半導体材料大手のSUMCOは8日、450億円の第三者割当増資を実施すると発表した。円高や半導体市況の低迷から、2012年1月期決算の純損益は843億円の赤字になった。
エルピーダが倒産した際に、私は「限界供給者の悲哀」という言葉を使って説明したが、今回のSUMCOも全く同じ状況に陥ったと言えるだろう。限界供給者は、景気の良いときは黒字、景気が悪くなると赤字、というように業界の景気動向に経営が左右されてしまう存在だ。
SUMCOと業界トップの信越化学の業績推移を見ると、売上高・営業損益などほぼ同じカーブで推移しているのが分かる。信越化学が上がればSUMCOも上がり、信越化学が下がればSUMCOも下がる。
今までと同じようにシリコンウェーハを作っていても、信越化学と同じビジネスモデルの構造になってしまい、「同じ構造で規模が小さいだけ」という存在から抜けだせない。信越化学とは「異なるビジネスモデルの構造」を確立することが必須だと私は思う。
ビジネスモデルの構造を再確認するという意味では、先日社長交代があったシャープについても同じようなことが言える。
ニュースでは株価が4%上がったものの5%下がったといった面を強調しているが、もう少し長期的に見ると、全体的には下がっている傾向にほとんど影響は出ていない。結局のところ、シャープにしても「何で飯を食っていくつもりなのか?」というビジネスモデルの構造が変わらない限り、今後の発展は難しいと私は見ている。
ACCESSが12日発表した2012年1月期連結決算は最終損益が43億円の赤字だった。携帯電話の需要がスマートフォンにシフトするなか、主力の従来型携帯電話向けのソフト事業が低迷。
任天堂、ソニーのプレイステーションがスマホシフトで割を食ったのと同様、これは完全にスマホショックの影響だ。ACCESSのように携帯電話で利益を上げていた会社にとっては、まさに交通事故にあったような痛手だろう。
ビジネスモデルの構造・利益構造ががらりと変わってしまったのだから、ある意味、致し方ない。ここを理解して、どういったビジネスモデル・利益構造にシフトしていくのかが問われている。
その意味で、面白い動きを見せたのが全日空だ。
全日本空輸の伊東社長は日本経済新聞の取材に応じ、今年本格稼働する格安航空会社(LCC)の売上高規模について5年後に「1500億~2000億円を目指す」と述べたとのことだ。
「やらなければ、パイを奪われるだけ」だから、LCCに乗り出すというのが伊東社長の言だそうだが、非常に面白い人だと私は感じている。ただし、この新しいビジネスモデルの中で「ANAの利益構造で」勝てるのかどうか、という点が大きな課題だろう。
例えば、AirAsiaとANAではコストが4倍違う。LCCの競合企業を見ると、ごく一部を除いて、途上国の航空会社だ。ANAのような会社がLCCに乗り出すとするなら、日本の航空会社という発想を捨て去る覚悟が必要だと思う。
ANAが「カンタス航空を上回る利益を上げているジェットスター航空」のようになれるのかどうか。売上を目指すのは構わないと思うが、利益が伴う構造を作り出せなければトラブルが増えるばかりだ。ANAの今後に期待したいと思う。
エルピーダが倒産した際に、私は「限界供給者の悲哀」という言葉を使って説明したが、今回のSUMCOも全く同じ状況に陥ったと言えるだろう。限界供給者は、景気の良いときは黒字、景気が悪くなると赤字、というように業界の景気動向に経営が左右されてしまう存在だ。
SUMCOと業界トップの信越化学の業績推移を見ると、売上高・営業損益などほぼ同じカーブで推移しているのが分かる。信越化学が上がればSUMCOも上がり、信越化学が下がればSUMCOも下がる。
今までと同じようにシリコンウェーハを作っていても、信越化学と同じビジネスモデルの構造になってしまい、「同じ構造で規模が小さいだけ」という存在から抜けだせない。信越化学とは「異なるビジネスモデルの構造」を確立することが必須だと私は思う。
ビジネスモデルの構造を再確認するという意味では、先日社長交代があったシャープについても同じようなことが言える。
ニュースでは株価が4%上がったものの5%下がったといった面を強調しているが、もう少し長期的に見ると、全体的には下がっている傾向にほとんど影響は出ていない。結局のところ、シャープにしても「何で飯を食っていくつもりなのか?」というビジネスモデルの構造が変わらない限り、今後の発展は難しいと私は見ている。
ACCESSが12日発表した2012年1月期連結決算は最終損益が43億円の赤字だった。携帯電話の需要がスマートフォンにシフトするなか、主力の従来型携帯電話向けのソフト事業が低迷。
任天堂、ソニーのプレイステーションがスマホシフトで割を食ったのと同様、これは完全にスマホショックの影響だ。ACCESSのように携帯電話で利益を上げていた会社にとっては、まさに交通事故にあったような痛手だろう。
ビジネスモデルの構造・利益構造ががらりと変わってしまったのだから、ある意味、致し方ない。ここを理解して、どういったビジネスモデル・利益構造にシフトしていくのかが問われている。
その意味で、面白い動きを見せたのが全日空だ。
全日本空輸の伊東社長は日本経済新聞の取材に応じ、今年本格稼働する格安航空会社(LCC)の売上高規模について5年後に「1500億~2000億円を目指す」と述べたとのことだ。
「やらなければ、パイを奪われるだけ」だから、LCCに乗り出すというのが伊東社長の言だそうだが、非常に面白い人だと私は感じている。ただし、この新しいビジネスモデルの中で「ANAの利益構造で」勝てるのかどうか、という点が大きな課題だろう。
例えば、AirAsiaとANAではコストが4倍違う。LCCの競合企業を見ると、ごく一部を除いて、途上国の航空会社だ。ANAのような会社がLCCに乗り出すとするなら、日本の航空会社という発想を捨て去る覚悟が必要だと思う。
ANAが「カンタス航空を上回る利益を上げているジェットスター航空」のようになれるのかどうか。売上を目指すのは構わないと思うが、利益が伴う構造を作り出せなければトラブルが増えるばかりだ。ANAの今後に期待したいと思う。
http://blogs.yahoo.co.jp/curonikeru/28695275.html