ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

きっと、この日を忘れることはない。

2014-01-02 23:48:17 | 日記
年明けの夜勤を
私はほとんど施設にご入居のNさんと過ごした。

Nさんについては12月10日付のブログでも少し触れたが
下半身の自由が利かず、右手は拘縮
さらに難聴で、尿管にはカテーテルをつけている
88歳の男性である。

何ゆえ彼とともに年を越したか。
親しんでいただいてはいるが
そうするほどの仲良しというわけではない。

年が変わったばかりの午前0時
私はちょうどNさんの体位交換(床ずれ防止)をしようと
彼の居室がある1階までエレベーターで向かった。
扉が開くと、廊下の奥のほうから悲鳴が。
「助けてくださ~い! 助けてくださ~い!」
紛れもなくNさんの声である。
慌てて走り、お預かりしている鍵でNさんの部屋に突入。
電気をつけてみると
Nさんがベッドから転落しているではないか。

うわ、大丈夫ですか? 痛いところはないですか?

確認したところ、幸いなことに怪我も打撲もない。
しかし、である。
転落した大柄男性Nさんを
しかもさまざまな障害を抱えているNさんを
私一人の力でベッドに引き上げることはできない。
ベッドに上がり仁王立ちの姿勢で引き上げようと試みたが
どう踏ん張っても無理である。
一人夜勤。応援は頼むべくもない。

では、どうする? どうするよ、わたし。

こうなったら床で寝ていただくしかない。
ならば、風邪を引かせないように
抱えている足の痛みを悪化させないように
それを第一に考えるべきだろう。

毛布を何枚も重ねて敷布団代わりにし
掛け布団のほか、部屋にあるバスタオルや洋服を総動員して
Nさんの身を覆い
それでも不安で離れることができず
曲がったまま伸ばすことができないNさんの両足をひざに乗せて
祈るような気持ちでマッサージを続ける。

いくらか落ち着いてイビキをかき始めたNさんの口から
「ありがとう、ありがとう。○○さん(私の実名)、ありがとう」と
うわごとのような言葉が繰り返される。

やめて、やめて! ありがとうなんで言わないで!
私の介護力が未熟だから
アナタをこんな冷たい床に寝かせることになってしまったんだから。

マッサージを続けながら
非力な自分が情けなくて泣けてきた。

しかし、ここで泣いているばかりにもいかない。
夜中だが、他にも排泄介助やらナンやらで
私を待っている人たちがいる。

Nさんの様子を見守ったりマッサージをしたりする合間に
他の利用者さんのお部屋を訪問し
気がつけば、元日の朝を迎えていた。

その後、早朝出勤してきた同僚と二人がかりで
Nさんを無事ベッドに戻すことができたが
は~っ、何日分のエネルギーを費やした夜勤だったことか。

2014年の幕開け。
この日を忘れることはないだろう。