荻野洋一 映画等覚書ブログ

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トルコ 3-2 チェコ

2008-06-16 22:28:00 | サッカー
 UEFA EURO 2008、大会9日目。
 今大会もっとも白熱した一戦が、ジュネーヴから飛び出した。レベル的にはオランダ戦やスペイン戦に一歩譲るが、試合の興奮度、感動では今大会ベスト・バウトだろう。
 残り15分の段階で、チェコがトルコを2-0でリード(コレルとプラシルの得点)。ロシツキー不在とはいえ、GKチェフの安定度を考えれば、まあこのままチェコが8強だろう、と誰もが考えたはず。

 しかしここから、トルコが捨て身の総攻撃に打って出て、ハーフ・コート・マッチの様相となる。後半30分、アルトゥントップのクロスをアルダが決めて、1点を返す。まだリードしているのに、チェコが突如として浮き足立ち、2年前のドイツ・ワールドカップ、豪州vs日本戦の時の日本のように追い込まれる。
 そして後半42分。再びアルトゥントップの悪魔のクロスが、先ほどから降り始めた激しい雨のためか、名手チェフの手元を狂わせた!

 ファンブル。トルコのエース、ニハトはいつかこういう事態を予想していたのだろう。こぼれ球をなんなくゴールにねじ込み、トルコが土壇場で2-2の同点に追いついた。おお、これで大会史上初のグループリーグPK決着という、珍奇なものを見られるのだな、と期待の溜息が出る。

 だが、ドラマはもっと凄い瞬間を用意したのだ。後半44分。アルトゥントップのスルーパスを、ニハトがオフサイドぎりぎりで受け、体を素早く反転させて、チェコ・ゴールに豪快に叩き込んだ。ゴラッソ! 終了間際で3-2。未曾有の大逆転劇で、スタッド・ドゥ・ジュネーヴは興奮のるつぼと化した。今ごろ、イスタンブールの街はフィエスタとなっていることだろう。

 それにしても、きょう3アシストをマークしたトルコの右SB、ハミト・アルトゥントップは、良い選手だ。サイドバックでありながらゲームも作れる。クロスはベッカム張りで、トップ下に上がってのスルーパスはリケルメ張り、変幻自在な動きはピレスのようだ。そして顔は、なんというのだろう、往年のセルゲイ・パラジャーノフの映画に登場する王子か、若き吟遊詩人のごとき、不可思議な顔をしている。面白い選手だ。


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