定を室町時代とし、浅野内匠頭を塩治判官、吉良上野介を高師直に比定した物語を創作したのでした。
かくして高師直の名は、日本史上稀代の悪役として、その名を流布されるに至るのです。
しかし近年の研究では、この塩治判官のエピソードは後世の創作であったことがわかっています。史実の塩治判官は、室町幕府に反旗を翻し、足利尊氏の弟・直義の派遣した軍勢に追い込まれ、自害して果てている。塩治判官は南朝方の縁戚筋であったという研究もあり、謀叛の原因はこの辺りにあったのではないかと思われ、高師直との確執はおそらくなかったし、あったとしても大事に発展するようなことではなかった。
高師直という人は、実際には和歌などをよくする教養人であり、多くの寺社を建立し、寄進も行っているようで、決して信心の欠けらもない人物ではなかったようです。石清水八幡宮焼き討ちにしても、1ヶ月近く逡巡したうえでの決行だったようです。
抑々、寺社等の焼き討ちは、戦略としては師直以前から行なわれていたようですし、やっていいことではないけれど、絶対的タブーというわけではなかった。
大河ドラマ『麒麟がくる』では、松永久秀(吉田鋼太郎)が織田信長(染谷将太)の比叡山焼き討ちを批判していましたが、史実の久秀は大仏殿を焼き討ちにしており、「お前が言うか!」ていう話なんですよね、あれは。
抑々比叡山自体、信長以前から何度か焼き討ちにあっており、信長だけ執拗にあげつらわれるのは理不尽とする意見もある。
理不尽かどうかはともかく、巷間伝えられていることと史実との間には
ズレがある。
高師直という人は政治軍事ともに有能な人物だったようです。であるが故の妬み嫉みが、あることないこと、風聞悪評を呼んだのかも
しれません。
高師直は足利尊氏の弟で事実上の幕府最高権力者、足利直義との間に確執が生じ、兵を上げますが破れて捕らえられ、護送途中で暗殺されてしまいます。
1991年に放送された大河ドラマ『太平記』では、柄本明さんが高師直を演じており、欲望の赴くままに行動し堕ちていく男を、哀れさと滑稽さとを滲ませつつ見事に演じておりました。
あの師直もよかったですが、あくまでドラマだということを忘れてはなりません。真実の高師直がああいう人物だったわけではない。
ドラマはドラマとして、楽しみましょう。
ドラマといえば大河ドラマ『麒麟がくる』来週2月7日(日)放送分で愈々最終回!本能寺の変へ向かって最高の盛り上がりを見せていますね。
良きバディだったはずの光秀と信長との間に、埋めることのできない溝が拡がっていく悲劇。おそらくは今まで見たことのないような、涙涙の本能寺の変となることでしょう。
ドラマはドラマです。ドラマとして楽しみましょう。
野暮は言いっこなし(笑)
『麒麟がくる』最終回は15分拡大版。期待して待て!
結局、『麒麟がくる』の話かーい!(笑)
そうなのかもしれませんね、秀でた人物に妬んで悪い印象を残す…。自戒を含め人間の嫌なサガですね。
さて大河。いよいよ最終話ですか〜。
名演技の役者さん揃いで、ほんと盛り上がってきましたね〜。
今週中に録画の前回の話を見ておかないと!!💦
ついに終わっちゃうねー。「麒麟ロス」になりそう…。