ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

極楽

2014-01-16 23:14:45 | 日記
おっさんと休みが重なった。

この間からの約束で
車で30分ほどのスパに行き
帰りはお寿司!
(かっぱ寿司デビュー。おいしゅうございました)

バス会社への通勤用に買ったポンコツ車“ビビ男(びびお)”は
3日後に売ってしまうので
今日が最後のお仕事である。

行け、行け、ビビ男~! ぶっ飛ばせ~!!!
売られてしまうのが解っているのか
絶好調の走りを見せてくれた今日のビビ男。
短い付き合いだったけど、ありがとう。

スパはたったの500円(岩盤浴は600円プラス)。
これで屋上露天をはじめ7種類の温泉が楽しめるのだから
言うことない!

青天を仰ぎながら、一人、露天風呂に浸かる。
至極のとき。
ああ、生きていてよかった。

この「生きていてよかった」というフレーズ
スパの露天風呂に浸かっていると必ず
心に湧いてくる。

食いしん坊でお酒も好きな私だが
美味しいものを食べたとき
楽しいお酒を飲んだとき
不思議とそのフレーズは湧いてこない。

露天風呂で青天を仰いだとき
そのシチュエーション限定で
「ああ、生きていてよかった」と、自然に
本当に自然に、心に湧いてくるのである。

昔から、老人たちは湯船に浸かると決まって
「極楽、極楽」と言っていたようだけれど
そうか、「極楽、極楽」って
「生きていてよかった」ってことなのね。

ビビ男は手放してしまうけれど
これからはおっさんと休日が重なったら
電車に乗って近場の湯巡りを楽しもうかな。

極楽を味わう小さな旅
うん、悪くない。


衰えてゆく人たち

2014-01-14 00:35:06 | 日記
Eさんも、Yさんも、Sさんも
入居されてから1ヵ月半で
身体機能がすこぶる低下した。

ウチの介護が悪いとは思えない。
一人一人の状態に合わせた介護を
24時間体制で行っているし
実際、「ここにきてよかった」と利用者もご家族も口を揃える。

それなのに、衰えていく身体。
なぜか!?

慣れない環境が引き起こすストレス
家族や友人がそばにいない寂しさ
そして
他にやることがないから寝てばかりいる生活・・・
それが、原因だろう。

生みの母を見ていても思う。
近くに友人がいない。娘たちも遠い。
目が悪く腰も痛いことを理由に
日中はほとんど寝て過ごす。
夫は優しいらしいが、これがまた問題。
母を労わって、家事すべてを彼が引き受けているのだという。
そうして彼女は
ますます動けない身体になってしまったし
動こうという気力さえ日ごと失われつつあるし
認知もかなり進んでしまったように思われる。

介護職にありながら辛辣な意見だが
人間、ラクになると衰える。
老いを労わることは大切だが
世話はほどほどにしておかないと、本人のためにならない。

しかし、この“ほどほど”が難しいんだよねえ。
放っておいたら怪我や病気や大惨事を引き起こしかねないし
かといって世話を焼きすぎると
前述した方々のように身体機能が低下していくし・・・

とにかく、これだけは言っておこう。
高齢者の機能回復を願って施設に入れようとお考えなら
それは、大間違いである。


お赤飯

2014-01-11 23:10:11 | 日記
きのうから、Eさんに血尿が出ている。
うっすら血が滲んでいる程度ではなく
ワインレッドに近い。

心配だね、と常勤同士で話をしていたら
話好きの登録ヘルパーさんが割り込んできた。
「え、Eさん、女の子になっちゃいました?
お赤飯ですかあ!?」

笑っていいものやら・・・

「そういえば、今でも生理が始まったら
お赤飯って炊くのかしら?」
話題をちょいと変えた。

私は小学生のとき母親がいなかったから
そんな“伝統行事”はスルーされた。
他の家ではどうだか聞いたことがないけれど
中にはしっかりお赤飯を炊いて
娘の成長を祝った家庭もあったのだろう。

「いやいや、学校で禁止されてるんです」
と、先ほどのヘルパー。

男兄弟がいると、冷やしたりからかったりするので
女の子になったことを知らしめる“祝い飯”は
用意しないように!ということらしい。

なんだそりゃ!?

