大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

日銀総裁の空席という失態を避けるには、どうするべきだったのか?

2008年04月22日 | ニュースの視点
衆参両院本会議は、9日、日銀の新総裁に白川方明副総裁を昇格させる政府提案を可決・同意し、白川氏は同日第30代日銀総裁に任命された。

3月20日から戦後初めて総裁ポストに空席が生じていたが、3回目の提示で21日ぶりに解消した。

日銀総裁不在などという前代未聞のみっともない事態に陥るほど、国会運営が従来のように正常に機能していなかったというのは大きな問題だ。

世間では、民主党の主張が正しかったとする意見もあるようだが、私はそうは思わない。

最初の段階から民主党が日銀総裁に相応しい人物の基準を明確にしていれば、ここまでの事態になることは免れたのではないかと思う。

そういう意味で、民主党の小沢代表の責任は否定できないと私は思う。

今回の一連の騒動を見て、民主党は自民党の粗探しをして弱い者いじめをしているだけで、民主党としての政策を感じられないという人もいるだろう。

ただ、私に言わせれば、小沢代表というのは、今さら言うまでもなく、筋金入りの「政局屋」だ。

今回に場合も本質的な意味での政策などは全く考えていないのは、残念なことに「いつも通り」といったところだ。

今の小沢代表は、外では自民党の福田首相と争いながら、必ずしも一枚岩ではない民主党の党内体制の中で自らの意見が通らずに苦労しているという状況。

「とりあえず選挙に勝てば後は何とかなる」というのが小沢代表の基本的な姿勢だったのだと私は見ている。

与党側が財務省にあまりにも遠慮し過ぎているという側面も見逃してはならない。

ここでもやはり、日銀総裁に相応しい人物かどうか、その人物を見て決めるという当たり前のことができていなかったということだろう。

私は、元大蔵省の武藤氏や田波氏が総裁候補としてあげられたときから、適任なのは白川氏だと一貫して主張してきた。

それは、武藤氏や田波氏は国際的な業務経験よりもドメスティックな業務経験が長く、国際金融の担い手としての日銀総裁に最も適しているとは言い難いと判断したからだ。

その点、白川氏は、前福井総裁と同様、国際金融に非常に長けた人物として適任だと感じていた。

今回の問題については、表層的に元財務官僚の天下りと日銀総裁に求められる役割から、スキル・経験などを考えて人物評価するという結論に至るべきだった。

今さら小沢代表に求めるのは難しいかも知れない、せめて基本的なスキルとして本質的な問題を把握することぐらいは身につけてもらいたいと思う。

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (高3)
2008-04-23 00:15:54
小沢さんって基本できてなかったんですか?
僕みたいに無知な人には小沢さんすごい人に見えた

メディアパワー?
返信する
確かに (Unknown)
2008-04-23 01:25:18
以前は民主党を応援してみたい気もしてたが、民主党の党を代表とする顔が本当は誰なのか未だに考えさせられる。
結局は労働組合組織票頼みの、旧社会党左寄り系議員が半数を占める、ただの野党寄せ集め政党から抜け出せてない。

今回の日銀総裁が決まるまでの一連の出来事にはウンザリした。

小泉政権から続く、現在の福田政権もサミット待たずにとっと解散して欲しい。(実際にはないだろうが)


次の衆議院選挙……

参議院のこともあるから一度は民主党に政権運営させてみたい気もするが、不安だらけだし。
自民党にしっかりして欲しいが官僚機構にどっぷりハマッているし……


いっそのこと、中国の台頭が激しいから4~5年だけ、日本共産党が主幹事の民主党意外の野党で政権運営してもらうのも………
議席数の上でもダメだし、社民党・共産党じゃダメダメだろうな┐('~`;)┌


どこに投票したらいいんですか!大前さん(>_<)
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。