大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

今の韓国にとって重要なのは、裾の産業を育てる政策だ

2008年03月25日 | ニュースの視点
10日、韓国政府は対日赤字の縮小策を柱とする経済分野の行動計画を策定した。

国内で取り扱う素材や部品の対日依存度を20%に引き下げる方針。

李明博(イ・ミョンバク)大統領は慢性的な対日赤字について新政権の重要課題に浮上していると見解を示した。

韓国経済というのは、素材や基幹部品を日本から輸入し、韓国または中国で製造し米国や欧州に最終製品を輸出する、いわゆる「パス・スルー経済」で飛躍的に成長してきた。

一体どのような秘策があってこのような発言をしているのか私は非常に興味深く感じている。

対日貿易赤字が無視できない規模になっているのは、私にも頷ける。

韓国の総貿易収支は経済危機で一時的に輸入が激減し黒字が拡大した98年を除き、それ以降は総じて貿易黒字で推移しているが、日本に対する貿易赤字は止まることなく大きく膨らんでおり、ここ数年の全体の貿易黒字は減少傾向にあるからだ。

では、対日貿易赤字を減らしていくためには、どうすればいいか?

それには先ず、なぜ韓国は日本から機械や部品を輸入するのか?という理由に答えなければならない。

その答えをひと言で言えば、韓国企業が工作機械や基幹部品など地道な研究の蓄積が必要なモノを作りたいと思っていないことが最大の原因だ。

日本では、東京都大田区をはじめ、東大阪市、浜松市、諏訪市など、根気強くモノづくりを支える中小企業がたくさんある。

モノ作りに熱意と根気を持って経営している数多くの中小企業が、産業を支えるインフラストラクチャーとなっているのだ。

韓国が対日貿易赤字を解消するには、この日本と同じような体制を作り上げる必要がある。

しかしそれは、これまで無かったものを整えるということ、しかもそのためには経営者及び財界の根本的な姿勢から変えなければならないということだ。

いくつかの韓国企業は、表面的には、大きく成長してグローバル化を叫んでいるが、残念なことに、韓国には産業の根が無い状態だ。

韓国にとって、裾の産業を広く育てることは非常に重要な課題である。

大統領一代で解決できる問題ではないと思うが、この点に問題点を見出し、反省し、もし新しい体制を作り出すことができたならば、李明博(イ・ミョンバク)大統領は、偉大な大統領として名を残すことになるだろう。

1 コメント

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Unknown (高3)
2008-03-25 20:31:04
今日のは一回読んだら分かりました(笑)
韓国に日本みたいに鉄くずをちゃんとした部品に加工する工場とかがないって事ですか?なんで作りたくないんだろ?もうからないから?日本がいるから別になくていいじゃん?みたいな?
日本の農業みたいに政府が金サポートしてくれるなら俺が韓国の人なら研究員になりますよ(笑)
ダニエル・ピンクさんの本ゲトりましたフフフ後英語頑張ってますブログありがとございます
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