お赤飯を炊く炊かないは家庭の自由であって
そんなこと学校が禁止することじゃなかろうに。

運動会の徒競走で差がつくのはかわいそうだから
タイムが同じような子どもたちを組ませる。
やはり運動会で、一人親家庭の子がかわいそうだから
お弁当は運動場で家族と食べず、各教室に戻って食べる。
小学校にそんな決まりごとができたらしいと聞いて驚いたのは
もう、ずいぶん昔の話になる。
かけっこの遅い子、一人親家庭の子が
それを理由にからかわれたり、ぐれるんだったら
どちらにも匹敵する私は今ごろ墓の下か刑務所の中だわ。

かわいそうだから、からかわれるから・・・
その予防意識、高すぎやしないか?

Eさんの体調も心配だが
それ以上に、子どもたちの未来が心配である。

夫のプライド?

2014-01-09 01:02:29 | 日記
Yさんは脳梗塞で右半身がご不自由な80代の男性。
認知症も進んでいるようで
最近はやたら怒りっぽい。

先月入居されたときは車椅子ながらもご自分で排泄されていたのに
近頃は身体を起こすのも億劫らしく
非常コールで「おしっこ~!」と訴えてくることが多くなった。

彼には施設から徒歩5分のところに住む奥様がいて
ほぼ毎日、食事や服薬の世話するためにいらっしゃる。
本来なら私たちがやるべき仕事をやってくださるので
それは大変ありがたいところなのだが・・・

今日の昼食時も、奥様がいらしていた。
「あなたトイレは?」
そう聞く奥様に対して
「いや、トイレはまだいい」と、むっつり顔で答えるYさん。

ところがそれから10分後
今しがた奥様がお帰りになったのを見計らったかのように
Yさんから非常コールが。
「トイレ~!」
絶叫に近い大声である。

急いで駆けつけてみれば、あっちゃ~!の便失禁。

なんで出す前にコールしてくれなかったのぉ?

というか
なんで奥様がいらっしゃるときにしなかったのぉ!?

「あなた、トイレは?」って、奥様は優しく聞いていらしたよね。
そのときアナタは、むっつり顔で「いや、いい」とお答えになっていたよね。
その10分後に、なんであれほどの便失禁!?

便意は突然やってくるから、たまたまなのだろうけれど
奥様にはカッコ悪いところを見せたくないのかしらね。
はいはい、カッコ悪いところは私たち職員が引き受けましょう。
心の中でそうぼやきながら
浴室でYさんのお尻を洗う私であった。

U字ロックキー

2014-01-07 01:02:10 | 日記
認知症の方にはありがちな話だが
ご飯を食べたことを、すぐに忘れる。
食べることだけが楽しみ!と
ひたすらにその時間を待っておられるのだが
食べてしまったらハイ、それまでよ!
胃に入った食べ物より早く、記憶は消化されてしまうものらしい。

なのに、なぜ?
食べたことは忘れても
彼女たち(特に女性高齢者)が忘れないものがある。
部屋のU字ロックキーだ。

鍵をかけても、預かっている鍵があるから開錠は可能。
自分で玄関まで来られない利用者さんについては
契約時、必要に応じてこちらで開錠することを
ご家族にご了承いただいている。

しかし、U字ロックキーをかけられたら
外からは開けることができない。
お手上げである。

今朝も、事件は起きた。
Sさんを朝食にお誘いしようとしたら
ドアの向こうから弱々しい声が。
「足が、足が痛くて立ち上がれないんです。早くきて!」

慌てて鍵を開けて中に入ろうとしたが
U字ロックキーがガチャッと行く手を阻む。

なんでU字ロックキーをかけちゃったの~~~!!!
いつも、「取られるものはないから鍵は閉めなくてもいいわ」と
鍵さえかけずに出かけているアナタなのに。

結局、Sさんの居室のU字ロックキーを壊して入室。
廊下でへたりこんでいた彼女を無事、救出することができたのだった。

先日来、こんな事件が相次いでいる。
12月にオープンして以来
3件のお宅でU字ロックキーを取り外すこととなったが
明日はSさんのお宅からも、それが消え去ることだろう。

オバアチャマたちよ
ご飯を食べたことは忘れても
なぜ、寝る前の戸締りを忘れない!?

認知症を患う女性高齢者たちの優れた防犯意識が
私の勤める介護現場で大きな問題となっている。

(っていうか、そもそもうちの施設
U字ロックキーなんか要らないんじゃないの?)