UEFA EURO 2012のグループC第1戦、スペインvsイタリアは1-1の引き分けだったが、話題を呼んだのは、スペインのノートップ(FWなしの4-6-0フォーメーション)とイタリアの3バックの変則布陣の対決だった。
もっともスペイン代表監督ビセンテ・デル・ボスケは今年初めの時点で「(昨年10月の)スコットランド戦では前線に起点を置かない戦い方をした。それはわれわれが持っているオプションであり、活用すべきものだ。非常に有益なもので、自分たちの特徴に合っている」と述べており、中盤を分厚くしたノートップは、すでにこの時点で予告されていたと言っていい(このあたりの詳細は「Number PLUS」所収の拙稿「デル・ボスケ侯爵の憂鬱」を請参照。同記事は現在 NumberWebにも転載 されている)。
左SBのジョルディ・アルバも含めると、MFを本職とするメンバーがフィールドプレーヤー10名中7名を占めている(ピケが以前ピボーテだったことを考慮するなら8名)。これは私の推測では、ビジャの骨折欠場、フェルナンド・トーレスの所属クラブでの長引く不振を受けたデル・ボスケが編みだした苦肉の戦法であろう。不調トーレスの代わりに、ジョレンテ(アスレティック・ビルバオ)もしくはネグレド(セビージャ)両FWを使いたかったのは山々であったものの、彼らをもしスターターとして使った場合、「繊細な神経のフェルナンド・トーレスはきっと腐るだろう」と分析したデル・ボスケ監督が、それならいっそ、かねてからペップ・グアルディオラのバルサで試行されていた、メッシを「偽の9番」に据えた事実上のノートップのひそみに倣い、4-6-0で本大会の初戦に臨んだものと思われる。ベンチワーク以上にロッカールームでのメンタルワークを重視するデル・ボスケならではのやり方である。
いっぽうイタリアは、そのスペイン以上に興味深い。従来のイタリアの4-3-1-2ではなく、ASローマMFのデ・ロッシが3バックの真ん中をつとめるというかなり変則的な布陣。スペインの0トップも視野に入れたかのような3バックもさることながら、スイーパーの位置に予知能力に優れるデ・ロッシを置くことで、デ・ロッシとピルロの距離がぐっと近くなるという副産物をも生み出して、ゲームメイクにきわめて有効だった。
イタリアはグループリーグ2戦を終えて、いまだ勝ち星なしの2引き分けに終わっている。バロテッリ、カッサーノ両FWの決定力不足ゆえ結果から見れば芳しくないが、2006年ワールドカップで優勝したときより遙かに魅惑的なチェーザレ・プランデッリ監督の頭脳的布陣は、グループリーグだけで見終えるのは、あまりに惜しい。実際、少なくとも過去20年間の中で、ロベルト・バッジョの存在をのぞけば最も魅惑的なイタリアではないか。ぜひグループリーグを突破してほしいと思う。
もっともスペイン代表監督ビセンテ・デル・ボスケは今年初めの時点で「(昨年10月の)スコットランド戦では前線に起点を置かない戦い方をした。それはわれわれが持っているオプションであり、活用すべきものだ。非常に有益なもので、自分たちの特徴に合っている」と述べており、中盤を分厚くしたノートップは、すでにこの時点で予告されていたと言っていい(このあたりの詳細は「Number PLUS」所収の拙稿「デル・ボスケ侯爵の憂鬱」を請参照。同記事は現在 NumberWebにも転載 されている)。
左SBのジョルディ・アルバも含めると、MFを本職とするメンバーがフィールドプレーヤー10名中7名を占めている(ピケが以前ピボーテだったことを考慮するなら8名)。これは私の推測では、ビジャの骨折欠場、フェルナンド・トーレスの所属クラブでの長引く不振を受けたデル・ボスケが編みだした苦肉の戦法であろう。不調トーレスの代わりに、ジョレンテ(アスレティック・ビルバオ)もしくはネグレド(セビージャ)両FWを使いたかったのは山々であったものの、彼らをもしスターターとして使った場合、「繊細な神経のフェルナンド・トーレスはきっと腐るだろう」と分析したデル・ボスケ監督が、それならいっそ、かねてからペップ・グアルディオラのバルサで試行されていた、メッシを「偽の9番」に据えた事実上のノートップのひそみに倣い、4-6-0で本大会の初戦に臨んだものと思われる。ベンチワーク以上にロッカールームでのメンタルワークを重視するデル・ボスケならではのやり方である。
いっぽうイタリアは、そのスペイン以上に興味深い。従来のイタリアの4-3-1-2ではなく、ASローマMFのデ・ロッシが3バックの真ん中をつとめるというかなり変則的な布陣。スペインの0トップも視野に入れたかのような3バックもさることながら、スイーパーの位置に予知能力に優れるデ・ロッシを置くことで、デ・ロッシとピルロの距離がぐっと近くなるという副産物をも生み出して、ゲームメイクにきわめて有効だった。
イタリアはグループリーグ2戦を終えて、いまだ勝ち星なしの2引き分けに終わっている。バロテッリ、カッサーノ両FWの決定力不足ゆえ結果から見れば芳しくないが、2006年ワールドカップで優勝したときより遙かに魅惑的なチェーザレ・プランデッリ監督の頭脳的布陣は、グループリーグだけで見終えるのは、あまりに惜しい。実際、少なくとも過去20年間の中で、ロベルト・バッジョの存在をのぞけば最も魅惑的なイタリアではないか。ぜひグループリーグを突破してほしいと思う。
「死のグループ」などと煽り立てられながら、世間ではドイツ、オランダでテッパンみたいな無風の評価が固定していて、「ちっとも死のグループじゃない」という感じでしたよね。
ポルトガルがまかり間違ってドイツかオランダのどちらかを食ってくれたら面白いことになると思っていたら、本当にそうなってくれて(オランダの敗退はすこぶる残念ですが)、「ああ、やっぱり死のグループらしくなった」とスリルを味わわせてもらいました。