大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

上場時が期待値の最大になってはいけない/アンドロイドOSとiOSの差が開き始めている

2012年08月14日 | ニュースの視点
2011~12年に相次いで株式公開した新興の米インターネット企業の株価が明暗を分けている。フェイスブックは6営業日連続で下落し、2日には一時、20ドルを割り込んだ。一方、4~6月期決算を発表したリンクトインは同日の時間外取引で株価が9%超上昇した。広告に加えて「会員情報を活用した企業の採用支援ビジネス」と「会費収入」を収益源としていることが成長期待を生んでいると見られる。

リンクトインも収益だけを見ると、この四半期では落ち込みを見せているが、フェイスブックの後からスタートしたサービスとしての強みを感じる。

米国の新興インターネット企業の株価推移を見てみると、リンクトインやイエルプといった比較的小規模な企業のほうが堅調だ。一方で、大型上場として一世を風靡したジンガやフェイスブックの株価はかなり落ち込んできている。

上場時に比べると、ジンガの時価総額は約60%以上減、フェイスブックが約40%減といった状況だ。このような状況を見ると、「とりあえず上場してお金を稼げばいい」という考えがあるのではないかと私は感じてしまう。

かつてはマイクロソフトなどを見ても分かるように、上場してからがスタートであり、そこから大きく株価も伸びていった。ところが現在では、上場時に「期待値」は最大となっていて後は落ちるだけ、という状況だ。市場が過剰に期待値を演出する一方で、その割を食うはめになっているのが、上場時に期待して株を購入する「一般株主」という構図だ。

新興インターネット企業を観察するときには、上場後の動向にも注意をはらっておく必要がますます高くなっていると感じる。



米調査会社IDCが2日発表した4―6月期のタブレット型多機能端末の世界出荷台数調査によると、米アップルが前年同期比84%増で首位を維持した。3月に発売した新型の「iPad」が好調で、シェアは約70%と2位の韓国のサムスン電子(9.6%)を大きく引き離して独走している。

これは相当、根が深いポイントだと思う。iPhone・iOSに対して、アンドロイドはOSを無料で利用できるということが利点になっているが、結局のところ誰もアンドロイドOSについて責任を持って取り組んでいる人がいない。一方のiOSはアップルがそれこそ命がけで開発を進めている。

ここに来て、OSそのものの信頼性やアプリの優秀性の点で両者の間に差が出始めている。2011年第2四半期のタブレット端末のメーカ別シェアでは、トップのアップル61.5%に対して、2位サムスン電子が7.3%で赤丸急上昇と思っていた。ところが今年(2012年第2四半期)になって、2位サムスン電子9.6%と伸びているものの、トップのアップルが68.2%までシェアを伸ばし、両者の差は広がっている。

このシェア推移を見る限り、アップルの強さが際立っており、OSの性能、豊富なアプリケーションなど、全体の整合性の点でも抜きに出ている印象だ。

日本では、KDDIがiPhoneに乗り換えた一方で、NTTドコモは今後もアンドロイドOSを採用していく方針のようだ。最近、NTTドコモでは通信・システムトラブルが頻発し、システム面に弱いという「力不足」を露呈している。

今後もアンドロイドOSを採用するのか否かという点は、今後の非常に重要な判断になると思う。盤石と思われているNTTドコモであっても、このOS問題は慎重に整理していくべきだろう。

2 コメント

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タブレットだけでなくスマートフォンも考慮してください (とおりすがり)
2012-08-18 01:30:03
IDCによるとスマートフォンでは、SamsungがAppleに約2倍の差をつけてトップに立っていましたが、タブレットではAppleに約7倍の差を付けられています。

スマートフォンではアンドロイドOSがiOSより多い(タブレットとスマートフォンの合計出荷台数では五分五分)ので、OSの優劣などを論じることはできないと思います。
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Unknown (通りすがり.)
2012-08-18 16:05:48
前半の理論は無茶があるかと
企業として(経営者として)一番儲けられるタイミングで上場するのは当然です
むしろ上場後株価が上がった場合はタイミングが悪かったとすら言えるでしょう

株主視点からすれば買った後上がってくれる方が良いのでしょうけど

視点を変えれば捉え方も変わる、当たり前の事ですね
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