荻野洋一 映画等覚書ブログ

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『コンテイジョン』 スティーヴン・ソダーバーグ

2011-11-21 07:34:04 | 映画
 『チェ』2部作を最後にサボってしまい、久しぶりに見ることのできたスティーヴン・ソダーバーグの新作『コンテイジョン』はそれなりに面白く、いろいろな登場人物の犬死にであるとか、茫然自失したまま取り立てて有効な行為は何も打てないとか、そういう鈍重なる時間経過の塗り重ねが、撮影行為そのものの捕らえどころのなさとして、パンデミックという大規模な主題と対照をなしていた。
 大きな物語を集約的に語ることを、やはりこの人はどうしてもしたくないらしい。依然としてパーツ、パーツで隔離させ、パニック映画をプライヴェート・フィルムの秘密めいたコレクションとして作る。だから、地球がどこぞの町内のように見える。そして、グウィネス・パルトロウが新型ウィルスの最初の犠牲者となる一連は、いま業界で大流行りの7D/5D的な被写界深度浅めの画調。変わりませんな、ソダーバーグは。
 香港の離島に拉致された後のマリオン・コティヤールはなぜ、あれだけのことしかしないのか? 問題はそんな単純な点にあるようにも思われた。どうして普通に撮れないのか? 普通には「撮らない」ことへの説得力ある理由があいかわらず存在しない図々しさも、ソダーバーグらしくてなかなかよろしいのではないか。


新宿ピカデリー、品川プリンスシネマほか、全国で上映中
http://wwws.warnerbros.co.jp/contagion/


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