荻野洋一 映画等覚書ブログ

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加藤善博 追悼

2007-05-29 03:49:00 | 映画
 友人Hからのeメールで、訃報を知る。俳優・加藤善博、死去。自殺ということだが、その死は新聞報道さえされていないため、詳細は不明。

 加藤善博といえば、何といっても森田芳光監督『家族ゲーム』(1983)での主人公の(宮川一朗太)の担任役がまず思い出される。家庭教師(松田優作)が学校に面会に来ると、弁当を食べる手を生徒のように上げて「ハーイ」と気のない返事をする陰険教師を演じていた。それ以外の多くの森田芳光作品の常連、そして『お葬式』(1984)『タンポポ』(1985)など伊丹十三作品の常連となったほか、松田優作監督『ア・ホーマンス』(1986)、中原俊監督『12人の優しい日本人』(1991)など。斉藤信幸『母娘監禁 牝』(1987)では主演もしている。
 また僕と縁深いところでは、知人である鎮西尚一監督の『パンツの穴 キラキラ星みつけた』(1990)でも、浅野忠信(当時、中学生役!)の担任役だった。しかし、残念ながら最近は、どんな活動をしていたのかわからない。

 じつは僕は、加藤善博と「共演」している。といっても、こちらはあくまでエキストラだが。学校のOB山川直人の商業映画デビュー作『ビリィ★ザ★ギッドの新しい夜明け 』の撮影に、新入生だった僕は毎日のようにエキストラに駆り出され、言われるがまま、祖師ヶ谷大蔵の国際放映スタジオに早朝から日参していた。この作品で加藤善博は、米兵の軍服を着てタバコを吹かし、主人公ビリー・ザ・キッド(三上博史)と共に、ラストの銃撃戦で機関銃を撃ちまくっていた。この撮影現場での加藤善博の傍若無人な、眼をギラギラさせたたたずまい、そして大声を張り上げての演技は、いまでもはっきりと印象深く記憶に刻まれている。
 またこの作品は、僕自身の少年期の面影を世に残す唯一の映像であり、エキストラというにしては結構多くのカットで登場しているのである(まあそんなことは、世間ではどうでもいいことではあるが)。

 ZARDの坂井泉水氏や松岡農水相など、訃報が続いた日だったが、加藤善博死すの知らせはとりわけ衝撃的であった。
 生前の活躍にひたすら思いを馳せ、冥福を祈るばかりである。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-09-02 20:43:27
加藤喜博さんって、俺の知る範囲内では、「金田一少年の事件簿」で斧で頭を勝ち割られたカメラマン役とか、「愛という名のもとで」でチョロを執拗にいびっていた杉本課長役とかで、出でしたよね。
加藤さん、悲しいです。
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